山 行 記 録

【平成16年3月20日(土)/南会津 会津駒ヶ岳



会津駒ヶ岳山頂


【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】南会津
【山名と標高】会津駒ヶ岳2,132m
【天候】曇り時々雪
【温泉】桧枝岐温泉「燧の湯」500円
【行程と参考コースタイム】
自宅3.30=桧枝岐村7:00
滝沢橋8:00〜共同アンテナ9:10〜会津駒ヶ岳山頂11:45-55〜共同アンテナ12:45〜ハシゴ13:10〜滝沢橋13:45
  
【概要】
2月末に三岩岳を敗退してから約1カ月が経っている。久しぶりに自宅を早立ちして南会津に向かった。桧枝岐村に着いてみると
まだ朝早いためなのか登山者がほとんど見あたらなかったが、準備をしているとマイカーが何台かやってきた。そして2、3のグループが早めに登っていった。今日は郡山在住の小林さん達もやってくるというのでしばらく待っていたが、8時近くになっても来る気配がないので一人で登り始める。歩き始めてみると雪は堅く締まっており、ほとんどアイスバーンであった。最近、好天が続いているせいなのだろうが、先日の三岩岳で深いラッセルに苦しめられたのがウソのようであった。

予報では午前中いっぱいは天候は持ちそうだったのだが、朝から日差しは一向に差さず、どんよりとした曇り空が広がっているだけであった。登り始めても空は晴れるどころかますます薄暗くなるばかりで、気持ちは少しも盛り上がらなかった。林道の途中からはショートカットで急斜面を登ってゆく。しかし気温は上がらず、凍った雪面にスキーはいくらも食い込まないので次第に焦りはじめる。急斜面にエッジでどうにか立っている状態はかなり危険であり、いつものルート選択したことを後悔した。そのまま尾根に上がるのは難しく、手前でスキーを担いで登ったが、今日はアイゼンやピッケルが欲しい状態であった。尾根に上がってもアイスバーンは変わらず慎重なシール登高が続いた。1380mの共同アンテナにどうにか登りきるとようやくホッとして一息を入れる気分になりザックを下ろした。そこからはツボ足とスキーの踏み後がうっすらと続いていたが、みんなアイゼンやクトー(スキーアイゼン)を使っているようであった。アンテナからは勾配も緩やかになるので危険な箇所はなくなったが、上空には寒気が居座っているようで、しばらくアイスバーンが続いた。このままでは下りの滑降が心配になってくるばかりだった。

標高も1500メートルを超えると所々に柔らかい積雪も現れるようになる。10〜20cm程度の新雪が堅雪に載っている状態で、これならば私の下手なテレマークスキーでも滑れそうであった。やがて右手からは大戸沢岳から伸びる南東尾根の稜線が現れてくる。いつもは空の青さと白く輝く山の斜面に感動するところだが、今日は色彩が感じられず、まるで墨絵を眺めているようでもある。そして稜線と空との境界があいまいであった。ここでようやく先を行く山スキーの二人組に追いついた。二人とも新潟の人で、予想外の悪天候には意気が上がらないようであった。二人組は駒の小屋に直登してゆき、私はショートカットで駒ヶ岳の山頂に向かった。1900mを超えると森林限界となり吹きさらしとなった。会津駒ヶ岳の全体像が見えるようになると山頂まではまもなくだ。左手に聳える燧ヶ岳は、残念ながら雲に隠れて山頂付近はすっきりとは見えなかった。前方を見上げると斜面を登っている別の二人組が見えた。

山頂には正午前に着いた。急いで登ったわけでもないのに、やはり単独だとどうしても早くなるのだろう。今日は登り始めてから4時間もかかっていなかった。いつもは山頂からの展望に感激するところも、今日のますます悪化しそうな天候には気が沈むばかりである。今日はほとんど日射しもないので、周囲に広がる山並みもどこか淋しげであった。山頂で一緒になったツボ足の二人組とお互いに証拠写真だけを撮り合って下り始めることにした。すでに冷たい風と共に小雪が舞い始めており、天候は良くなるどころか悪くなる一方であった。下りはなるべく北側斜面の柔らかい雪面を選んで下ってゆく。しかし中腹付近からはどこもアイスバーンとなり、そこからはほとんど横滑りで下らなければならなかった。この途中で小林さん達グループにようやく出会うことができた。小林さん達は大戸沢岳から北東尾根を下る予定だというからまだまだ行程は長い。天候が今ひとつなので、単独ならば不安にかられるところだが、彼らは総勢9名という大所帯でみんな信じられないくらいに元気であった。

共同アンテナからは登りに使った尾根を下る予定だったが、堅い斜面では危険と判断し夏道の尾根を下ることにする。やはり横滑りでほとんど下って行き、途中のヤセ尾根からはスキーを担いだ。そして杉林の急斜面を慎重にキックステップで刻みながらハシゴのある登山口まで下った。林道からは途中をショートカットしながらスキーで下ってゆけるので、滝沢橋まではいくらもかからない。

今日はきっちりと山頂を踏み、上部ではそれなりに滑降を楽しんだのだが、結局、充実感がこみ上げることはなかった。やはり天候にも恵まれなかったからなのだろうか。雪質も悪かったということで、不完全燃焼のような一日であった。


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