山 行 記 録

【平成14年10月12日(土)/飯豊連峰 梶川尾根〜丸森尾根】



丸森尾根の紅葉



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】飯豊連峰
【山名と標高】梶川峰1692m、扇ノ地紙1889m、地神山1,849.6m
【天候】晴れ
【温泉】小国町長者原「梅花皮荘」500円
【行程と参考コースタイム】
飯豊山荘7:00(410m)〜湯沢峰8:07〜滝見場8:35〜五郎清水9:10〜梶川峰10:00〜扇ノ地紙10:45〜地神山11:15〜地神北峰(昼食)11:30着/12:15発〜飯豊山荘14:50

【概要】
今日は朝の冷え込みが厳しく、小国町を走っているときの外気温はたったの4度しかなかった。登り初めから長袖のシャツを着るのは久しぶりで、この飯豊連峰も秋が一段と深まったことを感じさせた。飯豊山荘を歩き出すと湯沢に架かる橋が工事中のため、迂回路を通り梶川尾根に入る。この迂回路は梶川尾根に直結されており、温身平へ行くには少し下る形になる。まだ気温は低いものの、陽はすでに高く、雲ひとつない快晴の空が広がっていた。30分ほどの急登で一息をつく。体もようやく温まりここからはTシャツで登った。湯沢峰付近で小屋泊りと思われる人達を10数人ほど追い抜くと周りには誰もいなくなり静かな尾根道となった。紅葉は湯沢峰付近ではまだそれほどでもないが、滝見場付近まで登るとブナの褐色や赤いナナカマドが目立つようになり徐々に鮮やかさを増した。

五郎清水では昨夜梅花皮小屋泊まりだったという登山者が一人休んでいた。夕べの泊まりは4人だけだったとのこと。今日は連休の初日なので小屋は満員になるだろうと思われた。梶川峰までは汗も流れたが爽やかな風もあって快適な登りが続く。標高が1500メートルを超えると落葉した潅木や喬木が目立つようになり、登山道には降り積もった落ち葉が目立つようになった。梶川峰では年輩の4人の登山者が休んでおり、ずいぶん早いですねと声を掛けたら、今日は4時半に飯豊山荘を出発したという。みんな久しぶりに飯豊に登ってきた人達らしかったが、小屋泊まりなので疲れた表情の中にも急登を登り終えた安堵感が漂っている。私はこんな好天の日に山小屋に泊まれる人達が思わずうらやましくなってしまった。

梶川峰まで登れば扇ノ地紙まではもうまもなくで、この先にはなだらかな尾根道が続いている。北は杁差岳から南は飯豊本山までの主稜線のほとんどが見渡せた。扇ノ地紙は縦走路の分岐点で、左右に伸びる主稜線には小屋からの縦走者と思われる人がちらほらと数人見えるだけである。ここからはのんびりと地神山に向かう。そんなに急いでもしょうがないので地神山ではしばらく腰をおろして休憩をとった。正面には門内岳から伸びる胎内尾根が見えた。こんな好天の日にあの長い尾根を歩けたらと、今は廃道になっていることも忘れて二ツ峰や滝沢峰をぼんやりと眺めていた。

丸森尾根への分岐点である地神北峰に立つと頼母木山や大石山、杁差岳が目に飛び込んでくる。このピークから眺める光景はいわゆる牧歌的で、思わず童話の世界を眺めているような不思議なやすらぎを覚えるから不思議だ。あとは天狗平へ下るだけなので、私はここからの景色を眺めながら昼食をとることにした。ビールで今日の好天に乾杯をし、味噌汁を作ってコンビニの弁当をあけた。食事をしていると丸森尾根から登山者がひとり登ってきて「今日は頼母木小屋泊まりなのであとはのんびりだ」とザックを下ろし、早速大きな缶ビールをあけていた。

山頂を後にするとなだらかな笹原や草原を眺めながら気持ちの良い斜面を下った。風は全くなくなり、小春日和のような穏やかな日差しを浴びながら歩くのは実に快適で、思わず誰にともなく感謝したくなるところだ。丸森峰からは樹林帯に入ったが、下れば下るほど紅葉が鮮やかさを増してゆき下りの単調さを忘れた。こんな風景を眺めていると早く下ってしまうのが惜しくて途中で何回かザックを下ろして休んだ。見上げるとあいかわらず頭上には抜けるような秋空が広がっていたが、一方でそれは冬晴れの硬く冷たい青空のようにも見えた。この鮮やかな紅葉も冬を目前にしてのつかのまの華やかさに過ぎないのだと思うと、目の前の風景が無性にいとおしくなってしまい、すぐにザックを背負う気持ちにはなれなかった。


滝見場から梶川峰を望む



地神北峰から頼母木山、杁差岳を望む


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