山 行 記 録

【平成15年10月26日(日)/南会津 大内宿〜小野岳



団体の登山者で賑わう小野岳山頂


【メンバー】2名(妻)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】南会津
【山名と標高】小野岳 1,383m
【天候】曇り
【温泉】喜多方市 「喜多の郷」300円
【行程と参考コースタイム】
大内宿登山口10:30〜小野岳12:40-13:10〜大内宿14:20
  
【概要】
小野岳は福島県南会津郡下郷町に位置しており、すぐ近くにはわらぶき屋根の駅舎で有名な会津鉄道、湯野上温泉駅がある。また江戸時代の宿場の面影を今に残す大内宿はこの小野岳の主要な登山口にもなっているところだ。この小野岳へは今年の2月にテレマークスキーで登っていたが、無雪期に登るのは初めてである。今回は大内宿の観光と南会津の紅葉を目的にした、カミさんとのハイキングである。

会津本郷町から大内宿に抜ける下野街道を南下し、大内ダムを過ぎると左手に小野岳登山口の標識が立っていた。ちょうど大型バスが路肩に駐車中で、50名近い団体がまもなく登りはじめるところであった。私達はさらに林道の奥まで進み、終点の駐車スペースに車を停めた。ここにはすでにマイカーが4台駐車中で、準備をしていると先ほどの団体が駐車場を抜けて先に登っていった。登山口には真新しい標識が立ち、ここから薄暗い杉林の中に登山道は続いている。途中の水場を過ぎると周囲は杉林からブナ林に変わった。道は一気に急坂となったが、登山道はよく整備されていて歩きやすく、階段をぐいぐいと登って行くとやがて高圧線の鉄塔が立つ尾根にでた。美しいブナ林の中になだらかな登山道が右手へと伸びており、少し登ると左手からは大内ダムが見えた。

薄曇りであったがモミジの紅葉が美しく、オレンジ色や真紅のその鮮やかには思わず目を見張った。沼尾への分岐点から尾根はいくらか右手に折れてゆき、登り切ると道はいったん下りとなった。この下りはたいしたことはないのだが、登り返しがつらそうだとカミさんはさかんに嘆く。この付近では紅葉もほとんど終わり、すでに晩秋の雰囲気が漂っているところだ。葉を落ち尽くした灰色の山肌に、ナナカマドの赤い実が印象的であった。小野岳への急坂の途中では早めに登った人達がちらほらと下ってくる。そのうち先を登っていた団体に追いついてしまい、途中からは団体と一緒に山頂まで登った。

山頂には登り始めてから2時間かけてようやく到着した。2月以来の小野岳であったが、前回登った時の冬のイメージとは全然違うので、2回目とはいっても初めての山のような新鮮さがある。山頂には三角点と、その傍らには今年5月25日の小野岳山開きの時のものと思われる看板が立てられてあった。看板には今年の山開きの参加者数が書かれてあり、それによるとなんと349名の人が登ったというのだから驚く。2、30人でも混み合う山頂に、どうやってそれだけの人が立ったのだろうかと不思議であった。

山頂の北側以外は林に囲まれているのであまり展望はよくない。その北側から見える筈の会津の山並みも今日は雲に隠れて見えなかった。私達は山頂の一角にザックをおろし、早速お湯を沸かして熱い味噌汁やコーヒーを作った。ツアーの人達もそれぞれに別れて昼食を楽しんでいる。そのうち団体の一人がラジカセとバックを持ちながら、広場の中央に出てきてなにやらはじめるところであった。ラジカセからは音楽を流し始め、いったい何事が始まるのだろうと訝っていると、その人はバックから小道具をいろいろと取り出してなんと手品を始めたのである。山頂で手品まで拝見できるとは思いもかけなかったが、結構その人は手慣れている様子で、私達も手を休めては、手際よく次々と繰り出される妙技をしばらく楽しませてもらった。

午後からは晴れるだろうという天気予報にもかかわらず、休んでいる間も結局、日差しが差すことはなかった。二人とものんびりと休憩する気分にもなれず、手品が一段落したところで一足先に下山することにした。いつのまにか冬の到来を告げるような冷たい風が吹き始めている。吐く息は白く、あまりの膚寒さに体が震えていた。カミさんはフリース付きの防寒着を着込み、私はウインドブレーカーを羽織った。私はふかふかの落ち葉の絨毯を踏みしめながら、大内宿の熱い甘酒と、下山後の温泉が待ちきれなくなっていた。


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