山 行 記 録

【平成14年2月16日(土)/猫魔ヶ岳〜雄国沼〜ラビスパ】



氷結した雄国沼をバックに
ここから雄国沼休憩舎まではひと滑りだ



【メンバー】3名(原、渡辺、蒲生)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】裏磐梯
【山名と標高】猫魔ヶ岳1404m、雄国沼1089m、雄国山 1,271.2m
【天候】曇り
【温泉】喜多方市 「喜多の郷」300円
【行程と参考コースタイム】
猫魔スキー場リフト終点1050〜1349mピーク1210〜雄国沼休憩舎1250-1400〜雄国山1445〜ラビスパ裏磐梯1645

【概要】
今回のメンバーとは昨年4月の吾妻連峰、大沢下り以来である。前回は私だけがテレマークスキーで他の二人はゲレンデスキーだったのだが、新しく山スキーのビンデングを買い揃えた原さんにとっては、今日は記念すべき山スキーデビューである。4月中旬の春山とは違って今は厳冬期の真っ直中。なるべくハードではないコースということで、車2台を使用して猫魔ヶ岳からラビスパ裏磐梯までの縦走をすることにした。渡辺さんはゲレンデスキーなので登りでは私のワカンを貸すことにした。

今日は高気圧に覆われるとの天気予報が出ておりかなり期待して自宅を出発した。ところが喜多方市上空には青空が広がっていたものの磐梯山一帯だけは厚い雲に覆われていてなかなか晴れる気配がない。猫魔スキー場から猫魔ヶ岳を見上げても山頂付近は薄黒い雲に隠れて全く見えなかった。もしかしたら山頂付近は吹雪いているのかも知れないと心配しながらリフトに乗車する。リフト終点に着いてみるとたしかに視界は無かったがそれほど風もないので雄国沼まではなんとか行けるだろうと判断してシールの準備をする。渡辺さんは慣れないスキー靴へのワカンの装着に時間がかかっている。準備をしていると今朝、東京を発ってきたという山スキーの3人組がやってきて、これから雄国沼までの予定だという。しかし、せっかく東京からきたのにこの天候ではがっかりだろう。

今日はまだ誰も登っている様子はなくリフト終点からはトレースが全くなかった。降雪があったばかりの雪面はスキーでも20cmぐらい潜るので、ワカンの渡辺さんは結構苦労しながらの登りだ。シール登高が初めての原さんはシールの不思議さに少し戸惑っていたが、だんだんと慣れてきたようである。急斜面をトラバースしてまもなくすると稜線だ。ここはほとんど猫魔ヶ岳の直下。尾根からは山頂までは20分程度だが、視界もないので今日は山頂を断念しまっすぐ雄国沼に向かうことにした。シールをはずしてなだらかな斜面をひと滑りするとあっという間に鞍部まで滑り降りてしまう。そしてすぐに1349mピークまでの登り返しである。再びシールを貼り渡辺さんはワカンの装着。こんな作業の繰り返しも風がないのでそれほど苦にはならなかった。このあたりは晴れていれば尾根の両側に展開する風景を楽しみながら登ることができるところだ。あいにく陽射しが遮られてどんよりとした天候だったが、途中から雲の一部が少しずつ切れ始めている。やがて雲間から洩れてきた陽射しに、氷結した雄国沼が輝いて見えた。しかし右手に大きく聳えている筈の磐梯山は全く見えなかった。

1349mピークは猫魔スキー場のもう一つのリフト終点にもなっているところで、リフト小屋がうっすらとガスに見え隠れしていた。ここから雄国沼に向けて下りはじめると何人かのスキーのトレースが雄国沼に向かって伸びている。この区間の雪質は適度に柔らかく樹林をポールに見立てての快適なターンが続いた。そこそこ深雪なので快適な滑りである。樹林帯を抜けるともうそこは雄国沼の氷上だった。前方の雄国山の斜面には山スキーの人達が大勢張り付いているのが見えた。全部で20名前後いるだろうか。スキーのトレースは2〜3人分しかなかったのに彼らはいったいどこからやってきたのだろうとなんとなく不思議だった。

予定より1時間遅れで小屋に到着した。小屋にはスノーシューの二人が休憩中で他には誰もいない。陽射しもなくパッとしない天候だったが、風もないので穏やかで静かな山小屋だった。日帰りのスキーツアーでは滑降とともに昼食はメインともいえる楽しみのひとつである。早速ビールで乾杯し、各自が持ち寄った食材で楽しい時間が始まった。寒い日には温かい食べ物が一番と、私は豆腐一丁と野菜をたっぷり入れてちゃんこ鍋を作る。そのうちに東京の3人組も遅れてやってきて小屋の中はひととき賑やかさを増した。山の話に盛り上がっていると時間はあっという間にたってしまう。つらい登りの1時間はとても長く感じるものだが楽しい食事の1時間はたちまちだった。

食事を終えて小屋の前で東京組と別れると彼らは雄子沢ルートを下っていった。雄子沢口からの足はどうするのかと心配したがなんとかなるだろうとみんな楽観的である。私達は雄国山まではまたシールをつけてひと登りだ。午後からは晴れるのを期待したもののなかなか天候は快復しそうにはなく陽射しは遮られたままだった。それでも稜線まで上がると西の方角にはひときわ白い飯豊連峰を望むことができた。ここから雄国山まではもうまもなくである。クラストした堅い雪面にシールを効かせながら一歩一歩進む。山頂が近づくにつれ視界はますます悪くなるばかりで、雄国山の山頂では完全に雲の中に突っ込んだらしく展望は全くなくなってしまった。

雄国山の山頂からはしばらく先行者のトレースがあるので最初はそれを追った。下り始めると視界が少し開けてきたので安心だ。私は雄国山からの区間は冬には初めてだったが、広い雪面はどこをどう滑っても楽しく、その快適な斜面に思わず歓声をあげた。テレマークスキーにとっては滑りやすい緩斜面がしばらく続いた。一気に下るのが惜しいので何回か斜面に立ち止まって小休止する。しかし途中からなだらかな登りが続くようになると地形が少し不明瞭になり、前方の小高いピークの左を卷くのか右を卷くのかよくわからなくなった。結局この区間はシールを貼ればなんということもない斜面もそのまま登ったものだから結構汗をかくほどのアルバイトになってしまった。その後も所々で適度な斜面を見つけてはみんなで斜面に飛び込むようにして深雪の滑降を楽しんだ。途中から坪足のトレースが現れると、その踏跡を絡むようにしながら下る。斜面を横切り尾根に乗り上げるとようやく眼下にラビスパが見えてきた。最後の急斜面はすこしトラバース気味に下り緩斜面に滑り込んでいった。すでにあたりは日も暮れかけて薄暗くなっている。楽しくも以外と長かった一日が終えようとしていた。



リフト終点からは視界のない樹林帯の登りが続く
シール登高が初めての原さんと後ろはワカンの渡辺さん


楽しい昼食を終えて雄国沼休憩舎を出発する



雄国山への急斜面を登る原さんと渡辺さん



視界がなくなった雄国山山頂で


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