山 行 記 録

【平成16年1月17日(土)/吾妻連峰 天元台から西吾妻小屋】



西吾妻小屋と飯豊連峰


【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】西吾妻山 2,035m
【天候】晴れ
【行程と参考コースタイム】
北望台10:00〜カモシカ展望台〜梵天岩11:10〜西吾妻小屋11:30-12:00〜梵天岩12:20〜カモシカ展望台13:00-13:10〜白布温泉駐車場14:20
  
【概要】
今日は平地でも氷点下12度と厳しい冷え込みとなった。朝方はまだ曇り空だったが、こんな日はきっと晴れ間が広がるだろうと天元台に向かった。今週は連日風雪が続いたおかげで、山ではかなりの積雪が期待できそうだった。しかし、天元台スキー場は思いの外閑散として、駐車場はほとんどがら空きであり、山スキーは誰も見あたらなかった。

北望台から登り始めると意外にも樹林帯に隠れるようにしてテントが設営されているのには驚いた。人影は見あたらず、幕営地点からは何人もの新しいトレースが続いていた。降雪直後の深雪でもトレースさえあればシール登高はたやすい。今日はお気軽なスノーハイキングになりそうであった。昨夜までの雪はだいぶ降りつもっており、トレースをはずれると深雪にすっぽりとスキー靴が埋まるほどだったが、それでも大凹付近の雪原からはひと登りで梵天岩に着く。岩だらけの梵天岩も、今はガリガリに凍り付いたエビのシッポやシュカブラで覆われていた。今日は気分的にここまでで引き返すつもりだったのだが、時間もあるので西吾妻小屋まで足を伸ばすことにした。この頃から雲が切れ始め、気持ちの良い青空が空全体を占めるほどになっていた。

梵天岩からも先行者のトレースを追った。小屋が近づくに連れて右手の飯豊連峰が徐々に大きくなってゆく。小屋に着いてみると、幕営していたという7人組が昼食を終え、早くも出発の準備をしているところだった。パーティのメンバー達にラッセルしてくれたお礼をいいながら話を聞いてみると、7人は栃木からきた大学の山岳部のようであった。私は気持ちの良い日射しがあるのにわざわざ薄暗い小屋に入ってゆく気分にもなれず、そのまま外で休憩をとる。カップラーメンを食べている間に、7人はまもなく天元台に戻っていった。

30分ほどの休憩を終えて小屋の窪みから出てみると、抜けるような青空を背景にして、樹氷に覆われた西吾妻山が眩しい。梵天岩からはシールをはずし、大凹までの深雪の滑降をのんびりと楽しんだ。カモシカ展望台でザックをおろして一休みしていると、今度は米沢からきたという3人組に出会った。3人はこれから西吾妻小屋泊まりらしく、翌日若女平を下るのだという。まもなく3人は大きなザックを背負って大凹に下っていった。

テルモスに残っていたお湯で作ったホットレモンを飲みながら、なだらかな吾妻の山並みを眺めていた。厳冬期の真っ直中なのにまるで春を思わせるような午後のひとときだった。白一色の西吾妻の山々と、黒い山肌を見せる東吾妻の山並みは、そのまま山形と福島との積雪の違いなのだろうか、なんて至極当たり前のことを考えたりした。たおやかな山並みが連なる吾妻連峰を眺めていると、気持ちも自然と穏やかになるから不思議だった。ささくれだった感情が癒されてゆくようでもあった。しまいには下るのが嫌になってしまい、先の7人組のように、このまま山中にテントを張って一晩過ごしたくなってしまった。


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