山 行 記 録

【平成14年3月16日(土)/蔵王連峰 白石スキー場から不忘山】



不忘山の山頂直下に立つ



【メンバー】2名(妻)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】南蔵王連峰
【山名と標高】不忘山1705m
【天候】晴れ
【温泉】遠刈田温温泉 公衆浴場 250円
【行程と参考コースタイム】
スキー場リフト終点930〜不忘山1210〜山頂直下(昼食)1220-1320〜白石スキー場駐車場1545

【概要】
今回はめずらしくカミさんとのテレマークである。今日は全国的に晴れの予報がでているからどこの山でも良かったのだが、それでも晴天率の高いと思われる宮城県の不忘山に登ることにした。単独の場合はしょうがないにしても、久しぶりのカミさんとの一緒の山行の時はやはり完璧に晴れて欲しいのである。ところがいざ白石スキー場の駐車場に着いてみると、上空は青空だが山頂付近だけ雲が一面覆っているという妙に心配な空模様が広がっていた。

リフト終点でシールを貼って早速樹林帯に入って行く。林の中にはスキーのトレースも坪足の踏跡も見あたらない。休日なのに誰も登っている様子はなく、今日不忘山をめざすのはどうも私達だけのようであった。樹林帯を抜けると潅木帯となり急に見通しがよくなる。カミさんは久しぶりの山行なのでゆったりとしたペースだ。リフト終点からは薄曇りの状態が続いていたが、前方に不忘山の裾野が現れるころには気温も上昇してきて、いつのまにか背中から汗が流れ始めている。山頂付近の雲も徐々に流れ始め、天候は少しずつ良くなっている。現金なもので上空の青空が少し増えただけで元気が出てくるようだった。

不忘山の山頂へと続く尾根を登る頃はすっかり快晴の空となり、心配した天候も雲一つ無い快適なテレマーク日和となった。真っ白い雪面がまぶしく、今日も日焼けを心配しなければならないほどである。霧氷のダケンカンバの背後には屏風岳と水引入道の雪山がまぶしく、そんな光景を眺めながら快適な尾根の雪原歩きが続く。ふと誰か登ってはいないかどうか気になって振り返ると、後ろから山スキーの単独登山者が登ってきておりいつのまにか私達のすぐ近くまで迫っていた。その人のペースはかなり早く、のんびりと登っていた私達はまもなく途中で追い越された。

不忘山の裾野はゆったりとした緩斜面だが、山頂付近はかなりの急勾配である。冷たい強風に吹きさらされる雪面は堅く、時々スキーが後ずさりした。カミさんは急斜面の登りに慣れないために何回もスリップしてころんだ。

いよいよ山頂が間近に迫り、そこから先は狭い岩場の稜線となるために昨年と同じ場所にスキーをデポすることにした。夏道との合流点付近である。初めは狭い雪稜をキックステップで登る。途中からは岩と氷のミックスとなり、アイゼンさえ必要な稜線歩きとなった。先行の山スキー氏は途中からスキーを担いでいったようだ。私達は2本のストックでバランスをとりながら山頂を目指す。凍った岩場の登りは考えてみれば本格的な冬山の世界そのものであり、冬山の経験が全くないカミさんにとっては結構苦労する箇所だった。

不忘山山頂にはリフト終点から約3時間近くかかって到着した。のんびりと登ったわりには標準的な時間で登ったことになる。雲一つ無い空を背景にして、今日は屏風岳や水引入道などの南蔵王連峰や不忘山の広大な裾野などが一望に見渡せた。そして裾野の先には長老湖が広がる。雪が少ないためか長老湖は全く氷結していなかった。私達は山頂で昼食の予定だったが風が強いので山頂から少し下った東斜面にザックを下ろした。斜面をスコップで均し、雪のテーブルを作る。風は止みそうもないのでツェルトを張った。

楽しい昼食が終わると後は白石スキー場を目指して裾野を下るだけである。空は快晴でも気温は低く風も強いので山頂付近の雪面はクラストしたままである。これではとても滑りづらいので横滑りや斜滑降でしのぎ、カミさんはシールを貼ったまま下った。斜面が少し緩やかになるところまで下がると雪質はモナカ状態の悪雪となってきた。深雪のパウダーとは程遠い雪である。ここはいわゆるテレマーク技術でいうワンステップターンで下った。今日のルートは登ってきたコースとは反対側のリフトを目指している。緩斜面が終わると途中からは樹林帯が密になり、抜け出すのに少し難儀しなければならなかった。ここはとても快適な滑りとはいい難いところだが、ゲレンデが近づく頃には木々の間隔もまばらとなってカミさんもこころなしか樹林帯を楽しそうに滑っている。

不忘山のような広大な雪原をテレマークスキーで気ままに滑る楽しさはとても言葉では説明できないかも知れない。真っ白い雪原と美しいブナ林、そして今日のような好天に恵まれて、一日穏やかな風に包まれればなにもいうことがなかった。春の陽射しを浴びながら楽しんだテレマークも、まもなくエンディングである。樹林帯をようやく抜け出し、白石スキーセンターの黄色の建物が眼下に見える頃には既に日も傾き掛けていた。



快適な雪の尾根道を登る
後ろは水引入道



急斜面を登る
すこし喘ぎ気味の頃




いよいよ山頂が近くなった
もう、ひとがんばりだ



スキーをデポして坪足で登る
山頂まであと200メートル
カミさんは結構苦労して登っている



不忘山山頂で



苦労して登った不忘山山頂で感無量のカミさん




のんびりと不忘山の広大な山麓を滑る


inserted by FC2 system