山 行 記 録

【平成15年3月8日(土)/鍋倉山】



正面に聳える鍋倉山をめざして平坦な雪原を行く



【メンバー】9名(大川、藤倉夫妻、今野夫妻、青島、伊藤、松本、蒲生)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】信越国境(長野県飯山市)
【山名と標高】鍋倉山 1289m、
【天候】曇りのち雪
【行程と参考コースタイム】
自宅=(R113,R7)=新潟西IC=越後川口IC(R117)長野県飯山市温井
温井除雪終了地点9:00〜11:20鍋倉山(周辺の滑降と昼食)13:10〜温井除雪終了地点14:10

【概要】
埼玉「自然を滑る会」のメンバーの人達とはちょうど1カ月前の小野岳以来である。この週末の東北地方は先週に引き続き悪天候が予想されていたため、予定していた飯森山や二王子岳は中止となり、その代替案として今回の鍋倉山となったものである。鍋倉山は千曲川沿いに続く関田山脈の一角の山で、標高はたいしたことはないものの、北斜面には見事なほどのブナ林が広がっているという。このブナ林を縫って滑降する山スキーが思いのほか快適だというので、遠路はるばると信州まで出かけてみることにした。

山形県や新潟県は昨夜からかなりの雨が降り続いていた。その雨も長野県まで南下するとようやく上がり、千曲川にかかる大橋を渡る頃には一部に青空も見える程まで天候が回復していた。今回は温井の集落が途切れる除雪終了地点が集合場所である。この辺の標高は約560mで山頂までの標高差は約730m。登りで2時間30分ほどの行程というと手軽な山といえるだろうか。一同揃った所で早速シールを貼って出発だ。私はもちろん初めての山域であり、先を行くメンバーにただついてゆくだけだからお気軽ツアーの気分だ。

斜面に取り付き樹林帯を抜けるとまもなく平坦な雪原に出た。雪に覆われている道形は関田林道である。地形図によると近くに大きな田茂木池があるのだが、もちろんまだ雪の下に隠れていてわからなかった。まもなく木造の山小屋の前を通り過ぎ、鍋倉山の山腹をトラバース気味に徐々に登って行く。左手の尾根伝いに直登することもできそうだったが、そこは下りの楽しみにとっておくルートなのだという。やがて山裾から北斜面に回り込むと目の前には一面のブナ林が広がっていた。それは予想以上の規模のブナ林で、中には直径1mを超す巨木がいたるところにある。普通はブナ林といっても他の雑木が少しは混じっているものだが、ここには他の樹木は全く見あたらない。全てブナの木なのである。ブナの原生林を徐々に登り詰めると山頂直下にでた。山頂まではもう100mもないくらいで、すぐ目の前が黒倉山とのコルとなっており、無木立の稜線はすでに風雪模様であった。

昼食には少し早いのでザックを樹林帯に置いてみんなで一本滑ろうということになった。山頂まではひと登りだ。風雪の中でシールを外すと、みんな思い思いに斜面に飛び込んでゆく。適度な斜度のため、深雪の滑降は快適の一言である。少し下るとパウダーのブナ林となり、あまりの快適さにこのままずっと下まで滑って行きたくなるほどだった。かなり下ったところで私達が登ってきたトレースに出会うと、再びシールを貼り、ザックをデポした地点まで戻った。樹林帯にもかかわらず雪は激しく降り続いている。この降りしきる雪の中での昼食となったが、大川さんや藤倉さんがおでんを作ってくれて、その熱い具を口にほおばると体の芯から温まった。

昼食後はザックを担いで再び山頂へ登る。雪はますます激しく降り続いていて、視界はほとんどなくなっていた。山頂ではそそくさとシールをはがして、早速滑降を開始した。コースはほぼ東に伸びる尾根を下るのだが、この尾根も適度な勾配があって、ブナ林をポールに見立てて下って行くのは気持ちの良いものだった。ブナ林にはいると雪も小降りとなり、滑降するみんなの歓声が林間にこだました。軽くて柔らかい雪は転んでも楽しい。昼前から崩れだした天候のため気温は上がらず、それがかえって良い雪質を維持してくれたようであった。山小屋まで下ってくるとさすがに雪は重くなったが、滑降はここでほとんど終わりである。山小屋の前にはスノーモービルが5〜6台駐車してあり、中では地元の人達が宴会でも行っているようであった。そこからは湿って重くなった雪をなだめすかししながら平坦な雪原を好き勝手に滑ってゆき、最後に杉林の急斜面を下って林道に飛び出すと今日のツアーは終了した。



鍋倉山の山裾を登るメンバー
正面は黒倉山から伸びる稜線




見事なブナ林の中を登る



ブナの巨木に見とれる
人間と比べるとその大きさに驚く


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