山 行 記 録

【平成15年5月6日(火)/姥沢〜月山〜石跳川〜志津】



鍛冶小屋付近から望む姥ケ岳と湯殿山
遠方は朝日連峰



【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】出羽三山
【山名と標高】月山 1,980m
【天候】快晴
【行程と参考コースタイム】
駐車地点8:30〜姥沢9:20〜リフト終点9:35〜月山11:15〜金姥〜石跳川上流12:20-13:30(休憩)〜志津(ネーチャーセンター)14:00〜月山荘前バス停14:30=姥沢14:55〜駐車地点15:10

【概要】
5月に入ってからの月山は初めてだろうか。4月は3回も月山に出かけていながら天候には恵まれなかった。今日は朝から好天が約束されたような快晴の空が広がっており、山頂からの展望を楽しみに、またできれば湯殿山も登るつもりで自宅を出た。姥ケ岳や月山周辺に雪はまだたっぷりと残っているが、ツアーコースを下るとなると石跳川付近の雪の状態が心配な時期でもある。

今日は駐車料金がもったいないので、姥沢とネイチャーセンターの中間地点に車を留め、そこからはシールで姥沢まで登ることにした。ツアーの終点であるネイチャーセンターから歩き出せばよいのだろうが、八甲田の疲れもあってさすがにその元気はなかった。ブナ林を登り詰めるとようやく姥沢の駐車場に着く。志津温泉界隈ではすでに新緑の季節を迎えていたが、姥沢周辺はまだ芽吹き前のブナ林と雪の白さのモノトーンの世界だ。

リフト終点からは再びシール登高を開始する。先日の八甲田山に続いて今日も無風快晴の素晴らしい上天気だ。暑いので日焼け止めをたっぷりと塗り、上半身はTシャツ一枚になる。姥ケ岳付近はGWが去ったとはいえ大勢のスキーヤーやスノーボーダーで賑わっていた。だが牛首に向かうと前方には誰も見あたらず、大雪原が広がっているだけである。雪はびしょびしょの湿雪のため、急斜面はすぐに崩れてしまい、トラバースには難儀した。牛首の稜線付近では姥ガ岳から稜線づたいに登ってきた単独の人に出会い、そこからはお互いに前後しながら登る。振り返ると尾根伝いにまだ何人か登ってくるところだった。

連日の好天続きで雪は前回よりも大分少なくなっていた。鍛冶小屋直下の急斜面は雪がすでに切れており、小屋手前でスキーをデポし、山頂には坪足で向かう。だれもいないと思っていた山頂には一人だけ先客がいた。涼しい風が吹く月山の山頂は汗をかいた体には気持ちの良いものだった。月山神社に参拝後、大雪城や念仏ヶ原を眺めながら少しの間休憩をとった。

鍛冶小屋まで戻ってシールをはずせば滑降の開始だ。下り始めると宮城からきたという山スキーのグループが4・5人登ってくる所だった。さらに下ると牛首付近では名古屋の二人連れが登ってくるところで、今日、月山の山頂をめざしているのはみんな県外の人ばかりである。牛首から広大な風景を眺めながらの滑降は快適だった。一気に下ってしまうのが惜しくなってところどころで立ち止まり、途中からトラバース気味に金姥に向かった。遅く登ってきた登山者が一人遠くに見えるだけで、他には一人も登山者が見あたらない。GW明けの静かな月山であった。

金姥付近もだいぶ雪は少なくなっていた。雪面を拾いながら姥ガ岳を巻いてゆくと正面に湯殿山が飛び込んでくる。久しぶりの眺めだったが、その湯殿山は雪庇の崩落が激しく、稜線付近は大きな亀裂もいくつか見えた。今にも崩れそうな箇所を見ると、危険を冒してまで湯殿山を登る気持ちはなくなっていた。湯殿山の旬はすでに過ぎ去ってしまったようである。湯殿山を登らないとなると時間はありすぎるほどあり、大休止をとることにした。石跳川の上部付近でザックを下ろし、ビールを飲みながら焼きソバをつくる。乾いた喉に雪で冷やしたビールはことのほかうまい。石跳川周辺には暑い日差しが降り注ぎ、いつまでものんびりしていたい気分だった。

遠くで雪解け水の流れる音が聞こえていた。1時間以上も休んでいるとバス時間が気になり始め、やおら腰を上げるとそこからはブナ林の緩斜面をのんびりと下りはじめた。ワックスを塗り直したスキーも枯葉、枯れ枝が目立つ雪面ではすぐに滑らなくなる。まるでブレーキがかかるような悪雪だったが、それでも石跳川沿いの滑走は気持ちが良く、結構惜しみ惜しみ下った。デブリの跡のような箇所を恐る恐る通過したり、雪が少なくなった斜面をいつもより慎重に下るのだが、長いコースもスキーだとたちまちで、徐々に終点のネイチャーセンターが近づいていた。ネイチャーセンター付近は暑い夏のような日差しが降り注ぎ、目映いばかりの新緑に包まれていた。


月山の山頂から見る、念仏ヶ原と月見ガ原



湯殿山の東斜面


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