山 行 記 録

【平成15年1月4日(土)/吾妻連峰 吾妻スキー場〜慶応吾妻山荘】



慶応吾妻山荘



【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】五色沼周辺
【天候】風雪
【行程と参考コースタイム】
吾妻スキー場リフト終点10:10〜慶応山荘分岐11:50〜慶応山荘12:00-14:00(休憩)〜吾妻スキー場駐車場15:00

【概要】
山形では朝から少し強い雨が降り続いていた。一方では上空に今冬一番の寒気が入っているために、海や山は大荒れになるだろうと気象台では気象情報を出して注意を呼びかけている。福島県に入ると吾妻連峰には早くも薄黒い雪雲が覆い始めており、中腹から上は全く見えなくなっていた。なんとも不穏な天候を感じさせる週末であった。

吾妻スキー場は既に強風に雪が混じる大荒れの天候で、駐車場はガラガラに空いていた。私は天候が気になりながらも予定どおり吾妻小舎までゆくつもりでザックをパッキングした。リフトに乗っているときは強風のため大きく揺れ動き、振り落とされないようにリフトにしがみついた。リフトを乗り継ぐにつれて、風はますます激しくなり、時折前が見えなくなった。

リフト終点でシールを貼り、目出帽とフリースの帽子を2枚重ねて防寒対策を万全にした。樹林帯に入ると少し風が弱くなったものの、それでも強風は林の間を突き抜けてくるので時々目を開けていられなくなり、途中でゴーグルもつけた。幸いトレースが2人分あり、ありがたく利用させてもらう。吾妻スキー場は2週間振りだが、前回よりも雪はかなり多く、先行者のラッセルもたいへんそうである。しかし歩き始めて1時間ぐらいの所でその二人組に追いついてしまった。もちろんトレースはこの先消えている。二人はルートからはずれた木の下で腰を下ろして休んでいた。二人は日帰りの予定でこの付近までの散策程度にきたのだという。吾妻小屋まで一緒に行けたらと思っていただけにがっかりした。ここまでのラッセルに礼をいって先に進むことにした。

一人でラッセルをしてみると雪は予想以上に重くびっくりした。一歩一歩をゆっくりと登るのだがすぐに呼吸が荒くなる。スキーでもかなり潜ってしまうほどの深雪ということもあるのだが、今にもバテそうな具合に我ながら全くなさけない。ザックも今日に限って重く、よけいなものをいっぱい詰め込まなければよかったと後悔した。ひたすら雪道を漕いでようやく慶応山荘の分岐までたどり着いた。

風雪はますます激しくなっていた。今日の天候とこのラッセルでは単独で山を越えて行くのは無理ではないかと思い始めていた。私は大根森へのルートを見送り、分岐から慶応吾妻山荘に向かった。山荘の入口は20cm程の雪で埋まりひっそりとしていた。雪かきをしていると先ほどの二人も小屋にやってくるのが見えた。小屋は留守だと思っていたのだが、しばらくすると中から管理人が出てきた。

今日のような悪天候の時の山小屋ほどありがたいものはない。部屋に入れてもらうと管理人はまずお茶を淹れてくれて、その後でコーヒーをご馳走になる。二人は管理人とは顔なじみらしく、いつのまにか会話に余念が無くなっていた。私はカップラーメンを食べようとザックからテルモスを出すと「ちょっと待っていればもっとうまいものがでるぞ」と管理人がいう。すると見ている間に材料を刻み、鍋料理を作りはじめてしまったのだった。3人とも遠慮無く温かい料理をごちそうになりながら、私は今日の行動をここで打ち切ろうと考えていた。好天に恵まれれば五色沼までの行程は何の問題もないのだろうが、あらためて厳冬期での難しさを思うばかりだった。

慶応吾妻山荘ではその後も黒豆煮やデザートもいただきながら2時間ほどゆっくりしていた。冷え切っていた体もすっかり温まっている。管理人にお礼をいって外に出てみると相変わらず吹雪模様であった。風雪で何も見えないような平坦な雪原を横切り先ほどのルートに戻ると、私たちのトレースは休んでいる間にすっかり消えていた。


慶応吾妻山荘の入口
ひっそりとしていたので留守かと思ったら
しばらくしてから管理人が出てきた


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