山 行 記 録

【平成15年12月31日(水)/蔵王連峰 ライザスキー場〜刈田岳】



氷結した蔵王のお釜(右奥は名号峰と雁土山)


【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】刈田岳1,758m
【天候】晴れ
【行程と参考コースタイム】
リフト終点9:00〜お田ノ神避難小屋9:40〜馬ノ背10:20〜刈田岳10:35/10:50〜お田ノ神避難小屋(休憩)11:20/11:50〜ライザスキー場12:20

【概要】
今年の山の締めくくりに蔵王に向かった。うれしいことに曇り空という予報がはずれて蔵王では信じられないほどの晴れ間が広がり、かなり得をした気分である。ライザスキー場は大晦日ということもあって閑散としていた。スキーのトレースもツボ足による踏跡も見あたらず、今日はまだ誰も登った様子はなかった。リフト終点からシールを貼って登り始めるとすぐに静寂の世界に包まれる。積雪はけっこうあってスキーでも20cm以上沈んだ。しかしまもなく雪面は堅く凍ったクラスト状態となり、快適なスノーハイキングとなった。見渡す限りの大雪原には言葉も出てこない。なにしろ今日はこの広い樹氷原を独り占めなのだ。冬晴れとは今日のような天候を差すのだろう。風はほとんどなくまるで移動性高気圧に覆われた春山のようでもある。のんびりと歩いているだけで汗まで噴き出してくるほどで、途中からはアウタージャケットや帽子まで脱いだ。振り返ると薄い靄の上には飯豊連峰や吾妻連峰が浮かんでいた。

お田ノ神避難小屋を過ぎ、登山リフトのあるレストハウス付近を通過すると勾配がきつくなってゆく。穏やかな陽射しは続いていたが、さすがに登っている間に風が強まり、アウターや帽子をふたたびザックから取り出した。風の強さがハンパでないだけに、ガリガリに発達したシュカブラが大きく盛り上がり、スキーで乗り越えるがけっこうつらい。刈田岳山頂にはリフト終点から登り始めて約1時間半で着いた。山頂から眺める全面氷結したお釜は何度見ても感激するばかりだ。今日はいとも簡単にこの光景を眺めることができたのだが、悪天候に覆われやすいこの蔵王では今日のような穏やかな天候は珍しいのだ。こんな日は滅多にないのだと思いながら、いろんな角度から写真を撮りまくった。

山頂にいる間にも宮城県側から誰か登ってくるかも知れないと思っていたのだがそんな様子はなかった。北に対峙している熊野岳をみても人影は皆無で、この広い蔵王の稜線にはもしかしたら自分しかいないのかもしれなかった。刈田岳山頂を後にすると、ふたたび登山リフトに向かって下りて行く。ガリガリのアイスバーンなので思いっきりボーゲンで制動をかけ続ける。今日は視界がはっきりしているので少し南側の沢状の箇所を下って行くと、ようやく雪が柔らかくなり、気持ちの良いテレマークターンが可能となった。この沢を下ればまもなくお田ノ神避難小屋が右手に見えてくる。休憩はこのお田ノ神避難小屋に戻ったところでとることにした。小屋へは入口が雪に埋まっているので窓から入った。中には新しいストーブが設置されていて、いつもよりずいぶんときれいな印象である。ストーブが必要な気温ではなかったが、ありがたく利用させてもらうことにして、さっそく鍋焼きうどんを作った。

御田ノ神避難小屋からは真西に向かうとまもなくリフト最上部である。ゲレンデでは今年最後のスキーを楽しむ人で少し賑わっていたが、それでもいつもより閑散としていることには変わりがなかった。私はゲレンデにはさっぱり興味がないので、リフトの真下を滑ってつかの間、一人戯れた。リフトの真下もそれなりに深雪なので山スキーらしき雰囲気が味わえるのだが、バックカントリーというにはほど遠く、刈田岳直下の沢筋のひと滑りのほうが、はるかに感激が大きい気がした。


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