山 行 記 録

【平成15年9月27日(土)〜28日(日)/飯豊連峰 丸森尾根〜北股岳〜梶川尾根】



北股岳から石転ビ沢を俯瞰する(二日目の朝)


【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、避難小屋泊(梅花皮小屋)
【山域】飯豊連峰
【山名と標高】地神山1,849.6m、扇ノ地紙1889m、門内岳1887m、北股岳2024.9m
【天候】(27日)晴れのち雨、(28日)曇り
【温泉】小国町長者原「梅花皮荘」500円
【行程と参考コースタイム】
(27日)
飯豊山荘 8:15〜 水場 10:05〜 丸森峰 11:20〜地神北峰 12:15〜地神山12:25〜扇ノ地紙12:45-13:20〜門内小屋13:40〜
     北股岳1425〜梅花皮小屋1440(泊)
(28日)梅花皮小屋6:20〜北股岳6:45〜門内小屋7:30〜扇ノ地紙7:50/8:00〜梶川峰8:20〜五郎清水8:50〜滝見場9:10〜天狗平10:30
 
【概要】
今週末の予定は当初、杁差岳へゆくはずであった。ところが、登り始めは秋晴れの青空が広がっていたにもかかわらず、丸森峰付近から雨が降り出してきたために、地神北峰でこの日の杁差岳はあきらめ、予定を変更して梅花皮小屋泊まりとしたものである。地神北峰からは杁差小屋も梅花皮小屋もどちらも同じ様な距離なのだが、紅葉の杁差岳へはやはり晴れたときにでなければという気持ちがどこかにあって、視界のない雨模様の時にはあまり登りたくはなかったのである。

朝、自宅を出るときには大粒の雨が降っていた。しかしその雨も小国町を走っていると上がってしまい、飯豊山荘に着く頃には快晴の空が広がった。丸森尾根は飯豊山荘からの急坂で始まる。倉手山を背にしてぐいぐい登るとたちどころに汗がほとばしった。水場まで一気に登り一息をつくと、ここには新しい夫婦清水の標柱が立っていた。無風だった尾根道も登るにつれて心地よい風が吹く。この付近では紅葉にはまだ早いが、ブナが少し色付きはじめていて、少しずつ秋が深まっているという感じだ。重荷にあえぎながらも、この時期の山登りの楽しさを久しぶりに思い出していた。右手遠方には杁差岳と左肩には小さな杁差小屋が見えた。

好天が間違いないと思っていた空模様は丸森峰から一変した。見上げると薄黒い雲が上空に広がり、稜線付近は全く見えなくなっていた。そして視界がなくなるにつれてまもなく小雨まで降り始めてきてしまい、気分は一気に落ち込んだ。地神北峰でもガスと雨模様には変わりはなく、杁差岳へ行くのはすぐにあきらめたのだが、この時点では梶川尾根を下る日帰りの周回ルートにするか梅花皮小屋泊に変更するかはまだ迷っていた。

雨風に煽られながらも稜線を進み、扇ノ地紙からいったんは梶川峰に下ったが、途中で思い直して扇ノ地紙に登り返した。せっかく重いザックを担ぎ上げたのに日帰りで下ってしまうのが無性に悲しくなってしまったのだ。門内小屋付近を過ぎると雨が少しずつ激しさを増した。飯豊の主稜はすでに草紅葉に彩られていて、晴れていれば快適な稜線漫歩を楽しめるはずだったが今日はそれもかなわない。気分は沈むばかりで梅花皮小屋だけを楽しみに歩いた。視界は5mもなかったが、登山道ははっきりしているので不安はない。ほとんど休憩を取らなかったためか疲れが足にきていて、最後の急坂である北股岳への登りはけっこうつらかった。

雨の中をようやく梅花皮小屋に到着する。小屋には先客が一人いるだけであった。今日の悪天候ではほとんど登山者がこないだろうと思っていたら、その後少しずつ登山者が増え始め、結局この日の宿泊は全部で9人にもなった。小屋の中は終日気温が上がらず、汗をかいた衣服はなかなか乾かなかった。夜になると冷え込みがさらに厳しくなり、シュラフのみで不安だった人達が管理人から毛布を次々と借り出していた。

翌日になると雨は止んでいた。北股岳や梅花皮岳がはっきり見えていたと思うと、たちまちガスに覆われて窓の外が真っ白になり、まだまだ不安定な空模様を感じさせた。陽が差さなかったものの、雨が降らない分だけ昨日よりは良しとしなければならないようである。ほとんどの人達は天候の様子を伺いながらのんびりとしていたが、私は6時過ぎには小屋を出た。遠くで沢の流れる音が
聞こえるだけの静かな山の朝は気持ちが良かった。曇り空ではあっても色づき始めた稜線を眺めながらの歩きは楽しい。昨日、逡巡しながらも梅花皮小屋まできてよかったとしみじみと思った。

梶川峰を過ぎると再びガスに包まれた。むせるような深い霧のため、まわりはすでに陽が落ちてしまったような薄暗さだ。ひたすら急坂を下ってゆくと、こんな天候でもちらほらと登山者が登ってくるのにはびっくりする。途中で数えるのをやめたのだが、全部で20人くらいにもなっただろうか。日曜日の今日は、当然日帰りで登ってくる人が多く、みんなこの時期の紅葉が目的のようであった。湯沢峰を過ぎ、まもなく飯豊山荘が眼下に見えてくるという地点で、見覚えのある4人の女性グループが登ってきた。それは先日の摩耶山の山頂でも一緒になった米沢の4人組であった。すでに10時を回っていたが、行けるところまで登って見るつもりだと、悪天候にもかかわらずみんな溌剌としている。天狗平が近づいても気温はほとんど上がらなかった。休憩もとらずに歩き続けたために、全身から汗が滴り落ちていた。梶川尾根の登山口に降り立ち、いつものように湯沢の冷たい沢水で顔を洗った。しばらく飯豊連峰から遠ざかっていただけに、ひさしぶりに飯豊の空気に触れて気持ちが満たされた2日間であった。


丸森峰付近から見る小玉川の集落
(一日目)



梅花皮岳と梅花皮小屋(2日目の朝)


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