山 行 記 録

【平成14年7月7日(月)/霧ガ峰 八島湿原〜蝶々深山〜車山(周回コース)】



ニッコウキスゲが咲く車山肩
左奥は車山の山頂



【メンバー】4名(新野、伊藤、清水、蒲生)
【山行形態】夏山装備、前泊(霧ガ峰クルヌプヒュッテ)
【山域】霧ガ峰
【山名と標高】車山1,925m
【天候】曇り
【温泉】霧ガ峰温泉700円
【行程と参考コースタイム】
八島山荘6:35〜物見岩7:25〜蝶々深山7:48〜車山乗越8:05-8:15〜車山8:30〜車山肩9:05-20〜御射山ヒュッテ9:50〜八島山荘駐車場10:10
諏訪IC12:30=(中央道・長野道・上信越道・北陸道・R7・R113経由)=長井18:30

【概要】
「妙な言い方だが、山には、登る山と遊ぶ山とがある」とは日本百名山(深田久弥著)のなかの霧ガ峰の書き出しの一節。そしてその遊ぶ山とは豊かな地の起伏と広闊な展望を持った高原状の山であらねばならないとし、霧ガ峰はその代表的なもののひとつだという。

私達は蝶ケ岳と常念岳を登り終えて、その夜は霧ガ峰高原にあるクルヌプヒュッテという山小屋に宿泊した。時代を感じさせるその小屋の佇まいは素朴でひと昔前に戻ったような不思議な感じのする、それでいて妙に居心地の良い山小屋だった。4人ともこの霧ガ峰は初めてなので、夕食時ヒュッテの主人にコースの事などを尋ねてみた。小屋に似て一見風変わりな主人によると、マイカーの場合は八島湿原から物見岩、蝶々深山を越えて車山を登り、車山肩から再び八島湿原に戻る周回コースがいいのではないかと、コース上の不明瞭な箇所も含めて懇切丁寧に教えてくれた。これは行程8km、約4時間ほどのコースでそれなりに歩き甲斐もあるので私達は即座にこのコースに決めた。とはいえ霧ガ峰で一番標高のある車山までの最大標高差はせいぜい300mほどだから、やはりここはひたすら汗を流しながら頂上を目指す山ではない。そう意気込んで臨むこともなさそうで、昨日までの2日間の山登りの疲れを癒すための山のように思えた。

八島山荘の大駐車場はまだ朝早いためにひっそりとしていて数人のハイカーがちらほらと見えるだけだった。駐車場からはすぐに木道を下りて行くと眼下には八島湿原が広がっていた。この広大な湿原も以前は大きな沼だったらしく八島ガ池はそれが小さくなったものらしかった。湿原を右回りに周遊コースを進むとキャンプ場を通過し木道は山道と変わる。なだからな登山道はまさしくハイキングで見晴らしもよく気持ちの良い登りだった。草原には多くの花が咲いていたがまだニッコウキスゲなどはつぼみが多く、これが全て開花したらさぞかし見事だろうと思いながら高度をあげる。物見岩を過ぎると前方に蝶々深山、そしてその後方には車山が見えた。

広大な草原は見通しがよい緩やかな起伏が続き、遠方の丘の上には山小屋がぽつんと見えた。その牧歌的な風景は日本にいることを一瞬忘れてしまいそうである。蝶々深山から鞍部まで下り、車山肩への道を右に分けるとまもなく車山乗越だ。乗越の向こう側は視界が大きく広がり、蓼科山の大きな山塊と共に裾野には街並みと白樺湖が見えた。ここからはコース最後の登りである車山への急坂が目前だった。

車山山頂は霧ガ峰の名のごとく濃い霧に包まれていた。山頂に着くと3名のグループが急に岩陰から飛び出してきて写真を撮ってくれと頼まれる。登山者がまだほとんどいないので誰かが登ってくるのを待っていた様子だった。聞いてみるとそのうちの年輩の小柄な女性がこの霧ガ峰で日本百名山の達成なのだというから驚いた。かたわらには手作りの百名山達成の横断幕も携えている。しばらく話をしているうちにもう一人の女性もここで92山目だということを聞き、全くこの二人の女性パワーには圧倒されるばかりだった。

濃霧で全く展望のない山頂を後にして車山を下ると少し霧が晴れて視界が戻ってきた。広い登山道には徐々に登山者やハイカーが目立ち始めていた。車山肩の駐車場には大型バスやマイカーで溢れていた。私達はコロボックルヒュッテに立ち寄り牛乳をのんで小休止する。ここからは昨日私達が泊まったクルヌプヒュッテのある沢渡を抜けてまた八島湿原に戻る行程である。木道には何人ものカメラマンが三脚を立てて、大望遠レンズを覗いている。御射山ヒュッテの前を通り再び八島湿原の木道に出ると霧はますます濃くなった。それは霧雨ともいえるほどで被服は少し濡れるまでに霧は深くなっていた。八島山荘まで戻ってみると大駐車場も溢れるばかりの観光客でごったがえしていた。


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