山 行 記 録

【平成14年9月7日(土)〜8日(日)/飯豊連峰 川入から飯豊本山】



ときどき御西に朝日が射す
(御前坂付近から)9/8 AM6:28



【メンバー】清水、伊藤(孝)、伊藤(賢)、蒲生
【山行形態】夏山装備、避難小屋泊(切合小屋)
【山域】飯豊連峰
【山名と標高】三国岳1,644m、種蒔山1,791m、飯豊本山2,105m
【天候】(7日)曇り時々雨、(8日)曇り後雨
【温泉】福島県耶麻郡山都町 飯豊温泉「いいでの湯」500円
【行程と参考コースタイム】
 長井4:00=(R121、R459経由)=御沢キャンプ場6:30
(7日)御沢キャンプ場7:00〜横峰9:30〜水場10:15〜三国岳11:40着/12:30発〜七森〜切合小屋14:20(泊)
(8日)切合小屋5:00〜飯豊本山7:20〜切合小屋9:10着/10:00発〜三国岳11:20〜御沢キャンプ場14:40

【概要】
福島県側からの代表的な飯豊連峰登山口である川入からは約5年ぶりに登る。最近は飯豊や朝日から遠ざかっていただけに久しぶりにみる周りの風景は、我が家に戻ったような懐かしさを感じた。このコースは三国岳までの登りがポイントだろうか。主稜線に上がってしまえば後は切合小屋までは比較的楽な行程となり、高山帯のため見晴らしもよいので、周囲の山々を眺めながら歩けるのはやはり一番の楽しみである。

ところが天候はあいにく曇り空で予報も芳しくはなかった。雨具を羽織るほどではなかったものの御沢キャンプ場を歩き始める頃から小雨がぱらついたりした。少し林道を歩くと大きな杉の木と栃の木が目立つ登山口に着く。登山口からはすぐに長坂の急坂で、深くえぐられた登山道は以前よりずっと荒れている様子だった。土質が柔らかいのでしかたがないのだろうか。横峰までは下十五里、中十五里、上十五里、笹平とおよそ等間隔に標識があって休憩のポイントになった。蒸れることもあって背中は汗がびっしょりで、額からは汗が止めどなく流れた。横峰小屋跡の小ピークを過ぎ、途中の水場では冷たい清水を飲んで乾いた喉を潤した。

樹林帯の歩きも地蔵山との分岐までで、まもなく潅木帯へと変わり、やがて赤みを帯びた岩肌が目立つ岩尾根となる。相変わらず小雨がぱらつく曇り空だったものの、雲の切れ間からは時々青空がのぞいたりして、曇り空にもかかわらず快適な登りが続いた。剣ガ峰の岩場を慎重に通過すると三国小屋はもう目前だった。小屋前では4名の登山者が昼食中で、彼らも切合小屋までの予定の人達らしかった。我々も早速コンビニで調達した弁当やおにぎりを食べながらの昼食だ。晴れていればここからは登ってきた剣ガ峰や地蔵山が眼下に見下ろすことができ、また反対の西側には大日岳が大きく望める場所なのだが、残念ながら三国岳の山頂付近は雲の中にすっぽりと入ってしまい全く何も見えなかった。

三国小屋から切合小屋までも小雨が降ったり止んだりのすっきりしない天候が続いた。せっかくの稜線歩きなのにとがっかりするばかりだったが大降りしないだけましと考えて、明日の好天を期待するしかなかった。種蒔山を過ぎて切合小屋が目前となったところで、大勢の登山者が下ってくるところに出会った。聞いてみると地元の高校生達でたぶん学級登山なのだろう。日帰りで大日杉から本山までの往復らしくみんな軽装だったが、少し強く降り出した雨でTシャツもズボンもすっかり濡れている。それでも高校生達ははしゃぎながら元気に下って行く。彼らは雨具も着ないでこのまま大日杉まで下山するように見えた。

切合小屋にはのんびりと歩きながらも我々が一番早く到着した。小屋の前にはホースでまだ水が引かれており水場の心配はなかった。8月末までいた管理人も今日は不在で、来週の連休からまた入るらしかった。その後、三国小屋で一緒だった4名も小屋に到着してきたが、雨模様の天気ではこれから登ってくる登山者はあまり多くないだろうと思われた。

我々は二階に場所を確保すると早速ビールで乾杯した。外ではますます雨足が強くなっており、天候が悪いときの小屋のありがたさをしみじみと感じた。その後寝不足だった私はシュラフに入ってしばらく眠った。夕方薄暗くなるころから夕食の準備を開始する。ビールを飲みながら夕食を楽しんでいると、ヘッドランプをつけた登山者が4名ほど小屋に入ってきて少し騒々しくなった。みんなの雨具はぐっしょりと濡れており、外はかなりの雨が降り続いている様子だった。4人は静岡からきた人達らしく、遠くからきてこの天候ではがっかりだろうと少しばかり気の毒になる。その後単独の人も一人加わり、今日の宿泊は総勢13名ほどになった。

翌日は4時過ぎに起床した。予定では4時には小屋を出る予定だったが、天候が芳しくないので出発するかどうか決めかねていた。薄明るくなったところで外に出てみると草履塚は見えるものの本山や大日岳はガスの中だ。しかし雨が降る様子もないので予定どおり本山まで往復することにした。行動食や雨具だけをザックに入れ、5時ちょっと過ぎに小屋を出た。

空全体に雲が広がっていてすっきりはしないものの、比較的空は明るいので気持ちのよい山の朝であった。草履塚を過ぎる頃から東の空が明るくなり始める。しかし分厚い雲に遮られて期待していたご来光はみられなかった。朝の清々しい空気を味わいながら姥権現、御秘所を通過する。昨日とは比較にならないくらい快適な稜線歩きに、やっと飯豊連峰に登ってきた実感が湧いた。御前坂の標識付近までくると徐々にガスも晴れだし、雲の合間からは御西の稜線や大日岳が時々見え隠れしている。雪渓や御西の斜面に朝の強い日差しが当たると、そこだけがひときわ鮮やかに輝いた。そして御前坂を見上げると正面に聳える飯豊山の上空にはいつのまにか鮮やかな青空が広がっていた。

この分なら展望も間違いないだろうと思われた天候はそう長くは続かなかった。本山小屋がもうまもなくと思われる頃、青空の一角から薄雲が広がり出すとそれはたちまち濃霧となって我々の周囲を覆ってしまった。ようやく到着した飯豊本山の山頂でも視界は全くなかった。しばらくすればまた青空ものぞくかも知れないと、山頂に座って晴れるのを待っていたが結局快復はしなかった。あきらめて下山してみると少し前まで晴れていた付近も一面にガスが広がっていて、大日岳や御西はほとんど見えなくなっていた。

切合小屋には小屋を出てからちょうど4時間で戻った。小屋では遅い朝食を食べてから下山を開始した。登ってくるときは2時間近くもかかった三国小屋から切合小屋間も下るとなると早い。約1時間程度で三国小屋に着いてしまった。空は雲行きが怪しくなりはじめ時々小雨がぱらついた。今日登ってきたと思われる人達は天候が悪くて登るのをあきらめたのか、三国小屋ではもう宴会を始めていた。

今にも泣き出しそうな空模様が広がっていたが、剣ガ峰を過ぎる頃から結局こらえきれなくなり、地蔵山との分岐付近からは本格的に雨が降り出した。それは見る間に土砂降りともいえるほどの激しい雨となった。途中で昼食にラーメンを作る予定だったがそれどころではなくなってしまい、水場付近で上下の雨具で完全防備に身を固めると、そこからはほとんど休憩も取らずに下った。朝方、本山近くで青空が広がったのはたまたまの偶然だったのだろう。こうしてみるとつかの間の晴れ間に過ぎなかったようである。雨具から雨が浸透したのか、それとも汗のためなのかわからないくらいに上半身はびしょぬれになっていた。深くえぐられた登山道は流れ出した雨水のため水路のようになっており、私達は滑らないように気を付けながら下らなければならなかった。



剣ガ峰付近で(9/7 AM10:43)




御秘所を行く(9/8 AM6:00)



inserted by FC2 system