山 行 記 録

【平成14年7月22日(月)/南会津 針生から七ガ岳(縦走コース)】



誰もいなかった七ガ岳山頂



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】南会津
【山名と標高】七ガ岳(ななつがたけ)1,635.8m、下岳1,509m
【天候】曇り後雨
【温泉】喜多方市 「喜多の郷」300円
【行程と参考コースタイム】
七ガ岳登山口10:15〜護摩滝11:12〜高杖分岐11:47〜七ガ岳11:55-12:20〜下岳13:20〜林道への分岐13:50〜下岳登山口14:05〜七ガ岳登山口14:40

【概要】
七ガ岳は名前のとおり7つの峰が連なる山で、最高峰である一番岳の七ガ岳から順に二番岳、三番岳と続き最後の七番岳が下岳である。実際は大小の峰を含めると11ものピークがあるというからこの全山を巡るとけっこうきつい縦走になる。コースは羽塩コース、針生コース、高杖コース、全山縦走コースといろいろあるようであった。私は針生コースと全山縦走コースの組み合わせで登ることにした。下山後の林道歩きはあるもののこれだと一周コースを取れるのでマイカー登山にはありがたいコースとなる。

福島県会津田島町から国道289号線に入り針生地区から林道七ガ岳線に入った。国道の入り口には草むらに隠れるように七ガ岳登山の案内標識が立っていた。6km近く荒れた林道を進むと七ガ岳登山口があり左側には10台程度の駐車スペースがある。林道はこの先も続いており、今日、無事に縦走路を歩き通せればこの林道を歩いてくることになるわけだった。駐車場には品川ナンバーが1台。天候も芳しくないこの平日にわざわざ関東から登りに来る人もいるのだなあ、と感心してしまう。私が登山口に到着した時間はすでに10時を過ぎているので人の気配は全くなかった。早速登山者カードをポストに投函し雑木林に入った。上空は厚い雲と濃霧のために視界もなく半分気落ちしながら登る。

今日は朝から湿度、気温ともに異常なほど高く梅雨が明ける直前のような鬱陶しい天気だった。昨日降り続いた雨のせいだろうか。ぬかるみのようなひどい山道に閉口する。最初は荒れた林道も徐々に細い山道となり、歩いているうちに草露でズボンが濡れた。道は黒森沢に沿うように登り、しばらくすると沢歩きとなった。やがて目前には高さ50mほどに渡り何段かになって流れ落ちている護摩滝が現れた。最初はこの滝を登るなどとは全然考えもしなかったので、滝の右側の急な岩場を登っていった。しかし途中で間違いに気付き、木の枝につかまりながら急斜面を降り再び滝の直下に戻った。滑れば大怪我もしそうな岩場の下りである。滝の直下からあらためて眺めると護摩滝の左側には細いロープが固定されてあった。慎重に滝を登り切りその後も流れに沿って沢を登った。

ナメ滝のような沢は一見滑りやい感じだが、意外とフリクションがきくのでストックを頼りに沢の右左を選びながら登る。しかし滑ったら止められない様な危険な岩場には変わりがなく、下りには使いたくないコースである。黒森沢の上部にたどり着き、左の涸れた沢をひと登りするとようやく樹林帯から抜け出ることができた。分岐には標識が立っており、右手には高杖への道が続き、左手の七ガ岳山頂への斜面は賽の河原と呼ばれるガレ場になっていた。山頂には正午直前に着いた。目の前をおびただしいトンボの群が飛び交っている。中央にはりっぱな一等三角点が鎮座し、山頂を示す大きな標識も立っていた。残念ながら辺り一面は濃霧に包まれていて視界は全くなく、晴れていれば会津駒ヶ岳や燧ヶ岳、浅草岳、男体山、そして飯豊連峰まで見渡せるという大展望も今日はあきらめるしかなかった。私はここまでほとんど休まずに一気に登ってきたためか結構疲れていた。ザックを下ろしてコンビニのおにぎりと寿司3個を食べる。誰もいない静かな山頂だった。

この七ガ岳山頂では30分ほどの休憩をとった。視界がないため下る前に磁石で方向を確認する。まっすぐの道が縦走路で下り始めると少しだけ日が射して下界がうっすらと見えた。行く手にはいくつかのピークが霧に見え隠れするなかなか迫力ある光景だった。最初は道がはっきりとしていて、また見晴らしも良いのでかなり期待しながら下り始めた。しかしほどなくヤブに覆われてしまいまもなく視界が遮られてしまった。そして背丈以上のヤブのためにたちまち全身が濡れた。短時間のうちにあらかた濡れてしまったので雨具を着るのはあきらめて歩き続けた。

この縦走路はいくつものピークの連続で、結構きついアップダウンが続いた。ピークをいくつ踏んだのか数えるのを忘れてしまった頃、やっと展望のきくピークにたどり着いた。そこはいささか老朽化した旧い標識の立つ下岳の山頂で、近くには三角点も設置されてあった。下岳からは再び激しいヤブの中に突っ込んだ。この途中で雷鳴が轟きはじめるとまもなく雨が降り出してきたが、すでに全身ズブ濡れなのでそのままかまわずに歩いた。必死な思いでヤブを漕いでいると林道まで30分とかかれた標識のたつ二股に出た。ようやくここでヤブ道から解放されたのだった。そこからは林道まで15分で下り、下岳登山口に降り立つとようやく無事に縦走が終えたのを知った。

しーんと静まりかえった林道には小雨が降り続き、薄雲を突き抜けてきた暑い日差しが路上に降り注いでいる。いわゆるお天気雨なのだろう。下岳の登山口からは40分近く林道を歩き七ガ岳登山口に戻った。ザックから下着、登山靴の中までくまなく濡れてしまい、私はまるで濡れネズミのようだった。駐車場で着替えをしていると辺りは薄暗くなり、まもなく大粒の雨が降り出してきた。



いくつもの段になって流れ落ちる護摩滝
この滝をロープをたよりにしながら登って行く



七ガ岳の縦走路
あいにくの濃霧で展望はいまひとつ
下り始めは快適だがその後は激しいなヤブ道となる


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