山 行 記 録

【平成16年3月27日(土)/志津温泉から湯殿山】



湯殿山、山頂目前
季節外れの厳しい春の嵐が吹く


【メンバー】3名(佐藤(辰)、遠藤、蒲生)※下山途中で柴田氏と合流。
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】出羽三山
【山名と標高】湯殿山 1500m
【天候】強風、雪のち晴れ
【温泉】大井沢温泉「湯ったり館」300円
【行程と参考コースタイム】
 志津温泉8:00〜ネイチャーセンター8:30〜湯殿山10:45-11:10〜ネイチャーセンター〜志津温泉11:50

【概要】
予定では月山の頂上直下から品倉尾根を経由する湯殿山スキー場への縦走だったのだが、季節外れのような風雪のため、急遽、湯殿山への往復に変更となったものである。約束したはずの柴田氏はいくら待っても現れず、集合場所からは3人だけで志津温泉に向かった。この時期、志津温泉から先は通行止めとなっているので除雪終了地点が歩き出しとなる。天候は少しも快復する兆しはなく、温泉街はまるで夕暮れのような薄暗さだ。見上げても月山の陰形すら見えなかった。山頂での厳しい風雪を想像すると意気も沈みがちだったが、今日は山岳会のスペシャリスト二人が一緒なのでそれほどの不安はない。準備を終えると早速シールを貼って歩き始めた。約20分ほどでネイチャーセンター前を通過する。まだ除雪もされていないので建物の周辺もひっそりとしている。ネイチャーセンターからは石跳川沿いに登って行く。ブナ林に入ると強風は遮られるので寒さもだいぶ和らいでくる。悪天候とはいえ、今日は春の嵐のようなもので厳冬期のような厳しさはすでになくなっていた。それに昨夜からの積雪が新たに10〜20cm程度あるので今から滑降が楽しみである。950m付近からは石跳川を横断して湯殿山から南東に伸びる尾根に上がった。ここからは緩斜面に美しいブナの疎林が続いていた。

空からは時折日射しがのぞくのだがすぐにまた陰ってしまう。そんな状態がずっと続いた。ほとんど視界がなかったが、昼頃から晴れ間が広がるという予報を信じて、ただ黙々と高みをめざした。やがて樹林が切れると遮るものがない吹きさらしとなる。急斜面にアイスバーンも加わると尾根が狭いだけに緊張するところだ。激しい風雪に耐えながらも湯殿山には3時間弱で到着した。山頂では3月下旬とはとても思えないようなブリザードが吹き荒れており、すぐ目の前に聳える筈の姥ケ岳さえも全く見えなかった。私達はすぐにツェルトをザックから取り出して潜り込む。ツェルト中にいればなんとかしのげるからありがたいものだ。ツェルトの中では行動食を食べながらつかの間の休憩とした。柴田氏とはやっと無線がつながったらしく、彼はようやく石跳川を登り始めたところだという。ツェルトを撤収すればいよいよ山頂からの滑降だ。佐藤氏は狭いアイスバーンをものともせずにウエーデルンで下って行く。遠藤さんも最近新調したという兼用靴を履いて、急斜面を見事なターン孤を描きながら下ってくる。適度に降り積もった新雪の斜面は実に快適で、このまま一気に下ってしまうのが惜しくて途中で何度か立ち止まったりした。少し下るとようやくガスの中から抜け出し、下界もすっきりと見えるまでになると不安材料はなにもなくなった。ブナ林のパウダーと思う存分戯れながら、ただひたすら気持ちよく下って行くばかりだ。今日のような快適なパウダーはいつ以来だろうか。こんな雪と出会えるならば悪天候もまた楽しである。ブナ林を抜けて石跳川の横断箇所まで下ってくると、天候は完全に回復して上空には澄んだ青空が広がっていた。柴田氏とは石跳川を少し下ったところでようやく出会うことができた。そこからはほとんど直滑降でネイチャーセンターめざして下って行く。見上げれば青空に輝くような新雪が眩しく、頬をなでて行く風はすでに春の息吹を感じさせた。


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