【平成15年8月16日(土)/朝日連峰 ナカツル尾根〜大朝日岳】
雲海が広がる大朝日岳山頂
遠方の山並みは飯豊連峰
視界の悪さは相変わらずだったが、小雨はいつのまにか止み、徐々に気温が上がり始めていた。登山道も乾いた道となり歩きやすくなっている。そして山頂がもう間もなくと思われる頃からガスが薄らぎ始め、上空の青空が透けて見えるまでになり、やがて澄み切った青空とともに大朝日岳が正面に現れた。雲の表と裏の世界の違いにあらためて驚くばかりで、山頂は信じられないほどの快晴に包まれていた。みわたせば新潟県側が一部晴れている意外はほとんど真っ白い雲海に覆われている。雲海から飛び出ているのは飯豊連峰と吾妻連峰の一部、それに鳥海山の頂きだけでそれ以外は全く雲海に隠れているのである。これだから山はやめられないのだなあと思わずにはいられなかった。山頂では10人前後、休憩していたのだが、みんなこの光景にただ言葉もなく眺めているようであった。
山頂の一角の草むらに腰を下ろして早速昼食とする。今日はめずらしくコンビニで仕入れたざるソバのセットを広げての”豪華版”である。アイスボックスで冷やしてきたので、麺もタレも冷たくて初めての「ざるソバセット」はなかなかグッドであった。山頂では秋のような爽やかな風が吹き、うたた寝でもしそうなほどの柔らかい日差しが降り注いでいた。汗でびしょぬれだったバンダナも広げていたら瞬く間に乾いている。見渡す限りの大雲海を眺めながらのこの時間は、まさに至福のひとときで私は時間の経つのを忘れそうだった。しかし今日は皮肉にも所用のために夕方まで戻らなければならないのである。食後は時間を惜しむかのように、ザックを枕にして横になったのもつかの間で、たちまち予定時刻はやってきてすぐに腰を上げなければならなかった。せめて1時間だけ早く登り始めていればなあと反省しつつ、後ろ髪を引かれる思いで大朝日岳山頂を後にした。
大朝日岳山頂が目前
ナカツル尾根から
山頂で憩う登山者
向こうの山並みは袖朝日岳
大朝日岳から平岩山に向かう登山者