山 行 記 録

【平成14年4月20日(土)/いこいの村栗駒から栗駒山】



栗駒山



【メンバー】2名(妻)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】奥羽山脈中部
【山名と標高】栗駒山 1,627m
【天候】晴れ
【温泉】いこいの村栗駒500円
【行程と参考コースタイム】
いこいの村栗駒840〜イワカガミ平1010-20〜栗駒山1230-1300〜イワカガミ平1350〜いこいの村栗駒1500

【概要】
栗駒山は昨年の9月にカミさんと秋田県の須川温泉から登っており、今回はちょうど反対側から登る形になる。快晴の中、車を運転していると、ガラス越しの日差しが暑くて、車窓を流れる景色はすでに初夏を思わせた。周囲の山々にも雪は全く見あたらなくて、栗駒山の雪の状態を心配しながら栗駒町を走った。カミさんとの山スキーは西吾妻の先日のアクシデントから2週間ぶりである。

「いこいの村栗駒」から先は既に除雪が終了している。しかしまだ冬期閉鎖中のため駐車場から先には進めなかった。開通は22日の予定で、ここからイワカガミ平まではスキーを担いで登るしかなかった。駐車場から見上げると、ところどころに雪は残っているが、山頂付近の様子までわからず、本当にスキーができるのかちょっと不安になりながら準備を始める。それでも駐車場には山スキーが目的の登山者が何人かいて、まもなく登り始めるところだった。

私はカミさんのスキーも一緒に背負って出発した。イワカガミ平までは1時間ぐらいだというから、歩いているうちに着くだろうとノンビリ歩き出す。まだ芽吹きには早いが、日差しは暖かく周囲の景色はすでに春山真っ盛りという感じである。40分ほど歩いた地点からシールを貼り斜面を登る。道路に分断されてスキーをはずしたりしていると4〜5人ほどの山スキーヤーに追い越された。ショートカットしたつもりだったが、結局スキーを担いだまま登った方が早いような気がした。それでもシール登高をなんとか続け、「いこいの村栗駒」から約1時間30分ほどでイワカガミ平に着いた。夏場は大勢の観光客や登山者でにぎわうこの場所も今は人気のない静寂さが漂っている。

ここからはまだ積雪も豊富で山頂まで白い斜面が続いていた。早めに出発した人たちが遠方に小さく見える。小休止の後、のんびり歩き出すとしばらく気持ちの良い緩斜面が続いた。途中で、銀マットを敷き休憩をとる。霞がかかっていなければ太平洋までも見渡せそうな眺めのいい場所だった。坪足の登山者が一人私たちの目の前を登っていった。雪は締まっており、坪足での山登りも悪くない季節になっているのだ。季節の移り変わりの早さには驚くばかりである。

やがて前方に雪を抱いた栗駒山が目に入ってきた。雪はだいぶ解けてはいるものの、まだまだスキーは心配ないほどの積雪がある。最後の急斜面の手前で一部雪がなくなっているところもあるが、無木立の大スロープは素晴らしく、下りの滑りが大いに楽しみな斜面が広がっていた。

初夏を思わせる気温と日差しも山頂が近づくにつれていつのまにか雲が広がりだしていた。ようやく山頂につくと登山者や山スキーの人たちが10人前後休憩中である。「いこいの村栗駒」からは4時間近くかかった。カミさんはだいぶ疲れた様子だが、山頂に到着してようやく安堵の表情が現れている。山頂から見下ろせば昨年登った登山口の須川温泉が見えた。そして北に比較的大きく聳える山並みは焼石岳だろうか。遠方の山は霞んでよく見えなかったが、まだまだ残雪が多い東北の山々が眼下に広がっていた。

カミさんは栗駒山に建つ大きな標識を見て、ようやく前回登った時のことを思い出したらしかった。早速ベンチに腰を下ろしてラーメンを作る。山頂では今にも雨が降りそうな空模様だったが幸い雨は降らなかった。それでも予想外に山頂は膚寒く、ビールを飲む心境ではなくなっている。食後に熱いコーヒーを飲んで体を温めた。

山頂からは東栗駒山との間の沢を下る。下り始めこそ少し急斜面だが広々とした一枚バーンで雪は柔らかく、快適な下りだ。初心者に最適の斜面がずっと下まで続いている。カミさんは最初の斜面を緊張しながら下り始めたものの、山スキーに慣れたのか楽しそうに下っている。途中からはトラバースしながら中央コースに戻る。それからも快適な滑降が続き、ブッシュの間を縫うように下るとやがてイワカガミ平が近づいた。先ほどまでの季節が逆戻りしたような空模様も、ここまで下ってくると元の陽射しに戻っている。5月の風が薫ってくるような天気だった。

イワカガミ平から「いこいの村栗駒」までは再びスキーを担いで歩かなければならない。私は雪がある限り滑りたいので、樹林の中を滑ることにした。ここは道路のショートカットというより、もう少し雪があれば快適な滑降コースのようだった。途中でヤブを少し漕ぎ、滑れそうな斜面を拾いながら狭い木立の中を下った。さすがにスキーでの下りは早い。枯れ枝や枯れ葉が散らばる急斜面を滑り、まもなく「いこいの村栗駒」の近くの道路に飛び出した。アスファルト道路でザックを下ろして休んでいると、早めに山頂を出発した登山者達が多数下りてくる。私はその後、カミさんが下りてくるまではまだ40分ほども待たなければならなかった。


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