山 行 記 録

【平成15年6月22日(日)/翁山(おきなさん)】



黒倉山付近から翁山を望む
このあたりは気持ちの良い草原地帯が広がっている



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】船形山周辺
【山名と標高】翁山(おきなさん)1075m
【天候】晴れ
【行程と参考コースタイム】
翁山小屋10:50〜翁山11:45-12:30〜黒倉山鞍部13:00〜翁山小屋13:30

【概要】
尾花沢市の東に位置する翁山。尾花沢市内を東に抜けた市野野集落の高橋バス停近くには、翁山の案内板が大きく掲げられてあった。翁山の登山口である翁山小屋へは、ここから奥の集落を経て、さらに長い林道を車で走ってようやく到着する。悪路のような林道の末にたどり着いたため、当然誰もいないだろうと思ったら車が3台も駐車してある。

さっそく登山口を示す標識に従って登山道に入った。約5分で小沢を渡るとすぐにブナ林の尾根道となった。落ち葉が降り積もった気持ちの良い尾根で、アプローチの悪さからみれば信じられないくらいによく踏まれている山道である。山中からはカエルやカッコウ、ヒグラシ、野鳥たちの鳴き声が休みなしに聞こえ、それはかまびすしいほどであった。やがて再び小沢を渡って対岸の尾根に移り、さらに登ると徐々に山頂が近づいた。途中には五合目、七合目と書かれた板の標識がブナの木につけられてある。そして八合目からは最後の急坂となり、登り切ったところが翁山の頂上であった。山頂には小さな神社が奉られてあり、すぐ近くの高みのピークでは3人の登山者が静かに昼食を楽しんでいる最中であった。ここは標高の割には見晴らしが良いのだろう。中央には三角点があり、四方にはそれぞれ鳥海山、朝日連峰、仙台湾、薬来山、御所山といった標識が潅木にぶら下げられてある。しかし、今日は昨日とは違って風もなく穏やかな山頂だったが、あいにく薄い靄がかかったような状態で、肝心の展望はあまりよくなかった。七合目付近で追い越してきた夫婦者が遅れて山頂にやってくると、静かだった山頂が急に賑やかになった。私も山頂の一角にザックを下ろして早速昼食だ。昨日のビールが全て汗となって流れたのか、いつのまにか背中はびっしょりと濡れていた。

のんびりと昼食を楽しんだ後、山頂からは南へと続く山道を下った。稜線の先には黒倉山、吹越山のなだらかな山並みが続いている。下り始めこそ樹林帯の中だったが、やがて道は開けて見晴らしがよくなった。目の前には熊笹と草原がなだらかに続く気持ちの良い尾根がひろがっていた。おもわず銀マットでも広げて昼寝や昼食をしたくなるような場所である。それは遠い昔日を思い出させるような懐かしい風景でもあった。ガイドブックでは翁山小屋へと下る分岐点まで30分とあったが、翁山と黒倉山との鞍部までは本当にきっかりと30分かかった。分岐点から別れると道はブナ林の急な下り坂となった。やがて道が緩やかになったところで「不老長寿の泉」に出た。この泉は地中からコンコンと湧き出ており、飲んでみると冷たくておいしい。この付近にはきれいな水が流れる小沢が所々にあり、そのいずれもが澄んだ伏流水のようであった。小沢にかかる丸太を渡ると、背丈ほどもある草が行く手を塞いでおり、道は急に不明瞭になった。この草ヤブの不快さは登りの山道の快適さとは対照的ともいえた。約15分のヤブ漕ぎでようやく登りの三叉路に飛び出すとほどなく翁山小屋に戻った。この翁山は標高こそたいしたことはないものの、吹越山に続く明るい尾根は一瞬信じがたいほど開放的な広がりを見せる別天地のようでもある。またいつか美味しい弁当でもたくさん持って日がな一日、のんびりと楽しみたい山であった。


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