山 行 記 録

【平成15年2月1日(土)/南蔵王連峰 白石スキー場〜不忘山】



不忘山の山頂直下



【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】南蔵王連峰
【山名と標高】不忘山1,705m
【天候】雪
【行程と参考コースタイム】
スキー場リフト終点10:00〜不忘山12:20〜白石スキー場駐車場14:00

【概要】
久しぶりに宮城県の白石スキー場に向かった。平地では日差しもあって晴れそうな様子だったが、駐車場に着いてみると山頂は厚い雲に隠れていた。リフト終点ではワカンを履いた登山者達が7〜8人ほど準備中で、私はシール貼り終えて一足先に樹林帯に入った。

早くもスキーで登っている人がおり、スキーのトレースが一本不忘山に向かっている。私はしばらくその踏跡を追う。樹林帯を抜けると吹きさらしの雪原だ。風はまだそれほどでもないのだが視界はあまり良くない。正面の不忘山は雪が降っているらしく、うっすらと見えるだけであった。そのうちもう一本の左側のリフトで登ってきたと思われる、新たなワカン組の踏跡が左手から現れた。積雪はかなりあるので大勢で歩いた踏跡は深い溝のようになっている。やがてスキーの踏跡は尾根の取付には向かわず、途中から左手に大きく離れていった。このままワカン組の踏跡をたどれば楽して山頂まで行けるなあ、とのんびりと構えていたら尾根の取付付近でその登山者達に追いついてしまった。8人ほどもいるそのグループはガイド山行らしく、わざわざ東京から不忘山を登りにきた人達だった。予想外の悪天候のためかみんなは浮かない表情をしている。私はラッセルのお礼をいってここからはラッセルを替わった。

斜面は徐々に急になり、また雪が深いので想像以上にラッセルがきつかった。スキーでも膝まで潜ってしまうので、一歩一歩スローモーションのような足どりだ。晴れると思われた天候は山頂が近づくにつれて風雪の様相を呈してきていた。沢を挟んで左手に見える筈の水引入道もかすかに見えるだけである。足が痙攣しそうになったので、途中でラッセルを変わってもらおうと思ったのだが、なかなか8人組は追いついてこない。結局一人で先頭を登ることになった。

山頂付近は風雪が厳しく、まさしくブリザード状態であった。雪は正面からビシビシと音を立ててぶつかってくる。山頂直下のヤセ尾根ではスキーをデポした。今日の山頂は間違いなく私が一番乗りだろうと思ったら、途中で坪足の踏跡を見つけがっかりする。山頂では登山者がひとり風を避けるようにして休んでいた。声を掛けてみると朝方のスキーのトレースの持ち主であった。やはり沢伝いに直接登ってきたそうでスキーは沢の上部で脱いできたという。視界はかろうじて十数メートル先が見える程度で、展望を楽しむような状態ではなく、白湯を一口飲んだだけでそそくさと山頂を後にした。スキーをデポした地点もまだ尾根上の一角であり強烈な風が吹いている。シールをはずす間、あまりの寒さに指先の感覚がなくなりそうであった。

不忘山の広大な斜面を一気に下ると風が少し弱まった。深雪なのに雪質はあまり良くなくてターンをするたびにこけたりした。下山する方角がはっきりするにつれて不安も納まり、途中でやっと休憩する気分になる。斜度がいくらか緩やかになった中腹で遅い昼食をとることにした。雪はあいかわらず降り続けており、カップラーメンを食べている間も全身に雪が降りかかった。私は昼食を簡単にすませると、緩斜面をゆっくりと下る。中腹からパウダーのような軽い雪質となってターンが楽になった。今日は期待した好天とは裏腹に、終日風雪に見舞われた一日であった。上空には昨日までの寒気がまだ居座り続けているのだろう。快適な滑りはわずかだったが、この一瞬の楽しみのためにこそテレマークの神髄があるのだと思うことにした。


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