山 行 記 録

【平成14年8月20日(火)/新中峰コースから禿岳】



りっぱな標識の建つ禿岳山頂



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】神室山地
【山名と標高】禿岳(かむろだけ)1261m
【天候】晴れ時々曇り(時々小雨)
【温泉】鬼首温泉「すぱ 鬼首の湯」520円
【行程と参考コースタイム】
登山口7:25(550m)〜1合目7:34〜2合目7:45(740m)〜3合目7:53(815m)〜4合目8:08(925m)〜5合目(1035m)8:21着/8:30発〜6合目8:45(1140m)〜7合目8:52(1150m)〜8合目8:58(1220m)〜9合目9:05(1245m)〜山頂9:10着/9:30発(1261m)〜登山口10:20(550m)

【概要】
禿岳は栗駒国定公園の南端に位置し、別名、小鏑山(こてきさん)とも呼ばれ、また東面は岸壁状になっていて、その急峻な山容から地元の鬼首(おにこうべ)では「リトル谷川岳」という呼び方もされている山である。山の名前の禿(はげ)からもわかるように山頂付近は森林限界となっていて樹林はなく見晴らしの良い稜線歩きが楽しめる。コースは中峰コース、花立峠コース、最上コースとあり、もっともよく登られているのが中峰コースというので私も鬼首高原からこのコースを登ることにした。ところが登山口近くに案内板があって、中峰コースは以前の宮城県沖地震で岩場などが崩れたため閉鎖されており、かわりに新しく新中峰コースができていることがわかった。これは中峰コースよりもひとつ北側の尾根を登るようになっていて、従来のコースよりも距離は若干だが長くなるようである。持ってきたガイドブックは役に立たなくなったため登山地図だけをザックに入れ、早速林道終点に車を置いて登り始めた。

今日は台風13号の影響で東北地方はどこも雨模様である。しかし宮城県側にきてみると山並みに雲はかかっているものの、予想外に青空も広がっており、まもなくすれば台風も去りそうな感じがした。上空を舞う強風にブナ林はザワザワと大きく揺れていた。

登り始めると最初からロープのある急坂から始まった。いったん緩やかな山道に変わったもののすぐに丸太で土止めを兼ねた急な階段が現れる。見上げるとこの階段はかなり先まで続いていて、まるで山寺を思わせるような長く急な階段だ。これを登り切ったところにやっと一合目の標注が建っていた。階段が終わっても急な勾配には変わりがなく、急坂はこの先も延々と続いた。まさに怒涛のような急登である。たちまち全身から汗が一気に噴き出した。胸付き八丁ともいえる急斜面のところどころにはロープが張られていた。展望のない樹林帯で汗は止めどなく流れたが、周りは見事なブナ林が続き、涼しい風も吹く中での登りはすがすがしかった。合目を示す標示柱はその後も山頂まで続いているので迷う心配もなく安心だった。

五合目を過ぎると時々小雨がぱらつき始め、一応ザックカバーだけをして登り続けた。しかしこの雨は長くは続かずカッパを着るほどではなかった。六合目の標注からはいったん下りになり急に道幅が広がった。なだらかな鞍部から登り返すと七合目で、すぐ先の八合目からはヤセ尾根となって一気に視界が開けた。そして左手には鬼首高原が広がりゴルフ場や牧場などが俯瞰できる稜線歩きとなった。右手下には最上町のこじんまりとした街並みが山あいに見えた。九合目からは水平な山道となり前方の小高いピークには禿岳の標識らしきものが見えていた。

禿岳山頂には立派な石の標注が建っていた。誰もいない静かな山頂であった。右には最上町への道が続き、左には花立峠への道が伸びていた。いずれも道巾は広くきれいに整備されている様子である。標注のすぐそばには「禿岳山頂からのながめ」と書かれた案内板もあった。神室山がすぐ近くに聳えており、その右手には鳥海山や栗駒山の大きな山塊が横たわっている。後ろを振り返れば花立峠の方角には船形山も見えている。ここからは東北の名だたる山々が見渡せるようで、まさしく遮るものがない360度の展望台であった。しかしいずれの山も見えるのは中腹から裾野付近だけであり、薄黒い雲が大きく覆っているので残念ながら稜線は隠れていて見えなかった。

山頂で腰を下ろしていると再び小雨が降り出してきてしまった。見上げると黒い雲が上空を覆っている。台風はまだ去った訳ではなく、まだまだ天候は不安定な様子が伺えた。私は行動食を少し口に放り込み、ザックをまとめると山頂を後にした。登りでは2時間近くもかかった道のりも下山となると早く、六合目のピークからは一気に登山口まで下った。時計を見ると山頂からは1時間もかかっていなかった。それほどの急坂が連続しているということなのかも知れなかった。着替えを済ませて林道を抜けると、時々雲の合間からは台風一過のような爽やかな青空がのぞき、高原の草原がまるでライトアップでもされたかのように一気に輝いたりした。しかし降り注ぐ陽射しは既に真夏のような厳しさはなく、間違いなく秋の気配を感じさせるものだった。


登山口を示す標識と案内板
登山口はここから数百メートル先の林道終点


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