山 行 記 録

【平成15年5月24日(土)/飯豊連峰 岳谷ブドウ沢口から五段山】



五段山山頂から飯豊本山を望む



【メンバー】2名(妻)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】飯豊連峰
【山名と標高】五段山1,312m
【天候】晴れ
【温泉】白川温泉「白川荘」300円
【行程と参考コースタイム】
岳谷ブドウ沢口9:00〜県境稜線9:50〜五段山11:10-12:10〜岳谷ブドウ沢口13:30

【概要】
飯豊連峰の大日杉登山口に向かい、民宿「惣兵衛」からは左へと伸びている大規模林道の舗装路へ入って行く。少し先に簡単なゲートが置かれてあったがかまわず進入して行くと、春先の土砂の崩落のためか、道路の至る所に落石や落木が目立つ。しばらくゆくと飯豊トンネルの手前で通行止めとなっておりその先は進めなくなっている。駐車場は別にないので車は道路の路肩に留めることにした。すでにトンネルの入口付近に車が2台留まっていたが、これは山菜取りの人達で、すでに朝の”一仕事”を終えたのか、私達が準備をしている間に2台とも去ってしまった。結局今日の登山者は我々2名だけのようであった。

登山道はトンネル手前から右手の小沢沿いに続いている。すぐに「川入切合登口」と書かれた標柱が建っており、そこからは急な山道になった。道は割合に整備されているようだったが、そこらじゅうに倒木があって登山道を塞いでいる。タムシバやムシカリ、ムラサキヤシオといった春の花が新緑に映えて美しく、また登山道の傍らにはイワウチワ、キクザキイチリンソウが盛りだ。しばらく登ると途中から勾配がきつくなりやがてジグザグに登って稜線にでた。地形図では1022mピーク付近である。ここは県境稜線であり、稜線の向こう側は福島県の山都町だった。正面の牛ヶ首山の稜線と思われる向こう側には残雪の飯豊の主稜が見えた。分岐には標識が立っていて、「川入切合1000m、左 月夜岳1.1km、右 五段山1.4km」とある。また道端には雪で倒れてしまったと思われる「岳谷ブドウ沢口」の標柱が横たわっていた。

稜線からは予想外に勾配のきつい山道が続いた。分岐から山頂までは約300mの標高差だからたいしたことはないものの、体調が不良気味のカミさんの足どりは重く、途中休み休みゆっくりと登った。稜線からはイワウチワに加え、カタクリやショウジョウバカマ、イワカガミなども仲間入りをしてきて、ますます春山の雰囲気が濃くなってくる。樹林がだんだん疎らになってくると、尾根の一角からは右手の潅木越しに大規模林道が見えた。ブヨの大群と蒸し暑さにうんざりしながら登っていると、途中からようやく残雪が現れるようなった。いくつかのピークを登り返しているとやがてなだらかな雪原となり、さらに進むと雪面から標識の頭だけを出しているなつかしい五段山の山頂に到着した。

五段山からは飯豊本山が大きい。ブナの新緑と残雪に輝く飯豊本山の、春ならではの眺めにはただうっとりとするばかりである。右奥には大日杉から登ってくる尾根が伸びているが、道はまだ雪に隠れている。今日は穏やかな五月晴れなのだが、大日杉からも登ってくる人もなく、また牛ヶ首山への踏跡も見あたらないので、飯豊の主稜をめざす縦走者もいないようであった。私達は雪原に銀マットを敷き、幾分早めの昼食とした。残雪と新緑が斑(まだら)模様の牛ヶ首山はいかにも春山らしい佇まいを見せており、そんな風景を眺めながら、ウグイスの鳴き声が聞こえるだけの静かな山頂で1時間ほど過ごした。

体調が少し戻ったカミさんは下りは快調の様子であった。下るほどに気温が増し汗が流れたが、時々尾根を吹き渡る風が心地よい。分岐からは時々山菜摘みを楽しんでいると、やがて沢音が大きくなり、まもなく登山口が近づいていた。ふと気が着けば午前と比べてタムシバやムラサキヤシオはさらに開花が進んでおり、なんの変哲もなかった登山道は一段と華やかさが増した感じだ。それはまさに春
たけなわといった雰囲気であった。



川入切合登口



キクザキイチリンソウが咲く



飛び出した稜線から飯豊の主稜線を望む




五段山の山頂
気持ちの良い雪原が広がる



五段山山頂の標柱



五段山から牛ヶ首山


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