山 行 記 録

【平成14年8月10日(土)/小谷温泉から雨飾山】



雨飾山山頂(南峰から北峰を眺める)



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、山行日帰り(下山後、戸隠キャンプ場でテント泊)
【山域】妙高山周辺
【山名と標高】雨飾山(あまかざりやま)1963m
【天候】晴れ時々曇り
【温泉】長野県小谷村 小谷温泉「村営雨飾荘」露天風呂(料金は志程度)
【行程と参考コースタイム】
自宅2:30=(R113、R7,北陸道経由)=糸魚川IC=小谷温泉登山口駐車場7:45(自宅から325km)
小谷温泉登山口8:00〜荒菅沢出合9:00〜雨飾山10:20着/10:50発〜荒菅沢出合11:45〜小谷温泉登山口12:50

【概要】
雨飾山は妙高山、火打山、焼山と連なる頚城山塊の西の端に位置している山で、姫川を挟んで白馬岳と対峙している。この雨飾山は日本百名山の著者、深田久弥にとっても長い間の憧れの山であったらしく「ついに私は久恋の頂に立った。しかも天は隈なく晴れて、秋の午後三時の太陽は、見渡す山々の上に静かに光をおいていた。」と3度目にしてようやく山頂に立てた喜びをこのように表現している。登山口の麓には小谷温泉や雨飾温泉があり、この温泉をそれぞれ基点、終点にすれば理想的な山旅になるものと思われるのだが、私はマイカーなので小谷温泉の登山口から往復することにした。

小谷温泉からしばらく林道を進むとやがて登山者用の駐車場があった。数台だけしか留まっていないのが不思議だったが、ザックを背負って歩き出すと少し先には広い駐車場があり、そこは溢れるばかりの多くのマイカーで埋まっていた。またトイレや水道まで整備された新しい休憩舎もある。私が駐車したところは手前にある第2駐車場のようだった。

休憩舎で登山者名簿に記入して早速出発した。道は休憩舎の裏に続いていて川原に下りてゆく。木道をしばらく歩き湿地帯を進むと左手は尾根の取付となっていてそこからは急坂を登った。ここの急登は結構つらい登りで、風がないだけに汗が体中から噴き出した。1400m付近では道はいったん緩やかになり時々風も渡ってきた。セミの鳴き声がかまびすしい。歩いている自分の影がいままでより濃くなっているのに気づき、秋の気配が急に漂いはじめたことを感じさせた。急坂では20人近く追い抜いていたので前後には登山者が見あたらなくなっていた。まもなく道は下りはじめ荒菅沢出合の河原に出た。沢では多くの人たちが休憩をしており、私もここでザックを下ろし、汗にまみれた顔を洗った。沢から山頂付近を見上げると隆々とした岩山がそそり立っているのが見えた。ガイドブックによるとそれは布団菱と呼ばれる岩峰群だった。

荒菅沢を渡り対岸の急坂を登る。やがて樹林が切れて1600mぐらいから見晴らしがよくなり、付近には草原が広がった。主稜線ではさわやかな風が吹いていて、苦労して登ってきてよかったと思える瞬間だ。正面には雨飾山の大きな山塊が迫っていた。まわりにはマツムシソウ、ハクサンフウロ、オニアザミ、タカネナデシコ、キンコウカなどが咲き乱れて、後ろを振り返ると妙高山、火打山、焼山が見えた。いったん道は緩やかになり、途中で雨飾温泉へのコースを右に分けると山頂直下となった。いよいよ最後の急登である。登山道は雨飾温泉から合流してから急に登山者が多くなり渋滞が目立ち始めた。汗を振りまきながら急坂に耐えるとようやく雨飾山山頂に着いた。ここは石仏と祠が一列に並ぶ南峰であった。

雨飾山は双耳峰となっているので写真を撮ってから北峰にいってみた。双耳峰といっても40〜50mほどの距離しかない。北峰には三角点がありここでもたくさんの登山者が憩っている。私もここでささやかな昼食をとることにしてザックを下ろした。コンビニのおにぎりと小さな寿司が2個だけのささやかな昼飯だが、自宅から持ってきた冷えたキュウリの漬け物が特においしくて、それだけなのに山頂での食事が豪華なものに思えた。食後はいつものようにコーヒーをドリップする。そして展望を楽しみながらのんびりと山頂でのひとときを過ごした。

山頂からは後立山連峰が目前で屏風のように聳えていたが、残念ながら稜線は雲に隠れてはっきりと見えなかった。休んでいるうちに次々と登山者が登ってくる。南峰では40名近いと思われる団体が記念撮影をしており、ひときわ大きな歓声をあげているのがこちらまで聞こえた。山頂に着いたときには爽やかさを感じていた風も、休んでいるうちに肌寒く感じるほどになってきていた。汗もすっかりひいてしまい、そろそろ下山時なのかもしれなかった。

下山を始めるといつのまにか陽が陰っていて、陽射しが柔らかくなっていた。荒菅沢ではまだたくさんの人たちが休んでいたが、そこからはほとんど登山者が見あたらなくなり静かな山道となった。途中で一時小雨がぱらついたりしたものの、通り雨だったのか、尾根の取付に降り立った時には雨は止んでいた。日差しも戻ったせいで一気に湿度が増して蒸し暑くなってしまった。休憩舎の建つ登山口に戻るとアスファルトの駐車場には暑い真夏の陽射しが降り注いでいた。下山後は次の山である高妻山の麓、戸隠キャンプ場に向かわなければならない。妙高町笹ヶ峰高原へと通じている林道を走る前に、すぐ近くの小谷温泉の露天風呂に入って雨飾山の汗を流した。


荒菅沢から仰ぐ布団菱の豪快な岩峰群



雨飾山が目前
穏やかな稜線が続く笹平で


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