山 行 記 録

【平成14年5月3日(金)/鳥海山 祓川〜七高山】



祓川ヒュッテ(左上)を後に急斜面を登る
穏やかな風が吹き、気持ちの良いシール登高が続く



【メンバー】2名(妻)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、日帰り
【山域】出羽山地
【山名と標高】鳥海山(七高山2230m)
【天候】晴れ
【温泉】秋田県由利郡鳥海町 猿倉温泉「フォレスタ鳥海」500円
【行程と参考コースタイム】
祓川キャンプ場の駐車場発(1140m)7:40〜七ツ釜避難小屋(1560m)9:30-40〜七高山(2230m)12:15-13:30〜祓川キャンプ場の駐車場着15:00

自宅3:50=祓川キャンプ場7:10(190km)※自宅2100着

【概要】
先週に続いての鳥海山である。前回はいわばカミさんの足慣らしのつもりで、山頂は二の次だったことから、今回は是が非でも二人で山頂に立つことを目標にした。標高差は約1100m。時間さえかければ可能だと判断し、できるだけ早立ちすることにした。秋田県矢島町の祓川からは2年ぶりである。早朝に自宅を出て一路R13号を北上し、秋田県雄勝町の院内からR108号に折れて鳥海町、矢島町と入った。その途中、左手からは残雪に覆われた美しい鳥海山が望めた。

祓川キャンプ場の駐車場には、まだ朝早い時間にもかかわらずたくさんの登山者やスキーヤーで溢れている。祓川ヒュッテの駐車場は既に満杯らしく、引き返してキャンプ場まで下ってくる車が多かった。私達は駐車場からすぐにシールを貼り登高開始する。柔らかな陽射しが降り注ぐ中の快適な登りだ。正面を見上げればたくさんの登山者が斜面に張り付いている。良く見るとはるか先の急斜面にも登山者達の列があり、カミさんが驚いている。

例年より雪が少ないとはいえ、鳥海山の斜面は広大である。この広い雪原のどこを登っても良いのだから楽しい。しばらくして、急斜面を登り詰めると、七ツ釜避難小屋に着いた。2年前はほとんど雪に埋もれていた小屋である。今年は小屋の周りには全く雪がなくなっている。ここまで来れば今日の行程の約半分。ザックを下ろして小休止した。カミさんは疲れているのだろうが、周りを大勢の登山者達が登っているので励まされるのか、意外と元気な様子に一安心だ。冷やしてきた果物の缶詰をうまそうに食べている。小屋からは急斜面をひと登りするといったん緩斜面となる。薄雲が目立っていた上空も今は快晴の青空が広がっていた。近くではザックひとつ持たない若いスノーボーダー4人、つらそうな表情をして通り過ぎる登山者達を眺めている。バテたのかみんな一様に元気がなかった。一方、中高年のグループは元気だ。リーダーらしき人を先頭に勢い良く山頂をめざして登ってゆく。

山頂直下の急斜面はさすがにカミさんにはつらそうだった。直登は無理なので斜上してゆくが、カービングスキーのせいかシールがよく効かず時々スリップして後ずさりする。ほとんどの人達はスキーは担いで登っていたが、私達はシール登行にこだわった。しばらく我慢しながらの登りが続く。上を見上げれば山頂はすぐ近くで手が届きそうな距離である。休憩している人達の顔さえ見えそうなのだが、なかなかここからが遠かった。ここでは坪足の登山者達も2・3歩登っては立ち止まり、息を整えている。一番苦しい箇所だけに息が上がりそうだった。

登り始めてから4時間30分。ようやく山頂に到着した。カミさんは疲れはてたのかしばらく声が出せないでいた。山頂は風が冷たく岩陰にザックを下ろす。腰を下ろすとちょうど下界を見下ろせた。霞んでいるものの、遠くに祓川のヒュッテも小さく見えた。休んでいると、カミさんにも笑顔が戻ってくる。山頂に立てた喜びがやっと湧いてくるようだった。岩場の陰では大勢の登山者達が休憩中だった。私達は時間はたっぷりとあるのでここでは大休止。具だくさんのラーメンを食べると冷えていた体が温まった。私はさっそくビールで今日の快晴の鳥海山に乾杯だ。山頂からはいくら眺めても飽きない風景が広がっていた。つらい登りに耐えてきたただけにこの眺めは感動的でさえある。

下界は晴れているのに山頂の風は冷たく、体は冷え込むばかりだった。風であおられてガスコンロのお湯さえなかなか沸かないので、少し下った地点であらためて休憩をとることにし、早めに山頂から下る。下り始めはかなりの急斜面なので、カミさんは恐る恐る斜滑降で下る。しかし柔らかいザラメ雪に慣れたのか、すぐにスムーズなターンで下りはじめた。見晴らしの良い景色を眺めながら二人でのんびりと下る。どこまでも広い斜面を滑っていると、登りのつらさをすっかり忘れていた。何しろ5時間近くもかけて手に入れた標高である。それこそ大事に、大事にしながら下る。やがて風がなくなり体も温まってきたので、近くの草原に腰を下ろした。今度は緑茶と漬け物でティータイムである。近くではウグイスが鳴き、おだやかな陽射しに包まれているとついうとうとしそうになる。今が春の山スキーで一番楽しい時間なのかも知れなかった。午後になっても登山者達は次々と登ってきていた。

ここからは途中、七ツ釜の小屋を通過し、駐車場まで下るだけである。しかし、下っても下っても途切れないのでカミさんが驚いている。私ももしかしたらコースを間違えたのか、と一瞬錯覚しそうなほど今日は長い滑降だった。それだけの標高を登ってきたということなのかも知れなかったが、私は余りに快適すぎる滑降を楽しみながらも、ようやくカミさんと鳥海山の山頂に立てた達成感もあり、もしかしたらこれで今シーズンの滑り納めになるのかも知れないと漠然と感じていた。



七ツ釜避難小屋から急斜面を登る


大勢の登山者が山頂をめざしていた(9合目付近)



大勢の登山者が山頂を目指している
例年より雪がかなり少ない



ようやく七高山山頂に到着
こうしてみると、山頂直下はかなりの急勾配だ




山頂直下の急斜面で


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