山 行 記 録

【平成15年2月8日(土)/南会津 大内宿〜小野岳】



小野岳山頂で記念写真
(藤倉@埼玉さん撮影)



【メンバー】大川(栃木)他、「自然を滑る会」メンバー(計13名)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、湯野上温泉泊(山行は日帰り)
【山域】南会津
【山名と標高】小野岳 1,383m
【天候】晴れ
【温泉】湯野上温泉「ホテル大島」
【行程と参考コースタイム】
大内宿登山口9:00〜小野岳12:00-12:50〜大内宿14:30

【概要】
小野岳は福島県南会津郡下郷町に位置しており、すぐ近くにはわらぶき屋根の駅舎で有名な会津鉄道、湯野上温泉駅がある。また江戸時代の宿場の面影を今に残す大内宿はこの小野岳の主要な登山口にもなっているところだ。今回はこの大内宿口から取り付く計画で、案内人は小野岳の山スキーでは経験豊富な栃木の大川氏である。メンバーは大川氏のほかに「自然を滑る会」の10名その他で総勢12名ほどもおり、私はこのツアーに加わる形での参加となった。なおこの大内宿では、今日と明日の2日間、冬のイベントである「大内宿雪祭り」が開催される予定であり、「自然を滑る会」のメンバーの中には山スキーよりも下山後のイベントの参加を楽しみにしている人も多いようであった。

大内宿の集落では道路が工事中であったが、その先の林道は除雪がされており、迂回してゆくと登山口までは問題なく車が入れた。路肩に車を留めて、準備を整えると早速シール登高を開始する。今日は広く高気圧に覆われるとあって、朝から青空が広がる絶好のツアー日和である。夏道をショートカットして薄暗い杉林の中を黙々と登る。やがて樹林帯から抜け出すと周囲はまぶしいほどの明るさに包まれた。春を思わせるような陽気の中で汗がひとしきり流れたが、尾根までは気持ちの良い登りが続いた。

沢沿いの登りから尾根に上がると付近一帯はいつのまにか美しいブナ林となった。青空を背景にして雪の白さとブナの美しさにはいつもながら感動するばかりだ。下りの滑りが楽しみな緩斜面をしばらく登ると、やがて1223mのピークに着いた。小野岳はコルをはさんでもう目前に聳えている。行動食などを食べながらいっときの休憩を楽しむ。汗をかいた体に冷たい水がとてもおいしかった。

コルからは最後の急斜面にひと踏ん張りだ。気温はどんどんと上昇しているようで汗が止めどなく流れる。雪は柔らかく、特に山頂近くになるとスキーでもズボズボとぬかるので閉口した。どうも積雪の下はササヤブの空洞になっているようであった。急坂をジグザグに登り、斜度が緩くなるとようやく山頂に到着した。

山頂は一面の広い雪原となっていた。夏にはヤブに覆われて展望は今一つらしいのだが、雪に覆われるこの時期は結構眺望を楽しむことができるようだ。山頂からはひときわ白い飯豊連峰が大きく、吾妻連峰、安達太良山のすぐ近くには端正な磐梯山が聳え、また北西の方角には浅草岳や守門岳などの会越国境の山も望める。山頂には春のような日差しが降り注いでおり、今日はまるで楽園のような雰囲気が漂っていた。しかし下界では早くも大内宿の雪祭りが始まったのか、騒々しい音楽がこの山頂までも聞こえてきたのには興醒めであった。

思い思いの休憩を楽しんだ後はいよいよ滑降の開始である。1223mのコルまでは雪だるまになりながらも深雪の急斜面を楽しんだ。コルからはスキーを担いで1223mへ登り返す。しかし楽しい滑りもピークからの緩斜面までで、沢を下り始めると雪質はひどいものになっていた。気温の上昇とともに急斜面が一部崩れたりしてまともに滑れる状態ではなくなっていたのである。荒れた雪面を這々の体でようやく通過するとさすがにホッとしたのだが、樹林帯をほとんどボーゲンで下り、林道に降り立ったときには疲労困憊の状態であった。

下山後は雪祭りの行われている大内宿の会場に立ち寄った。みんなは甘酒などを飲みながら、山スキーの疲れも忘れていろんなイベントに飛び込みで参加したりした。その大内宿雪祭りにも疲れ果て、この日の宿である湯野上温泉に着くと、さっそく温泉に飛び込んで冷え切った体を温めた。そして風呂上がりに飲んだ、少しのビールでいっぺんに酔いがまわってしまい、その後はいつものことながら不覚の状態に陥った。その夜、山スキーが三度の飯より大好きな仲間達とのつかの間の交流は温泉以上に心温まるものであった。


1223mのピークで休憩
コルの向こう側には小野岳が目の前


広々とした小野岳山頂


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