山 行 記 録

【平成15年8月30日(土)/北蔵王連峰 雁戸山】



山頂から蟻の戸渡りを下る


【メンバー】2名(妻)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】北蔵王連峰
【山名と標高】雁戸山(がんどさん)1,484.6m、カケスガ峰 1,123m
【天候】曇り時々晴れ
【行程と参考コースタイム】
 笹谷峠9:20〜カケスガ峰分岐10:40〜前山分岐11:05〜雁戸山(昼食)11:40着/12:40発〜カケスガ峰13:30〜笹谷峠14:45
  
【概要】
今日はカミさんとの久しぶりの山。曇り空の割合に天候はそれほど悪くはないので、山頂からの展望を楽しみに北蔵王連峰の雁戸山に登ることにした。今日は笹谷峠の広い駐車場も驚くほどの混み具合で、すでに空いているスペースはなく、宮城県側に進んだ道路の路肩に留めなければならなかった。笹谷峠からは山形市内の街並みが広がり、朝日連峰や月山などの峰峰が薄いベールのような雲海にくっきりと浮かんでいた。

登山道は朝方まで降り続いていた雨のために濡れて滑りやすくなっている。じめじめした樹林帯の中を50分ほど歩くと右手から関沢コースが合流し、さらにダラダラとした樹林帯の登りがしばらく続いた。勾配はきつくはないものの、変化に乏しい山道だけに結構疲れるような気がした。やがてカケスガ峰との分岐の道標が現れたところで小休止とする。薄暗い樹林帯から抜け出してホッとするひとときである。振り返れば草原の向こうになだからなカケスガ峰のピークがすぐ近くだ。このピークから笹谷峠に至るコースは宮城コースとも呼ばれているのだがまだ私は歩いたことがなく、このまま好天が続くようならば今日の下山路はこのコースにしてみようかと思った。前山の東斜面をトラバース気味に登って行くとまもなく雁戸山と前山の鞍部に着く。雁戸山の鋭い岩峰がもう目前に迫っており、天に向かって屹立するその迫力ある姿に圧倒される。何回か雁戸山に登っているのにこんなにすっきりと見渡せるのは初めてであった。ここからは登山道の様相が一変する。カミさんは蟻の戸渡り付近の岩稜帯のヤセ尾根を見上げては心配そうに眺めていた。

ノコギリの歯のようなヤセ尾根のアップダウンを繰り返しているうち、いつのまにか日差しも降り注ぐようになっていた。気持ちの良い尾根歩きに壮快感がみなぎる。稜線を吹き抜ける涼風は爽やかで、汗をかいた体がいっぺんで生き返るようである。心配していたカミさんは好調の様子で、岩稜帯の通過も難なくこなしている。やがて登り着いた雁戸山の山頂では、大勢の登山者達が腰を下ろして休憩中であった。山頂からは素晴らしい展望が広がっており、見渡せば飯豊連峰から朝日連峰はもちろんのこと、月山、村山葉山、鳥海山、さらに船形連峰と名だたる名山が全て雲海に浮かんでいる。眼下にはエメラルドグリーンの水を湛えた蔵王ダムが見えた。この予想以上の今日の展望に満足しながら、私達も山頂の一角に場所を確保して昼食をとることにした。

1時間ほどのんびりと昼食を楽しみ、後かたづけをしていると、いつのまにか熊野岳の上空には薄黒い雲が広がっており、まだまだ不安定な空模様を感じさせた。こんな空模様を見て休憩中だった他の登山者達も、次々と後かたづけをしては下山してゆく。そして蟻の戸渡りを下り鞍部から往路を戻っていると、宮城県側から吹き上がっていたガスはたちまち雁戸山を覆ってしまった。周囲の視界がほとんど遮られてしまって一時は落胆したのだが、天候が崩れるというほどではなく、前方にカケスガ峰のピークが見えてくると、上空にはまもなく青空が戻った。草原にはハクサンフウロやオヤマリンドウ、ハクサンイチゲなどがまだ咲いていたが、一方ではススキの白い穂も目立ち始めており、風に揺れる草木の趣はすでに秋の気配を感じさせた。カケスガ峰からは残念ながらガスに隠れて雁戸山は見えない。しかしここは意外と眺望がよいので休憩するには最適で、ここでも雁戸山を下ってきた登山者が何人か休んでいた。

カケスガ峰を後にすると単調な下りが続いた。下り始めるときに「ここからは山形側よりもずっと短いから早く下れるよ」と教えられたのだが、実際に下ってみると、歩く距離は山形コースとほとんど変わらないのではないかと思えるほど長く感じられた。ブナ林をひたすら下っていると枯れ沢のような場所を2ヶ所横断する。その先で笹谷峠と無線中継所と書かれた標識が現れたのだが、この標識はきちんと登山道を示しているわけではなく、ここで私達は少し迷ってしまった。有耶無耶関跡付近からはさらに小道が入り乱れてくる。結局不安を抱えながらも無事に笹谷峠に通じる道に出たときは、何となく二人ともホッとして胸を撫で下ろしたのであった。


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