山 行 記 録

【平成14年5月25日(土)/二岐温泉から二岐山】



ブナ平から二岐山を望む
雲間から時々青空がのぞいたが、強風は終日吹き荒れた



【メンバー】2名(妻)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】那須連峰
【山名と標高】二岐山(男岳)1544m、二岐山(女岳)1504m
【天候】曇り時々晴れ
【温泉】福島県岩瀬郡天栄村 二岐温泉「大和館」500円
【行程と参考コースタイム】
二岐温泉駐車場820〜御鍋神社920〜登山口935〜1115二岐山(男岳)1150〜女岳1210〜二岐山林道登山口1330〜二岐温泉1410

【概要】
二岐山は男岳と女岳という二つのピークをもつ双耳峰で、別名東岳と西岳、あるいは乳房山とも呼ばれている。二つのなだらかなピークが寄り添うようなこの山は、福島県内のどの山からでもわかるほど特徴的で、山頂からの展望のよさでは県内随一とも言われており日本300名山にも選ばれている山である。ガイドブックによれば登山口にある御鍋神社やこの山にまつわる伝説も多くあるらしく、昔からよく登られてきた山なのだろう。登山口は御鍋神社から男岳に登るルートと二岐林道から女岳に直登するルートがあって、私達は御鍋神社側から二岐林道へ抜ける周回コースを登ることにした。

予定では小白森山の登山口付近に駐車するつもりだったが、二岐温泉の集落から先は土砂崩れのために通行止めとなっていた。二岐温泉に入る手前の杉林付近の駐車場まで引き返して車を留めることにした。大型バスが2台駐車中でその他にも乗用車が数台留まってあった。今日は団体の登山者もいるらしく、この山の人気の高さが伺えるようである。準備をしていると次々とマイカーがやってきた。

二岐温泉を過ぎ、二岐川沿いに林道を歩く。まもなく道路が決壊している箇所を通過。林道は歩ける幅しかなく当分は通行不可能のようだった。二岐川に架かる橋を渡るとすぐに大きな案内板があり、左手には小白森山の登山口を示す標識がたっている。御鍋神社には歩き始めてから約1時間で着いた。ご神体に大鍋が祀られてあるめずらしい神社だった。少し引き返して林道を先に進むと右手に二岐山の登山口が現れ、ここからは八丁坂と呼ばれる急登が始まった。太い木の根や大きな石がゴロゴロする道が続く。周囲は鬱蒼としたミズナラやアスナロなどの樹林帯で途中からは見事なブナ林となった。

林道を歩いている時から風が強かったが、山道に入るとますます激しく吹き荒れた。幸い樹林帯のために風は当たらないものの、頭上では絶え間なく木の枝が揺れて、その大きなざわめきは山のうなり声にも聞こえた。木の幹につけられた赤いペンキ印に導かれながら登り続けるとやがて平坦な道となり視界が開けてくる。この付近はブナ平と呼ばれているところだったが、ところが肝心のブナがほとんど見あたらない。かつてあったブナの原生林はほとんど伐採されてしまったらしく、昔のブナ平の面影は全くなくなってしまったようである。急に道幅が広くなったのはかつての作業道の名残らしかった。しばらく進むと右手に道は折れて正面には二岐山が望めた。風は相変わらず強く、陽射しもまた照ったり陰ったりの天候が続いた。

ようやく到着した二岐山の山頂は多くの登山者で溢れ、休む場所も無いほどだった。風が強いのでみんなウインドブレーカーを羽織りながらの昼食である。雲が多いものの、二等三角点の立つ山頂からの展望はやはり素晴らしい。登山道を振り返ればすぐ近くには那須連峰の山々が連なり、南会津の山々も一望に見渡せた。私達は山頂から少し奥に進んだ所で昼食をすることにした。休憩中も風は少しも衰えることがなく時々砂塵が巻き上がった。やがて登山者が一人去り二人去りして団体の登山者もいなくなってしまうと静かな山頂が戻ってきた。登山者のほとんどは女岳へと向かっていったようである。

男岳の山頂からいったん下ってわずかに登り返すと女岳だった。男岳とは違いほとんど展望が無かったが山頂から少し下ると小さな祠があり、ここで再び展望が開けて眼下には天栄村の風力発電の風車がゆっくりと回転しているのが見えた。ここからは樹林帯の中の急坂を一気に下る。地獄坂とも呼ばれるこの急斜面には何カ所にもトラロープが張ってあり、私にはこのロープは邪魔になるばかりで閉口した。カミさんは2本のストックを頼りに後ろをゆっくりと下りてくる。ここはよほど慎重に下らないといっぺんで膝を壊しそうなほどの急坂だった。なだらかな登山道になったところで休憩をとる。女岳からは風はほとんど納まっており、いつのまにか背中は汗びっしょりになっている。樹林の間から洩れてくる陽射しが温かく冷たい水がおいしかった。

薄暗い樹林帯が終わりようやく二岐林道に飛び出すと、午後の暑い日差しが砂利道を白く照りつけていた。林道といっても大型トラックがすれ違えるほど道幅は広い。ここからは約30分の林道歩きと10分の県道歩きで二岐温泉に戻ることができる。山頂からは予想外に長い急坂を下り続けて二人とも結構疲れてしまい、温泉までは足を引きずるようにしながらだらだらと二岐温泉へ向かった。


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