【平成14年9月21日(土)/カモシカコース〜泉ガ岳〜北泉ガ岳〜水神コース】
兎平から泉ガ岳を望む
まだ朝早い時間のためか野外活動センター駐車場にはほとんど車が見あたらなかった。ここからは夏山リフトが1本だけ運行されているはずだがまだ運転はされていない。まぶしいくらいの朝日を背中に浴びながら、私達はスキー場のゲレンデを登る。日差しが強いので登るとまもなく汗が流れはじめた。リフト終点からはなだらかな山道をだらだらと歩く。すぐにお別れ峠への分岐の標識と大きな案内板が立つ兎平で、私達はこの広々とした草原の一角にザックを下ろして少し小休止した。
兎平から少し下ると岡沼の標識が立っているが、枯れた草原があるだけで水は全くなかった。岡沼からは樹林帯に入りここからは本格的な山道の急登が続いた。暑いくらいだった天候も登るにつれて薄雲に日が陰ることが多くなった。しかし雲の切れ間から時々差し込む日差しは間違いなく秋の気配を感じさせた。途中で左手から滑降コースと合流し、さらにひと登りすると泉ガ岳山頂に着いた。登山者が3〜4人いるだけの静かな山頂であった。昼時間には早かったが2時間ほどの登りで二人とも結構腹は空いており、銀マットを広げて早めの昼食にした。
のんびりと食事を楽しんでいると、急にざわめきが聞こえ始め、見る間に山頂は登山者で溢れだした。まるで団体がバスから降りてきたのかと思うほどで、私達のまわりも食事をはじめようとする登山者に囲まれてしまった。動き出したリフトを利用して、みんな一斉に登ってきたのかも知れなかった。北泉ガ岳に向かう人も多いのか半数以上は私たちの目の前を通り過ぎて行った。泉ガ岳の広い山頂をさらに奥に進むと、視界は急に広がって前方には北泉ガ岳が望めた。そうすると左手後方に広がる山並みは船形山だろうか。上空には秋空らしい爽やかな青空が戻り、遠くの山並みを見下ろしながら歩くのは快適であった。
しかし展望のいい尾根歩きもそう長くは続かず、山頂から下り始めると再び樹林帯に入った。100m近く下って登り返したところが稜線の分岐でここには三叉路の標識が立っていた。左は水神コースを経由し自然の家へと下るルートで、右手は北泉ガ岳に続いている。展望のない急な坂道を登ってゆくと、三叉路からは30分ほどで北泉ガ岳の山頂に到着した。ここでも7〜8人ほどの登山者が昼食を楽しんでいた。意外なことにここは先ほどの泉ガ岳よりも標高が高いにもかかわらず、潅木に囲まれているので展望はなくいささか拍子抜けであった。この北泉ガ岳からは船形山への縦走路が北へと続いており、標識によると船形山の山頂までは14.7kmもあるというから、縦走するとなるとまだまだ遠い。それでも軽装の女性が一人縦走路をめざして下っていった。もしかしたら定義温泉にでも下る予定なのかもしれなかった。
三叉路に戻ると直進コースを進み、しばらくなだらかな山道を下る。途中、急な斜面を一気に下る箇所があるが特に危険なところはなかった。やがて沢の方から人の話し声や犬の鳴き声が聞こえはじめると水神の分岐だった。ここは標高が800mぐらいのヒザ川の源頭部であり、岩場からは清水が豊富に流れている。川原には秋らしい木漏れ日が降り注いでおり、多くの家族連れやハイカー達が休憩しているところだった。私達はそんな光景を眺めているうちに、急いで下るのが惜しくなってしまい、ここでしばらくコーヒータイムとした。
水神からは遊歩道のような登山道に変わった。ハイキング姿の家族連れが何組も行き交っている。ヒザ川沿いの林道をのんびりと下るとやがて少年自然の家があり、舗装路を少し進むとまもなく野外活動センターに戻った。キャンプ場には色とりどりのテントが張られ、多くの若いキャンパー達で賑わっている。朝方、広い駐車場には3台ぐらいの車しかなかったのに、今は空いている場所を探すのが困難なほど、たくさんのマイカーで埋まっていた。ここはまさしく仙台市民の憩いの広場なのだと、あらためて目を見張る思いだった。
泉ガ岳から北泉ガ岳に向かう
ここから北泉ガ岳まではちょうど1時間かかった
この稜線は唯一、見晴らしがいい快適な縦走路だ