山 行 記 録

【平成14年2月25日(月)/蔵王連峰 澄川スキー場から刈田岳】



氷結したお釜と火口壁
頂上間近の刈田岳付近から眺める



【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】刈田岳 1758m
【天候】晴れ
【温泉】青根温泉 共同浴場(大湯)150円
【行程と参考コースタイム】
澄川スキー場リフト終点1030〜(中央コース)〜刈田岳1220-1300〜(パラダイスコース)〜井戸沢1345〜澄川スキー場駐車場1430

【概要】
前日の大沢下りの疲れがまだ残っていた。しかし朝から願ってもない好天が広がっているのをみて、以前から気に懸かっていた宮城県側から蔵王に登ることにした。澄川スキー場は平日にもかかわらず若い人で溢れている。軽快な音楽に乗って次々とスノーボーダーが滑り降りてくるのを眺めていると、躍動感でいっぱいのスキー場という雰囲気がした。

私はリフト終点でシールを貼り終えると、スキー場の音楽から逃れるようにして樹林帯に入っていった。今日は登り始めた時間も遅く他に登山者などいないのではないかと思ったが、振り返ると後ろから山スキーの2人が登ってきている。天候は無風快晴。スキー場の騒音も聞こえなくなると静かな山歩きとなった。樹林帯とはいえまばらな潅木があるだけで前方にはのっぺりした熊野岳や刈田岳を望むことが出来た。そして左には胡麻をちらしたような樹林が目立つ、南蔵王連峰がなだらかな稜線をみせている。歩き始めてまもなく汗が全身から噴き出し、着ていたアウターも途中で脱ぎ捨てた。気温はどんどん上昇している。好天に恵まれたこういう日の、登りに費やす時間が私はとても好きである。それこそ惜しみながらゆっくりと登った。

途中でコースの番号が書かれた標識が時々現れる。ここには中央コースと書かれた看板もあり、昔からのツアーコースだったことを伺わせた。雪面はガリガリに堅く踏跡は全く残らない。ここはテレマークスキーでは下りたくないなと思いながらも山頂までは快適なシール登高が続いた。

山頂が近づくと休憩を終えたらしい人達が山頂から東斜面を滑り降りていた。広大な蔵王連峰の中では人間などちっぽけな黒いアリのようにしかみえなかったが、目を凝らしてみるとほとんどスノーボーダーである。この澄川スキー場では雪上車を利用したサービスも行っているらしく、時々カラフルなウエアを着た人達を乗せて山頂近くまで行き来していた。刈田岳の山頂が近づくにつれて右手には氷結したお釜と火口壁が見えてきていた。

山頂からは南蔵王連峰がまぶしい。私はこの山並みを見下ろしながら休憩をすることにした。ここまで前後して登ってきた3人の山スキーの人達と一緒の昼食をする。食事を終えるとそのうちの一人は蔵王温泉に縦走するといって先に出発していった。私は登ってきたアイスバーンの中央コースは下るつもりはなくパラダイスコースを下ることに最初から決めている。ところが一緒に食事をしながら話をしているうちに、今年のパラダイスコースは積雪量が少なく、もしかしたら井戸沢を渡れないかもしれない恐れもあるという。それはそれで心配だったが、一人でもいってみることを話すと外の2人もそれでは一緒にいってみようかということになり結局3人で下ることになった。

最初は堅くクラストした斜面をなんとか横滑りなどで凌ぎエコーラインを横切る。樹林帯に入ると30〜40cmほどの深雪の快適な雪質になった。雪が柔らかく気持ちの良いターンを繰り返しながら樹林帯を縫って行く。後ろを振り返ると刈田岳がすでに遠くになっていた。樹林に見え隠れする清渓小屋を目安に下り、後はほとんど真東に進んだ。ここも昔からのツアーコースのようであり、途中でやはりコースの番号が書かれた標識が現れた。しかし樹林が結構混んでいるのでこのコースにはスノーボーダー達は入ってこないようである。ここはテレマークスキーに特にふさわしいコースのような気がした。

途中、井戸沢を渡って対岸に登り返す場所に出た。ここはV字のような谷になっているところで急斜面の肩に立つと身震いしそうなほどの斜度がある。しかし雪が深いので思い切って突っ込んでいった。スノーブリッジが崩壊しているかも知れないと心配した井戸沢だったがまだ大丈夫のようである。しかし今年の積雪量の少なさを考えればこのコースも3月上旬ぐらいが限度だろうか。

刈田岳からの快適な滑りもここまでである。あとは若干の登り下りを繰り返し、スキー場のゲレンデに向かうだけだった。井戸沢の沢底からは八の字や階段登行で登る。表面が融けだした雪面は樹林帯の木漏れ陽に乱反射してキラキラと煌めいている。この頃には気温はだいぶ高くなっていて、樹林に降り積もった雪も解けはじめていた。またスキーのソールに雪が付着して歩きづらくなっている。いわゆるダンゴである。今はまだ2月の厳冬期なのに、まるで4月上旬を思わせるような陽射しのもとでのテレマークスキーだった。



刈田岳



刈田岳山頂からの南蔵王連峰



快晴の空にご機嫌の一日(刈田岳山頂)



パラダイスコースを下る(右奥は前烏帽子岳)



急斜面を下り井戸沢を渡って対岸に登り返す
ここはV字のような谷になっている


inserted by FC2 system