【平成14年9月29日(日)/吾妻連峰 天元台から西吾妻】
大凹(おおくぼ)付近の草紅葉
【概要】
このところ平日には爽やかな秋晴れが広がるのだが、週末を待っていたかのように雨が降るサイクルが続いている。幸い昨日の雨は夕方には上がったため、紅葉を眺めに久しぶりに西吾妻にでかけてみることにした。下りはスキー場を歩く予定だが、登りはロープウエイとリフトを利用するので、山登りと言うよりはお気軽トレッキングである。今日の県内はどこも一日曇りという天気予報だが、少しくらいは晴れ間も出るだろうと自宅を出た。平野部を走っているときは青空も少し覗く空模様であった。しかし秋雨前線が東北地方に北上するという気圧配置ではなかなか好天とはゆかず、稜線付近には厚い雲が居座り、小野川温泉を通り過ぎる頃は日差しも遮られて薄暗くなってしまった。夜半から朝方にかけてもかなり雨が降ったらしく白布温泉に向かう路面はかなり濡れていた。
やっと晴れ間が期待できそうだというので、天元台湯本駅の駐車場には結構多くのマイカーが駐車中であった。マイクロバスも何台かあり、ガイドを伴ったツアーや団体の登山者も目立った。リフトから眺めるとオオシラビソの中の樹木がかなり色づき始めていたが、日差しがないので感動はいまひとつである。ロープウエイとリフトを乗り継いで北望台に着く頃にはガスに覆われてしまい展望もなくなってしまった。時々厚い雲の合間からは日差しが覗くのだが長続きはしない。雨が降らないだけましで、どうも今日はこんな天候で満足するしかないようだった。
北望台から人形石までは濡れた石が多く少々歩きづらい道だ。朝方まで降り続いた雨で、登山道はかなりの水が流れている。約30分ほどで大きな岩がゴロゴロする人形石に着いたものの、ガスに覆われて楽しみにしていた展望はなかった。次々と登山者がやってきて記念写真を撮ったり、岩陰で早めの昼食をするグループもいたが、展望がなくてみんなの表情は冴えない。人形石からは木道をたどりながら中大巓を卷く。この途中の湿原も紅葉がかなり進んでおり、晴れていれば鮮やかな草紅葉がみられるところだ。青空はないもののこの美しい湿地帯を眺めることができただけで今日はよしとしようか。
カモシカ展望台との分岐からは大凹に下る。私は夏場にこの西吾妻界隈を歩くのは久しぶりで、紅葉した湿原に新鮮な感じを抱きながら歩いた。登山者とはときどきすれ違う程度で静かな吾妻連峰である。大凹から石がゴロゴロするガレ場を少し登ると再び木道が現れる。この付近は池塘が散在するいろは沼と呼ばれているところだ。ひと登りで梵天岩だがこの頃からガスが濃くなって風も荒れ始めていた。吾妻神社の建つ天狗岩までは大きな石を飛び石伝いに歩く所だが、ほとんど目の前がやっと見えるほどの視界しかなくなっていた。岩には赤いペンキでルートが指示されているものの、それをちょっと見失えば迷う状況にもなりそうなほどの天候になっていた。
予定では西吾妻小屋で昼食を楽しみ、下山は若女平を経由して白布温泉まで下る計画書を提出していた。しかし予想に反して天候はますます悪化するばかりで良くなる気配はなく、天狗岩から引き返すことにした。濃いガスが真横に吹き荒れる様は、真冬のテレマークスキーで悪天候に見舞われた時と変わりがなかった。
梵天岩から少し下ると風も弱くなり、ようやく一息を入れる余裕も出てきて、私達はこのいろは沼で昼食をとることにした。今日はほとんど汗もかかないというめずらしい一日である。反対に体は冷え切っており、暖かい飲み物が恋しくなっていた。早速熱い味噌汁を作り、おにぎりや弁当を食べ、食後は熱い紅茶をいれて体を温めた。
大凹からは再び木道をあるいてカモシカ展望台にでた。樹林帯を抜けるとリフト終点で、先を歩いていた4〜5人ほどの登山者がリフトを利用して下っていった。ここから天元台高原駅までは歩いても1時間10分のコースタイムである。私たちはリフト乗り場を左に見送り急斜面のゲレンデを下ることにした。相変わらず視界のない濃霧が立ちこめていたが、第2リフト乗り場付近からようやく晴れだし、天元台のペンション村や奥に広がる米沢市の市街地などが見渡せるようになった。しかし晴れているのは平地だけであり、飯豊連峰や朝日連峰は雲に隠れていて望むことはできなかった。