山 行 記 録

【平成15年5月4日(日)/睡蓮沼〜猿倉岳〜駒ガ峰〜櫛ガ峰



北八甲田連峰を背に気持ちの良い雪原を歩く
左から大岳、小岳、高田大岳



【メンバー】2名(妻)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、酸ヶ湯温泉にテント泊(山行は日帰り)
【山域】南八甲田連峰
【山名と標高】
猿倉岳1.354m、駒ガ峰1,416m、櫛ガ峰1,517m、
【天候】晴れ時々曇り
【温泉】猿倉温泉 500円
【行程と参考コースタイム】
睡蓮沼8:15〜猿倉岳10:15〜駒ガ峰11:10〜コル12:00-12:20(昼食)〜櫛ガ峰12:45〜駒ガ峰14:00〜猿倉岳14:30〜睡蓮沼15:00

【概要】
睡蓮沼から猿倉岳、駒ガ峰とつないで櫛ガ峰へ至るコースは南八甲田連峰ではメインともいえるコース。北八甲田と違って静かな山スキーを味わえると聞いて以前から実現したいと思っていたものである。南八甲田はなによりもスキー場がないのがうれしい。緩やかな起伏が続く雪原やピークを自分の足だけでたどるこのコースは、北八甲田とは全く別世界の雰囲気がある。

睡蓮沼の入口付近には朝早くから警察官などが所々に立ち、違法駐車を監視中であった。むやみやたらな場所には駐車できなくなっていたが少し先のスペースをなんとか見つけて路肩に駐車する。道路の両側は高い雪壁になっているので、睡蓮沼への上がり口付近まで戻らなければならなかった。シールを貼り終えるとさっそく進路を南にとって歩き始める。早めに登っていったグループのトレースがあるのでその後を追う。天候も穏やかで私たちは途中で休憩をとりながらのんびりと登った。

ブナやダケカンバ、オオシラビソの混じった樹林帯を抜け出ると広々としたなだらかな雪原に出る。振り返ると大岳、小岳、高田大岳などの北八甲田連峰の峰峰が大きく聳えている。素晴らしい展望に思わず感動するほどだ。猿倉岳の稜線に出るとほどなくニセ駒のピークに着いた。猿倉岳はすぐ近くなのだがこのピークの方が少し標高は高い。少し右に回り込むとこれから向かう駒ガ峰と真っ白いピークの櫛ガ峰が正面に見えた。小休止後はシールのまま駒ガ峰に向かった。

遠くからは前方に立ちふさがるかのように見えた駒ガ峰も、近くに立つとそれほどではなく、コルからはひと登りでピークに着く。ここでは早くも下ってきた人に出会ったが、聞いてみると櫛ガ峰まではあまりに遠いので駒ガ峰から引き返すという人達であった。たしかに駒ガ峰から櫛ガ峰までは距離もかなりあって、途中何カ所かのアップダウンもあるようだった。ピークを卷いて行くことも出来そうだったが、急斜面には亀裂が入っていて危険な状態になっていた。かなり崩れ掛かっている箇所もあり、先人のトレースもみな尾根伝いに続いていた。

やや密生したオオシラビソの林を難儀しながら抜け出るとようやく櫛ガ峰の鞍部に着いた。駒ガ峰からは結構距離があって、やっとたどり着いたという感じである。ここでカミさんは足の不調を訴えたため、休憩を兼ねて昼食をとることにした。櫛ガ峰は目前だったが、足は靴擦れのためか少し痛むらしかった。無理をすれば引き返すのも難しくなりそうなので、結局、櫛ガ峰までは私が一人で往復してくることにした。

コルの樹林帯を抜けると大勢のグループが休んでいた。全部で10数人もいるだろうか。みんな櫛ガ峰の大斜面を滑り終えて一息をついている様子であった。コルからは約200m強の標高差だが、櫛ガ峰の斜面はさすがに傾斜がきつく、最後はジグザグに登り右手の尾根を詰めてようやくピークに到着した。きつい登りに全身から汗が噴き出していた。櫛ガ峰山頂は、北八甲田の好展望台なのだが、意外にも北八甲田連峰は濃いガスに包まれており、あいにくどのピークも見えなかった。カミさんが下で待っているので、のんびりと休憩を取るわけにもゆかない。私はシールを取ると休憩もそこそこに滑降を開始した。どこから現れたのか急斜面には大勢のパーティが張り付いており、みんな櫛ガ峰への最後の登りに耐えている様子だった。櫛ガ峰は急斜面ではあったが、春のザラメ雪は快適で、無木立の広い斜面に大きなターン孤を描きながら下った。快適すぎて下るのが勿体ないほどの斜面である。しかし残念ながら標高差はあまりなく、瞬く間に鞍部に着いてしまった。

カミさんと合流後は再びシールを貼って駒ガ峰へ引き返すことにした。予定では櫛ガ峰を下った後、尾根の南側を卷くつもりだったが雪の状況が悪いので往路を忠実に戻る行程である。結局、カミさんにとっては櫛ガ峰を滑ることもなく引き返すことになり、つらい往復になってしまった。ようやくシールをはずした駒ガ峰のピークからは中斜面を少し下り、鞍部からはニセ駒のピークへと登り返す。起伏が緩やかなので特にシールを貼るまでもなかった。ニセ駒からは睡蓮沼までの行程を残すのみとなり、カミさんにとってはここからが今日のハイライトである。最初はオオシラビソの疎林の広がる緩斜面をゆったりと下り、樹林帯が混んでくると林を縫うように高度を下げてゆく。右寄りに下りすぎたために、途中でトラバース気味に尾根に戻ると再び広々とした雪原に出た。一部雪が消えて湿地帯が露わになっている箇所を横切って行くと、八甲田山を周回する環状道路、アスピーテラインはもうまもなくであった。




櫛ガ峰を後にして駒ガ峰に戻る


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