山 行 記 録

【平成15年10月25日(土)/飯豊連峰 二王子神社〜二王子岳



山頂から仰ぐ新雪の飯豊連峰
北股岳(左)と大日岳(右)


【メンバー】2名(伊藤(孝)、蒲生)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】飯豊連峰
【山名と標高】二王子岳 1,421m
【天候】晴れ
【温泉】新発田温泉「あやめの湯」400円
【行程と参考コースタイム】
二王子神社9:00〜三合目避難小屋10:00〜独標〜八合目11:30〜二王子岳11:50/13:20〜独標14:10〜避難小屋14:45〜二王子神社15:30
  
【概要】
予定していた朝日連峰を取りやめ、急遽、二王子岳を登ることになった。二王子岳は今年の7月にカミさんと登ろうとしたが、その時は2合目付近で引き返しており、実質登るのは5年振りである。自宅を出るときは予報に反して小雨が降るあいにくの空模様であった。しかし新潟県に入ると、今日の好天を確信できそうなほどの青空が広がっていて、それまで落ち込んでいた気分は一変した。飯豊連峰の大展望台である二王子岳は、やはり展望があってこそという思いもあるので、今日のこの好天はうれしいばかりである。一方では、最近の寒気によって飯豊連峰も朝日連峰もすでに冠雪してしまい、もしかしたら二王子岳も山頂付近には積雪があるかもしれないなと、いささか心配しながら登山口の二王子神社に向かった。

二王子神社直前にある駐車場には車が20台ほどで、今年の夏訪れたときのような混雑ぶりではないが、それでもこの時期にしては結構登っている人が多いようであった。二王子岳神社前から山道に入ると、薄暗い杉林の中、沢沿いに濡れた登山道が続いていた。初めは緩やかな道も1合目を過ぎると次第に勾配が増してゆく。2合目の水場で少し休憩をとり、なおも急坂を登れば3合目の一王子神社だ。すぐ先には避難小屋があり、ここまでくると急坂もようやく一段落である。この辺りまではまだ紅葉も残っている感じだが、それでも枯れ葉が目立ち、木々の間からは遠くの山並みが透けて見えた。振り返れば新発田市の市街地や日本海が広がっていた。

標高994.4mの独標を過ぎると紅葉は完全に終わり、葉を落ち尽くしたブナの白い枝だけが目立った。ほとんど晩秋の雰囲気だが、上空には秋の澄んだ青空が広がり、気持ちの良い尾根歩きだ。さらに登ると割合に平坦な道が続くようになる。登山道は大きくうねりながら前方の高みに続いており、この付近は地形がちょっと複雑で残雪期には迷いそうなところだ。まもなくロープのある急坂が目の前に現れ、登り切ったところには7合目と油こぼしの標識が立っていた。ここから山頂までは40分程で、長かった行程ももうひとがんばりである。8合目付近の左手一帯は草紅葉の湿地帯になっていて、道の傍らには水場もあり、ここは山頂を目前に控えた最後の休憩ポイントのようであった。湿地帯からは急坂を少し登るとようやく高山の様相を呈してくる。展望が急に開けて周辺の多くの山並みが目に飛び込んでくるところだ。やがて9合目の雨量観測所を過ぎると避難小屋の建つ二王子岳山頂はまもなくであった。

ようやく到着した二王子岳山頂からは遮るものがない展望が広がっていた。快晴の空には雲もほとんどなく、冠雪したばかりの飯豊連峰が、胎内渓谷を隔てて大きく横たわっている。北端の杁差岳から南端の大日岳までの大パノラマは、まるで一幅の長い屏風絵を見ているようでもある。初めてこの展望を目前にしたときは、にわかに信じられないほど興奮したものだが、今日もこの迫力ある光景を目前にして久しぶりに感動を味わっていた。今回の二王子岳が初めてだという同行の伊藤さんも、この大展望には感激した様子で、写真撮影にも余念がないようであった。

山頂は多くの登山者で賑わっている。晴れているうちにと写真を撮り、一段落したところで私達も昼食だ。今日の好天と展望に感謝しながら早速ビールで乾杯する。周りではビニールシートを広げてみんな思い思いに昼食を楽しんでおり、団体の中にはアルコールも入ってすでに出来上がっている人もいるようであった。秋の柔らかい日差しを浴びながらの休憩は時間の経つのも忘れるほどだった。大パノラマの中ほどには胎内尾根が門内岳まで斜めに伸びており、昨年の今頃は一ノ峰と二ノ峰付近の猛烈なヤブと格闘していたことを思い出し、私はひとり感慨に耽っていた。しばらくすると山頂には冷たい風が吹き始め、そのうち団体の一行が一斉に胎内ルートを下って行くと、賑やかだった山頂には急激に山の静けさが戻った。1時間半も山頂で休んだのは久しぶりで、今日のような秋晴れの時にはまだまだのんびりしたかったが、午後の日差しはすでに傾きはじめていた。体が冷えてきたのを機に後かたづけを始め、まもなく私達も山頂を後にした。


二王子岳から胎内ルートを下る団体の登山者達


inserted by FC2 system