山 行 記 録

【平成14年6月23日(日)/楯岡から甑岳】



甑岳南峰の山頂広場



【メンバー】2名(妻)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】船形連峰周辺
【山名と標高】甑岳(こしきだけ)1016m
【天候】曇り
【温泉】山形県東根温泉 公衆浴場「巽の湯」250円
【行程と参考コースタイム】
登山口10:00〜分岐点11:15〜甑岳山頂広場(昼食)11:50-12:45〜分岐点13:10〜馬立沼分岐13:35〜登山口14:10

【概要】
山形盆地の展望台として知られる甑岳。その山容は意外にも大きくどっしりとしており、麓にある東沢公園とともに昔から市民から親しまれている山である。

昨日から降りだした雨は今朝になってもまだやまなかった。梅雨の真っ直中であればこれもしょうがないのかもしれないと、半分あきらめつつ村山市に向っていると大江町を過ぎる辺りから雨は小康状態となり、徐々に曇り空の天候に変わっていた。当初、新山コースから登るつもりで林道に入ったが、悪路を苦労しながらたどり着いた林道終点は鬱蒼とした樹林に囲まれた薄暗い場所で、もちろん人影も見あたらないのでよほど不安になったのだろう。この新山コースはカミさんから断られてしまい、あらためて東沢公園側から登ることにした。こちらのコースも林道への分岐点がわかりづらかったが、東沢公園手前のT字路の右手に大きな案内図があり、ようやく登山口に通じる林道に入ることができた。林道終点付近の4、5台程度の駐車スペースには宮城ナンバーの車が1台駐車中で、私達が着くとちょうど4人グループが出発するところだった。

林道終点から少し歩くと登山口で、丸木橋を渡り登山道に入った。先には暗い杉林の道が続いている。よく踏まれているので迷う心配もないようだが、道は雨上がりのためかジメジメしている。しばらく進むと沢を横切るところがあり左手は水場になっている。湧き水を上流からホースで引いているこの水場にはコップも添えられ簡素なベンチまであった。ここでは早くも下山してきた夫婦が山菜をとりながら一休みしているところだった。この少し先から道はだんだんと急になり、途中、馬立沼の分岐で一休みしていた宮城の4人組を追い越した。我々もペースは決して早くはないのだが、4人はさらにゆっくりしている様子である。陽射しも届かない薄暗い杉林には湿っぽく潤んだ空気が充満しており汗が異様に流れている。私はTシャツになり、カミさんも途中で長袖のシャツを脱いで半袖になった。

馬立沼分岐を過ぎるとミズナラやブナ、ホウノキ、クリの木が目立つようになり、頭上が開けて周囲が明るくなった。急登を続けているとやがて稜線に飛び出した。標識があり左は甑岳山頂方面で右手はハチガ沢コースとある。天候がよければ船形山周辺の山々の展望が楽しめる場所らしいのだが、今日はあいにく曇り空でほとんど眺望はなく、右奥に街並みの一部が少し霞んで見えるだけだった。

今までの薄暗い山道と違って稜線歩きは明るく快適ともいえた。道はさらに急坂となりどんどんと標高をあげる。「山頂広場まで500m」とか「徳内坂」という標識を左手に見ながら急な道をひと登りすると、まもなく意外と広い平坦な場所にでた。ここが山頂広場で正面には甑岳の標識が立っていた。それには1016mの標高が書かれている。右側には「青雲の志」と彫られた立派な石碑があり、すぐそばには三角点もあった。この碑は地元の江戸時代の探検家である最上徳内を讃えたものらしかった。また石の祠もありカミさんがさっそく手を合わせている。

この山頂広場は芝生まで張られてきれいに整備されているのでびっくりした。この気持ちの良い休憩場所で私はカミさんとのんびりと昼食をとることにした。ここは見晴らしも良い場所らしく、晴れていれば眼下には村山盆地の街並みを見おろせるのだろうが、残念ながら今日の山頂は全く霧に包まれていて周りは真っ白である。しかし朝方の降りしきる雨模様を考えれば、今日の予想外の天候には感謝しなければならなかった。気温も心なしか上昇している感じで、風もないので休憩するには過ごしやすい天候だった。ラーメンを食べ終わったところで後続の4人組も到着してきた。

山頂では1時間近く休んでいた。食事が終わっても濃霧は相変わらずで少しも晴れる様子はなく展望はあきらめるしかなかった。元の道を下りはじめると、霧は午前中よりもなお濃くなっており被服も濡れてくるほどである。馬立沼分岐付近を下っていると下の方から人の話し声が聞こえ、まもなくして若い外人が3人登ってきた。驚いたことに3人ともザック一つ持たない空身であった。途中の水場では二人でアカミズやアオミズの山菜採りを楽しんだ。山のおみやげができたおかげで二人とも天候の悪さなどすっかり忘れている。私はいつしか満ち足りた思いに浸っていた。

実は私達が休憩したこの山頂広場は甑岳の本当の山頂ではないことを下山後に知った。私もガイドブックに載っている山頂とは少し違う感じがしていたのだが、標識に書かれている標高は間違いなく甑岳の標高であり、しかも三角点もあるので山頂広場が山頂だと疑わなかったのである。しかし、あらためて他のガイドブックなどを見てみるとそこは甑岳の南峰であり、二等三角点のある山頂は10分程度北よりに進んだところにあったのを知った。北峰は南峰とは違ってまったく展望がないとあるのがせめてもの救いで、もう少しガイドブックをよく読んでから登らなければと、至極当たり前なことを思った山であった。



稜線の分岐
向こう側はハチガ沢コース


林道終点の丸木橋


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