山 行 記 録

【平成15年3月29日(土)/吾妻連峰 デコ平〜西大巓〜西吾妻〜二十日平



ホワイトアウトの西吾妻小屋



【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】
吾妻連峰
【山名と標高】
西大巓1981m、西吾妻山2035m
【天候】曇り
【行程と参考コースタイム】
グランデコスキー場リフト終点10:30〜西大巓11:40〜西吾妻小屋12:10-12:45〜西吾妻山13:00〜二十日平〜
グランデコスキー場14:20-14:30〜駐車場14:45

【概要】
グランデコスキー場のリフト終点の標高はすでに約1600mである。ラッセルさえなければ2時間もかからずに西大巓の山頂に立てることから手軽な山スキーのコースであるが、さらに西吾妻小屋を経て西吾妻山から二十日平に下ればさらに充実した日帰りツアーとなる。この手軽さが良くてこの二十日平下りは3回目となった。

リフト終点に降り立つと千葉からきたという山スキーの3人組がシールを貼って登り始めるところだった。この3人組とはお互いに前後して西大巓まで登ることになる。今日は晴れ間が広がる予報がでており、初めはツアー日和と思っていたのだが、登り初めて30分もしないうちからガスにつつまれてしまい、西大巓直下からはほとんど視界がなくなってしまった。まあそれでも晴れるだろうといういつものはかない望みに期待を託しながら登り続けるものの、結局、下山するまで晴れることはなかった。

晴れていれば西大巓の山頂からは360度の展望が楽しめるのだが、5m先がようやく見える程度の視界しかない。三角点が雪に埋もれているのを確認しただけで西大巓を下った。気温も上がらず、アイスバーンのためにシールのままである。西吾妻小屋との鞍部付近でガスの中を彷徨しているスノーボーダーが二人いたが、西吾妻小屋まで行くつもりだという二人を追い越して私は小屋への道を急いだ。

西吾妻小屋周辺も濃いガスに包まれていた。周囲には別にスキーも見あたらないので、当然小屋には誰もいないだろうと思っていた。しかし中に入ってみると、意外にも親子連れが一組、昼食をとっているところだった。新潟から来たという父親らしい人は3人の子供を連れてスノーハイキングにきたものらしい。稜線からは雪が締まっているので、カモシカ展望台まで履いてきたスノーシューは途中でデポし、そこからは防寒ブーツできたという。こんな悪天候の中をよく来るものだなあと感心するばかりだが、私と同年輩のような男性はこの西吾妻山界隈に何回もきているベテランなのかも知れなかった。

昼食を食べている間に視界が晴れればという期待もむなしく、周囲の濃霧は相変わらずだった。スノーボーダー達はいくら待っていてもやって来る気配はなく、もしかしたら途中で引き返したのかも知れなかった。この西吾妻小屋からは、もとのコースを引き返すより西吾妻山から二十日平を下る方がはるかに早いので、小屋を出るとシールはつけたまま山頂にむかった。山頂では意外にも山スキーの二人組に出会う。一緒に二十日平を下る人がいる!とはじめは喜んだのだが、残念ながら天元台に戻る人達であった。山頂では強烈な寒気のガスが吹き荒れる中、そそくさとシールをはずす。真冬のような気温の低さに両手の感覚がなくなっていた。

西吾妻山から下ると堅く締まったアイスバーンが続き、それもウインドクラストした雪面では滑るどころではなく、横滑り、キックターンで凌ぎながら高度を下げた。今回はなるべく尾根をたどりながら下ることにして方角を決める。下って行くうちに少しずつ視界がきくようになり安心感が広がった。いつもは沢沿いのコースを選んで下っていたのだが、今日のルートは広々とした無木立の緩斜面が広がっており、雪質がよければ快適な滑降を楽しめるようであった。まもなくオオシラビソの樹林が現れるとようやく雪面が柔らかくなり、樹林帯の中での気持ちの良いターンを楽しめるようになった。

やがて平坦な場所に出るとしばらく推進滑降が続く。地形図上で標高1548mの表示がある辺りは、深雪ならばラッセルが必要な所だ。オオシラビソの樹林帯は込み入っていたが、疎林がところどころに現れるのでそんな斜面を縫うようにして下ると、やがて二十日平の緩斜面にでた。正面には磐梯山が現れ、右手にはグランデコスキー場も見えている。ここは日当たりの良い南斜面ということもあり、雪面はすでにモナカ雪となっている。すでに快適な滑りとは行かなくなっていた。そこからは中ノ沢を横断して対岸に渡り、カラマツ林を抜けるとスキー場のゲレンデに出る。最後はゲレンデを滑走して今日のツアーが終わった。振り返ると西大巓や西吾妻山にかかっていた雲がようやく晴れようとしており、西の空には青空も広がりはじめていた。



西大巓山頂直下
この頃、一瞬ガスが晴れる



二十日平から仰ぐ磐梯山


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