山 行 記 録

【平成15年5月10日(土)/祓川〜鳥海山】



祓川ヒュッテと鳥海山



【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】出羽山地
【山名と標高】
鳥海山(七高山2,230m)
【天候】晴れ
【温泉】秋田県由利郡鳥海町「ホテルフォレスタ鳥海」500円
【行程と参考コースタイム】
祓川駐車場7:50〜七ツ釜避難小屋9:10〜鳥海山(七高山)11:00-12:00〜祓川12:30

【概要】
今日は鳥海山の東斜面を滑る予定であった。雪解けの状況次第では少しぐらい歩くつもりで百宅口に向かったのだが、大清水小屋に通じる林道にはまだ多くの積雪があって先には進めなかった。しかたがないので今日の百宅コースはあっさりとあきらめ、「法体の滝」経由で林道を祓川に抜け、今シーズン2回目の祓川コースを登ることにした。今日は平地でも気温0度と冷え込み、標高1100mの祓川は冬に逆戻りしたかのような冷たい風が吹いている。先日までの陽気がまるでウソのような膚寒さである。昨日も鳥海山に登ったという人の話では、昨日の朝には駐車場周辺の水たまりなどはすべて堅く凍ってしまったという。

祓川山荘を通り過ぎ、高度が上がるにしたがって徐々に大雪原が広がってくる。しかし2週間前に比べてかなり雪が少なくなっており、前回雪原だったところも今はヤブが現れて通れなくなっている。同じ所を登っていても懐かしいというよりもどこか新鮮な感じがした。上空は快晴でも風は冷たく、体感温度は氷点下である。きつい登りに体は温まるのだが寒風に晒されていると汗もでてこなかった。この真冬のような寒気のせいだろうか。雪面はオブラートのような薄い氷で覆われていて、その自然が作り出す不思議な造形美には目を見張った。そのオブラートには朝日が反射してキラキラと煌めいており、歩くとシャリシャリと音がした。

そんな雪面も七ツ釜避難小屋を過ぎるとほとんどアイスバーンとなった。アイゼンが必要なほどの堅さに急斜面ではシール登高ができず何回も滑ってしまい、一時は今日の山頂はあきらめようかとも思ったほどだった。しかし南斜面にまわると雪面は柔らかくなり、心配した山頂直下の急斜面もなんとか登り切ることができた。

七高山の山頂には結構登山者は多かったが、それでもGWの頃のにぎわいとは比すべくもない。新山や外輪山周辺を見渡しても誰も登っている人は見あたらなかった。心配していた風は不思議に山頂ではほとんど止んでおり、穏やかな天候の下でみんなくつろいでいる。春霞で遠望はきかなかったが山頂からは鳥海山の裾野まで見渡すことができ、私もビールをのんだり焼きソバを作ったりしてのんびりと山頂でのひとときを過ごした。

1時間ほどの休憩を終えると、周りの人たちに急かされるようにしながら私も滑降の準備を始めた。北斜面はまだクラストしている可能性があるので下山のルートは東よりの斜面を下る。雪面は予想どおり柔らかくて思わず快哉を叫びたくなる気分だ。快適な滑降は登りでの疲れをいっぺんで忘れさせてくれた。しかし一気に七ツ釜避難小屋を過ぎると周りには誰もいなくなってしまい、さらに下ると一人か二人程度登ってくる人がいたのだが、妙にその光景が寂しく見えてしまい、思わず途中で立ち止まってしまった。GWのあの喧噪を極めた時期が過ぎ去って、やっと本来の静かな山が戻ってきたというのに、一方では春山がすでに終わったような、一抹の寂しさを感じてしまい、私は妙な戸惑いを感じていた。


山頂からの風景


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