山 行 記 録

【平成14年11月23日(土)/蔵王連峰 坊平〜刈田岳〜熊野岳】



ゲレンデから一歩出れば静かな雪の世界が広がる蔵王坊平



【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】刈田岳1,758m、熊野岳1,841m、
【天候】快晴
【行程と参考コースタイム】
第1リフト終点9:50〜第2リフト終点10:20〜お田ノ神避難小屋10:40〜馬ノ背11:30〜刈田岳11:40着/12:15発〜熊野岳13:15着/13:35発〜お田ノ神避難小屋14:30〜坊平スキー場駐車場15:00

【概要】
今シーズン初めてのテレマークスキーである。快晴が約束されたような天気予報を聞き、久しぶりに蔵王坊平スキー場に向かった。当然駐車場から登るつもりでいたところ、ライザスキー場は今日がオープン日であった。例年だとスキー場オープンは12月に入ってからなのだが、さすがに今年は雪が早かったこともあり、他のスキー場と同様に急遽オーブンを早めたようである。しかし動いているのはリフトが1基だけで、リフト終点からは久しぶりにシールを貼って歩き出した。

ゲレンデを離れるとスキー場の喧噪は遠ざかり、辺りはすぐに静寂に包まれた。今日は雲一つない快晴の空が広がり、シール登高は快適そのものだ。日差しは暑くて、一時はウールのシャツも脱ぎ冬用の下着一枚で歩いた。積雪はお田ノ神避難小屋の入口のドア上部が少し見える程度だから、およそ1.5mぐらいだろうか。蔵王ではまだまだ雪は少ない方だろう。ブッシュが所々に見えており、無木立の大雪原というわけにはゆかなかったが、それでも新雪をいだいた蔵王の美しさに久しぶりに感動する。

前方には単独のテレマーカーが一人見えるだけで他には誰もいない。その人とは廃線のリフト小屋付近で追いつき、しばらく一緒に休憩した。そこまでは全く風はなく汗が背中から流れたりしたが、馬ノ背に出るとさすがに風が出てきた。強風というわけではないものの、気温は低く、馬ノ背から刈田岳までは手袋や帽子、アウターの冬装備に身を固めた。馬ノ背は強風のために所々地肌が出ているので、スキーを傷つけないように気を使った。

刈田岳山頂からは半分氷結したお釜を眺めながら昼食とした。テルモスからお湯を注いでカップラーメンを作り、食後は例によってコーヒーを淹れる。それだけのささやかな食事だが、久しぶりに晴れ渡った山頂からの景色を眺めながら、なんともいえぬ満足感で一杯になる。冬の蔵王の山頂でこれぐらい晴れ渡るのもかなり珍しい方だろう。真っ白に冠雪した吾妻連峰や飯豊連峰。朝日連峰の右には月山、村山葉山と続き、もっと右に目を転じれば船形連峰や神室連峰も望めた。今日はまったく遮るものがない展望が広がっていた。

また、いささか人口に膾炙しすぎた嫌いのあるこのお釜も、冬には見違えるほど魅力的になるから不思議なものである。さながら雪のマジックともいえるだろうか。今日はこのお釜を眺めただけで引き返そうかとも思っていたのだが、あまりに天気がよいので昼食後は熊野岳まで足を延ばすことにした。熊野岳は目前に避難小屋も見えるのですぐに着いてしまいそうだが、距離は結構あって、刈田岳を出発してからちょうど1時間かかって熊野岳に着いた。

熊野岳からの展望は刈田岳と同じ様なものだが、北蔵王連峰がすぐに目の前で大東岳も近い。ここでも十分に展望を楽しんでから山頂を後にした。熊野岳の大斜面はアイスバーンのためにシールのまま下った。雪が少ないので小さな沢もまだ埋まり切ってはおらず、沢状の窪地を何回か登り返したりしなければならなかった。ブッシュもまだかなり出ているので決して快適な滑降とは言えなかったが、天候があまりに良いのでそんな道草も楽しいだけである。ようやく
廃線のリフト小屋に戻ると、そこからはシールを外して、坊平スキー場まで一気に下っていった。


刈田岳山頂から望むお釜
まだ半分しか氷結していない



熊野岳から廃線のリフト小屋にようやく戻る


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