山 行 記 録

【平成15年7月13日(日)/南会津 蒲生岳】



会津蒲生駅近くの駐車場から蒲生岳を望む



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】南会津
【山名と標高】蒲生岳828m
【天候】曇り
【行程と参考コースタイム】
自宅5:00=蒲生岳駐車場7:50(145km)
JR只見線会津蒲生駅8:00(360m)〜夫婦松8:45〜鼻毛通し・西側岩壁分岐9:00〜蒲生岳9:20-9:40〜分岐10:00〜会津蒲生駅10:40

【概要】
蒲生岳は小さいながらも地上から一気にせり上がったその姿から「会津のマッターホルン」又は「東北のマッターホルン」と呼ばれている。国道252号線沿いの只見線会津蒲生駅が登山口で、駐車場も駅近くに整備されているのでアプローチはすごく楽であった。しかしこの山の標高差は500mにも満たないが、急斜面を一気に山頂まで突き上げるこのコースはとても828mの山とは思えず、厳しい岩場の通過も結構あるので決して侮れない山である。

昨日に続いて今日も登山者が見あたらない。会津地方一帯には曇り空が広がり、一部ではにわか雨も予想されているので、この週末の山はどこも敬遠されたのだろうか。只見線を横切って蒲生岳登山口と書かれた標識から畑の中に入って行き、水路から右手に進むと二荒山神社の裏に出た。ここには登山届けを提出するポストがある。神社の階段を下れば蒲生駅のホームに出るようであった。

ブナの薄暗い樹林帯をジグザグに登るとすぐに露岩帯の急登となる。岩盤は雨上がりのため濡れているので緊張したが、ステップが刻まれているので意外と登りやすい岩場だ。露岩帯を過ぎると松並木の急坂となり、すぐに「夫婦松」と書かれた標識を通過する。これは二本の松の木が寄り添うように立っており、一本の枝が他方を抱き抱えている姿に見えることから名付けられたようである。

今日も怒涛のような急登に止めどなく汗が流れた。日差しはなかったものの汗だくの体に尾根を渡る涼風が心地よい。標高は一気にあがってゆき、振り返るとゆったりと流れる只見川や蒲生の集落がどんどん小さくなっていった。しかし厚い雲が低く垂れ込めているために、周囲の低い山でさえも山頂付近は隠れて見えなかった。やがて垂直に見上げるような岩峰の基部まで来ると「右鼻毛通し・左西側岩壁」の標識がある分岐に着いた。左の岩場の急斜面にはフィックスロープもあってそれほど難しくはなさそうだったが、今日は他に登山者もいないことから危険地帯はなるべく回避することにして、右のトラバースルートを行くことにした。

岩稜帯のトラバース道は直登の巻道とはいえ、ここにもフィックスロープが何カ所もあって少しも気が抜けない。おまけに分岐からは濃霧に突っ込んでしまったらしく周囲の視界はなくなり緊張感が増した。しかし岩穴の鼻毛通しを通過し、山頂直下の風穴を過ぎると山頂はまもなくだ。ロープをつかみ体を引き上げながら急な岩稜帯を一気に登って山頂に到着した。山頂には「蒲生岳山頂からのパノラマ」と書かれた立派な鳥瞰図もあり、晴れていれば遮るものがない360度の展望が楽しめるところだったらしく、ここはまさしくお山のてっぺんという感じの山頂であった。

一休みしていると少しづつだが霧が晴れてゆき、半分あきらめかけていた山頂からの展望も、只見川や対岸の鷲ガ倉山、柴倉山もうっすらと見えるまでに快復した。しかし上空に居座っている分厚い雲は少しも動く兆しはなく、遠方に見えるはずだった会津朝日岳や越後駒ヶ岳、浅草岳などの会越国境の山々は濃霧に隠れて全く見えなかった。さらに雲が晴れるのを期待していたのだが、これ以上の展望はどうも得られそうにもなく今日はこれで満足するしかなかった。それでも気掛かりとなっていたこの会津の名山を登ることが出来て、私は心地よい達成感と共に山頂を後にした。



蒲生岳山頂
あいにくのガスの中で展望はなかった


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