山 行 記 録

【平成14年1月13日(日)〜14日(月)/奥秩父 三峰神社〜雲取山〜鴨沢】



雲取山山頂と富士



【メンバー】単独
【山行形態】冬山装備、営業小屋泊(雲取山荘)
【山域】奥秩父
【山名と標高】雲取山(くもとりやま)2017.1m
【天候】(13日)晴れ時々曇り、(14日)晴れ
【行程と参考コースタイム】
[2002.1.12]
自宅2130−赤湯2215−(東北急行バス)−翌朝500東京−(JR)−池袋−(西武鉄道)−西武秩父駅−(徒歩)−お花畑駅(秩父鉄道:1,180円)三峰口850−(西武バス:300円)−905大輪915発−(ロープウェイ:950+荷270円)−三峰神社山頂駅着920

[2002.1.13]
三峰神社930〜霧藻ガ峰1110〜前白岩山1230〜白岩山1315〜大ダワ1405〜雲取山荘1430(泊)
[2002.1.14]
雲取山荘630〜雲取山655〜ブナ坂分岐800〜鴨沢1030

小袖川バス停1050−(西東京バス:610円)−奥多摩駅1132−(JR)−1400東京−赤湯−自宅

【概要】
雲取山とはなんといい響きの名前だろうか。それも東京都最高峰の山であり、標高が2000mを超えているというのだから登高意欲もそそられる。私もいつかは登りたいとは考えていた山でもある。とはいえ一方では東京都民に不動の人気を誇る山とあっては、山頂や山小屋の混み具合は想像以上のものがあるだろうと少々敬遠気味の山でもあった。まあ富士山の夏山と同じである。しかし積雪期の今の時期ならばそうは混まないのではないかと思い、当初予定していた山行を変更したりして急遽、この雲取山に出かけてみることにした。最近雲取山荘がログハウスの素敵な山小屋に建て替えられたというのも惹かれるところで、ログハウスに憧れる私としてはこれも楽しみである。

ロープウェイの三峰神社山頂駅でザックのパッキングを直して早速歩き始める。途中三峰神社の境内を通ると登山道らしくない参拝道がしばらく続いた。標識もあまりないので道がちょっとわかりずらい。境内を抜け出て売店前を通り過ぎ、小さな鳥居をくぐるとやっと登山道らしくなった。登り始めは雪はほとんどないので冬山の感じがしない。しかし1400m付近から登山道にもようやく雪が現れるようになった。天気は良いのだが気温はかなり低いので融けだした雪道はほとんど凍っている。霧藻ガ峰山頂ではザックを下ろして、快晴のもとでの展望をしばらく楽しむ。下山してきたらしい3人のグループが缶ビールで乾杯していた。積雪は5〜10cmぐらいで全体的にうっすらと雪が山肌を覆っている。総じて北側や日陰部分には雪は多いものの、陽射しの当たる南側斜面には雪はほとんどないか、あってもわずかだけという感じだ。

霧藻ガ峰休憩舎からお清平へ下ると前白岩山への急登だった。足は思うように上がらず途中何回か立ち止まりながら休んだ。昨夜の夜行バスのせいで疲れがたまっているのかもしれなかった。小屋泊りでもザックは結構重く、思わず息が上がりそうになる。この急坂はかなりの勾配があり意外にも汗を搾り取られた。冬山でこのくらい汗をかくのも久しぶりのような気がした。

白岩山の山頂のベンチで一休みする。すぐ近くでニホンジカが2頭、こちらをじっと見つめている。逃げないところをみると人慣れしているのだろう。行動食を食べながら休んでいると汗をかいた体はたちまち冷えてくる。冬の空に広がっていた青空も、午後になると急に日が陰ってきていた。冬至を過ぎて日は長くなったと思ってもまだ1月中旬。日が傾くのは早く午後の日はまだまだ短いのだった。山頂を下ると芋の木ドッケの標識が立つ鞍部で道が分かれていた。尾根道の直進コースと右への巻道である。踏跡は巻道の方に多くあるので私は巻道を行くことにした。この先、大ダワと呼ばれる鞍部までは急斜面をトラバースする箇所や、狭い岩場を通過する場所もあり少し緊張感が漂うところだ。

大ダワとは山と山の鞍部のことで、そこにもやはり分岐の標識が立っていた。左へは女坂と呼ばれる雲取山荘への巻道で目の前の斜面を直登して山荘に向かうのが男坂。この頃は三峰神社からの予想外のアップダウンの繰り返しでいささか疲れていたが、最後の登りだというので奮起して雲取山荘への急坂を直登した。

ようやくたどり着いた雲取山荘は、予想通りにログハウスの新しい山小屋だった。まだ登山者は誰も到着していないらしく、人影も見あたらず小屋の周囲は静かである。私は早速受付を済ませて部屋にザックを下ろした。部屋は6畳ほどの広さで豆炭コタツが据えられている。スタッフの人に尋ねてみると、今日は連休とはいってもそれほど混まない様子なので一安心だ。夕食まではまだまだ時間が早く、食堂でビールを飲みながら午後の一時を過ごす。食堂から眺めていると、登山者が次々とやってきてだんだんと混み合ってきたが、この日の宿泊は35〜36名だけで意外に少なかった。私の部屋にはその後若い二人組が入ってきたので結局3人部屋となった。夕食後は消灯近くまでロビーのストーブを囲む。そしてそれぞれに好きなアルコールを飲みながら登山者同士、山の話をしながら夜が更けていった。ちなみに外気温は氷点下5度で、常には氷点下14、5度にもなるというのだから今日は暖かい方なのだろう。この夜はコタツもあるので少しも寒くはなく、かえって冬山に来ているのを忘れてしまいそうであった。

翌日の朝食は6時からだった。同室になった二人組は朝の写真を撮るのだといって、5時過ぎには部屋を出ていった。外はまだ真っ暗である。日の出は7時少し前というので私は間に合うように6時30分には小屋を出た。道は凍っているもののアイゼンを装着するほどではなく、まだ薄暗い登山道をストックを頼りに注意しながら登る。登り詰めた雲取山の山頂では、すでに多くの登山者が三脚を据えてカメラを構えていた。ご来光は6時53分。オレンジ色に染まった山際から太陽が登り始めると山頂はまぶしいほどの朝の光に包まれた。冬山でみるご来光はいつも神々しい。刻々と変わる日の光をしばらく眺めていると見飽きることがなかった。雲取山の標識の右奥には冠雪した富士山が端正な姿を見せている。そして西には北岳、塩見岳などの南アルプスが聳え、右手には甲武信岳が大きく望めた。

山頂を下るとすぐ避難小屋が立っていた。中を覗いてみるとこの小屋も建て替えられたばかりのログハウス風の素敵な小屋だ。昨夜は20名定員のところに30数名が泊まったということだから非常に混みあったことだろう。周囲にはテントも何張りか設営されていた。

小雲取山と広い雲取山ヘリポートを過ぎるとあとはほとんど下りだけの道になった。ブナ坂の分岐で七ツ石山への登山道を左に見送り巻道を下る。そこからは途中凍った雪道が何箇所かあるものの、ほとんど夏道と変わりはなくなった。陽射しは温かく風もないのでまるで晩秋の日溜まりの道を歩いているようである。ふかふかとした落ち葉の積もる登山道は1月という季節を忘れてしまいそうだった。下るにしたがって登山者も何人か登ってくる。ピッケルをザックにくくりつけている人もいるのだが、この時期の雲取山はまだアイゼンもピッケルも必要はないようである。結局私はこの2日間ともアイゼンは一度も使用することなくザックにしまいっぱなしで、むしろ2本のストックのほうが役に立った。眼下に舗装道路や人家が見えてくると今回の山行も終わりに近い。車道に降り立つと暑いくらいの陽射しが降り注いでいた。


炭焼平付近を下る登山者



地蔵峠
左に大日向への登山道が続く
霧藻ガ峰へはベンチの前を登って行く


霧藻ガ峰山頂で憩う登山者



お清平
ここから前白岩山への急登が始まる
このコース中、最大の急坂だ



ようやく到着した今宵の宿「雲取山荘」



雲取山荘の受付風景


次々と登山者が小屋に到着してくる



雲取山からご来光を拝む



早朝の雲取山避難小屋


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