山 行 記 録

【平成15年10月13日(月)〜14日(火)/尾瀬 沼山峠〜尾瀬沼〜尾瀬ヶ原



赤田代の草紅葉
右奥は温泉小屋


【メンバー】3名(妻、長女)
【山行形態】夏山装備、営業小屋泊(尾瀬小屋)
【山域】尾瀬(尾瀬沼、尾瀬ヶ原)
【天候】13日(雨)、14日(曇り時々晴れ)
【温泉】桧枝岐温泉「駒ノ湯」500円
【行程と参考コースタイム】
自宅=飯坂IC=会津若松IC=御池駐車場(バス)沼山峠登山口
(13日)沼山峠登山口12:00〜尾瀬沼〜沼尻14:10/14:30発〜見晴十字路(尾瀬小屋)15:50(泊)
(14日)見晴十字路7:40〜平滑ノ滝〜三条ノ滝9:20/9:50発〜上田代12:00/12:15発〜御池駐車場12:45
御池=会津若松IC=飯坂IC=自宅
 
【概要】
紅葉の時期の尾瀬を訪れるのは1年振り。昨年は東北道から日光を越えて入山しようとしたところ、車の大渋滞に出会ってしまい予約していた尾瀬の山小屋には泊まることができなかった。今年はその苦い経験から無難に福島県側から入ることにしたものである。しかし初日の天候はあいにくの雨模様。御池の駐車場で止みそうもない雨空を恨めしく眺めながらしばらく待ってみたが、止む気配はなく最初から雨具を着ての出発だった。

今日は連休の最終日でもあり、沼山峠の休憩所にいる多くの登山者は、ほとんど下山する人達である。雨は小降りになるどころかますます激しく降る始末で、途中の沼山峠展望台からも見えるものは雨に煙る白い風景だけであった。尾瀬沼周辺は美しい草紅葉が一帯に広がっていたが、ダケカンバやナナカマドなどは枯れ葉がめだち、紅葉の盛りはすでに過ぎていた。私達は夕暮れまで小屋に着けばよいので、尾瀬沼の長蔵小屋や沼尻の休憩所に立ち寄り、のんびりと休憩を取りながら小屋に向かった。降りしきる雨の中、黙々と歩くだけだったが、しっとりとした雨の風景はかえって心に残る気がした。沼尻の休憩所を出る時に雲の切れ間から一瞬、青空と燧ヶ岳が見えて歓声をあげたのだが、それもつかの間ですぐにまた雲に閉ざされてしまい、結局、山小屋までは雨具を脱ぐことはなかった。

尾瀬の山小屋は来週には閉じてしまうらしく、小屋の一部では冬支度がすでに始まっていた。尾瀬小屋に到着すると、早速濡れたものを乾燥室に乾かし、風呂に入って冷え切った体を温めるとようやく気持ちが落ちついた。談話室にはストーブが焚かれており、夕食前のひととき、同宿した人達と雑談していると、山の疲れが出たのか、うとうとと微睡んでしまった。200名の定員のこの尾瀬小屋も昨夜までは満員だったのだが、今日の宿泊は20名ほどで、ゆったりとして静かな山小屋であった。

翌日は意外と雨は上がっており、夜明け前のまだ薄暗い朝方、カミさんと尾瀬ヶ原の散策に出かけてみた。朝から晴れそうな空模様だが、朝の尾瀬ヶ原は気温が低く、思わず身震いするほどの冷え込みである。山の中腹にぽっかりと白い雲が浮かんでいる様子は、いかにも山小屋の朝といった風景を感じさせた。朝日が昇るとともに正面の至仏山が徐々に明るさを増して行く光景などをしばらく眺めたりした。昨日は全く見えなかった燧ヶ岳が、今朝は逆光を浴びて黒々と山小屋の上に聳えていた。朝食を終えると一部に残っていた雲もいつのまにか消え去り青空が広がっていた。雨の場合は沼山峠に戻る計画だったのだが、澄み切った青空が一面に広がっているのを見て、今日の予定を三条ノ滝経由で裏燧林道を下る行程に変更した。尾瀬小屋を出ると木道には三脚をたてた登山者が至る所でカメラを構えていた。私達も昨日の分まで楽しもうと、のんびりと尾瀬ヶ原の木道を歩いてゆく。秋の澄んだ青空を背に、
赤田代の輝くような草紅葉の広がる風景は桃源郷を思わせた。

平滑ノ滝、三条ノ滝と尾瀬の名所をたどるこの裏燧林道はアップダウンも多く意外と時間がかかった。そして昨日の雨のため、登山道はぬかるみも多くて結構難儀な道になっていたが、薄暗い樹林帯を抜け出して、目の前に黄金色に輝く湿原が現れると、塞いでいた気分も晴れ晴れとしていままでの疲れも吹き飛ぶようだった。兎田代、天神田代、ノメリ田代、横田代と、裏燧ではこの所々に現れる小さな湿原が一番の魅力なのかもしれない。その中でも一番大きい上田代の湿原まで来ると御池まではあと30分ほどの距離だ。私達はベンチに腰を下ろし、コーヒーを沸かしたり、ホットティーを作ったりして、このなだらかに傾斜している広い湿原を眺めながら最後の休憩を楽しんだ。今日は途中から薄雲が広がり日差しは遮られたりしたがそれでも天候が崩れるとことはなかった。雨の尾瀬沼と秋晴れの尾瀬ヶ原、そして三条ノ滝から裏燧へと歩き通した尾瀬の2日間が終わろうとしていた。



尾瀬ヶ原と至仏山(二日目の朝)



尾瀬小屋の前で(二日目の朝)


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