山 行 記 録

【平成15年9月15日(月)/あつみ温泉から摩耶山】



婦女子の滝と垂直のハシゴ


【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】摩耶山(まやさん)1020m
【天候】晴れ
【行程と参考コースタイム】
 越沢登山口10:25〜小浜ノ茶屋跡10:40〜弁財天滝10:50〜七ツ滝分岐11:10〜摩耶山12:00-13:00〜避難小屋13:20〜追分13:30〜越沢14:20
 
【概要】
摩耶山は2年前に一度、朝日村上田沢登山口からの倉沢コースを登っているが、今回はその反対側であるあつみ温泉口からのコースである。あつみ温泉側からは関川口と越沢口の二つの登山口があり、越沢口から中尾根コースを登って、下りを関川コースの追分から越沢口へ戻る本道コースをとれば、両方のコースを楽しむことができる。

朝方まで降り続いた雨で道路はまだ濡れた状態が続いていた。国道7号線を北上し、国道345号線からは越沢口への林道に入り、瀬戸橋登山口の看板で車を止める。駐車スペースには山形ナンバーの1台だけで、車の傍らに小さなテントが設営中であった。しかし人影は見あたらず、すでに登った後のようであった。杉林の整備された道を進むと前方に断崖絶壁が現れる。ウノスの倉とカジ倉と書かれた標識があり、見上げると壮観な景色に圧倒される。そのウノスの倉を卷くように谷に沿って登って行くと小浜ノ茶屋跡の分岐点に着いた。右手のルートはクセ穴森林を通る本道コースで、標柱には初心者コースとあり、左は弁財天滝を経由するベテランコースと書かれていた。

渓谷沿いの道を行くと小浜ノ茶屋跡から約10分で正面に大きな滝が見えてくる。弁財天滝は左の滝で正面の婦女子ノ滝の左手に垂直のハシゴが掛かっている。昨夜からの雨で沢は水量が増しているので、飛び石を踏みながらも慎重に渡渉する。弁財天滝と婦女子ノ滝の間に取り付けられた垂直の鉄バシゴは思ったほど長くはなく、ひと登りで滝の上に出た。ここからはヒメコマツやブナの原生林の中の急坂が続いている。中尾根と呼ばれるこのコースは、摩耶山まで真っ直ぐに登ってゆくので、勾配はきついものの、無駄がなく気持ちが良い尾根であった。仙人ガ岩屋への分岐を過ぎると勾配はさらに急になり、途中からはさすがに喘ぎ声が漏れてくる。正面を見上げると、時々ブナの間から摩耶山の稜線が時々チラチラと覗く。もうまもなく山頂だと思うのだがなかなか着かない。見た目よりは意外と時間がかかって稜線に登り着いた。それでも登山口からは1時間半ほどで、2時間以上かかった上田沢登山口からみれば短いコースであった。稜線からは山頂がすぐ右手にあり、登山者の姿も見えた。

山頂には米沢から来たという4名が休憩中であった。登山口にテントを張っていた人達で、昨夜から朝方まではかなりの雨が降り続いていて、出発がかなり遅れたのだという。しかし昼食はすでに終えたらしく、後かたづけを終えるとまもなく関川コースを下山していった。4人組がいなくなると今度は入れ替わりに関川口から二人組が登ってきた。結局この日の登山者はこの3組だけのようであった。摩耶山山頂からは大展望が広がっていた。あいにく鳥海山は雲に隠れ、月山も裾野だけで山頂付近は見えなかったが、東斜面の絶壁の向かい側には鎗ガ峰、鉾ガ峰の鋭鋒が目前であり、その奥には重畳とした朝日連峰の山々が波打っている。初秋の清々しい青空が一面に広がっており、私はビニールシートを敷いて、のんびりと眺望を楽しみながらの休憩タイムとした。

山頂から南に少し下ってゆくと分岐があり、道標はないものの、左手は倉沢コースで、本道コースは右手に下りて行くようだった。すぐ下にコンクリート造りの祠があって、近くの木には「厩山(まやさん)の奥の宮」という標識が掲げられてある。またすこし下ると古い六体地蔵尊が道の傍らに安置されてあった。ここはほかのコースに比較すると特に歴史のある登山道なのだと知った。鼻くくり坂(八合目)という木の根っこがめだつ急坂を下るとやがて避難小屋に着く。ここは分岐点にもなっていて中尾根コースの分岐や七ツ滝を経由して弁財天滝へも下ることができるようになっている。小屋の直下には清水が湧きだしていて、ここで汗まみれの顔を洗い渇いた喉を潤した。なだらかで気持ちの良い尾根をゆっくりと下ってゆく。5合目の追分から右手の本道コースに入ると、ここからは滑りやすい急坂となった。しかし特に危険というほどの箇所もないので、このコースは初心者も安心して歩くことができる山道であった。七ツ滝の分岐からは登山道が大きく左にカーブする。クセ穴森林と呼ばれる樹林帯を通って行くと、杉林からの木漏れ日がきらきらとまぶしかった。小浜ノ茶屋跡まで下ってきたところで、米沢の4人組に追いつくと、そこから越沢登山口まではいくらもなかった。


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