山 行 記 録

【平成13年11月17日(土)/阿武隈山地 蓬田新田から蓬田岳】



蓬田新田コース登山口



【メンバー】2名(妻)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】阿武隈山地
【山名と標高】蓬田岳(よもぎだだけ)952m
【天候】曇り時々晴れ
【温泉】福島県三春町 「三春の里」薬湯 300円
【行程と参考コースタイム】
蓬田岳登山口1050〜1205蓬田岳(昼食休憩)1235発〜登山口1320

【概要】
山形は早朝から冷たい雨が降り続いていた。今日はカミさんと久しぶりのハイキングで、冬型の気圧配置のために山岳部には雪の予報もでており空模様が少し心配なところだが、阿武隈山地ならば大丈夫だろうと福島県に向かうことにした。蓬田岳は阿武隈山地のほぼ中央に位置しており、その端正な山容はどこからでも目にすることができるという。標高はそれほどではないものの、周囲には視界を遮る山々が見当たらない、いわば独立峰のような存在であり、山頂からの展望が実に楽しみな山である。

東北道の郡山ICをおりて国道49号線を平田村に入り、「ジュピアランドひらた」の駐車場に車をとめた。「ジュピアランドひらた」はオートキャンプ場のようなものだろうか。駐車場の入り口には小さな管理棟まである。すぐ近くには「蓬田岳登山道」と大きく書かれた看板があり、そこが蓬田新田コースの登山口であった。陽射しはあるものの風はかなり冷たいので冬山の身支度を整えて歩き始めた。鳥居をくぐり参道のような松並木を進む。参道と平行して蓬田レクリェーションの森へと林道が続いている。

二つ目の鳥居の近くには祠が二つと水場があり、ここからは杉林の中の道に変わる。杉林の枝越しには取りこぼしのような紅葉がちらほらと見えた。ハイキングとはいえ、登山道は急坂が続くのでけっこうつらい登りだった。薄暗い杉林を見上げると青空がのぞいている。やがて周囲が雑木林になると道はますます急になり、カミさんが少し遅れ気味になった。急坂の途中で一箇所、ザックをおろして休憩をとる。気温が低いので今日は汗もかかないだろうと、タカをくくっていたら背中を結構汗が流れていた。カミさんは初め防寒着の上にアウターまで着込んで登り始めたが、さすがにその2枚とも途中で脱いだようである。

ロープに捕まりながら登り詰めるとようやく稜線に出る。右に続いている緩やかな尾根は蓬田岳の山頂への道で、まっすぐの道は沢又コースである。ここからは落ち葉が厚く降り積もった快適な登山道だったが、いつのまにか太陽は雲の中に隠れてしまい膚寒くなっていた。先ほどまで西の空にあった黒い雲は大きく頭上にまで広がりだしていた。

山頂が近づくに連れて人の話し声が聞こえてくる。ほどなく到着した山頂には大きな神社が祭られてあった。ガイドブックには菅船神社とある。菅船神社からは東側の展望が開けており、眼下には平田村が見渡せた。山頂は北に細長く続いており、少し先にはテレビ塔が立ち、近くには一等三角点が設置されていた。さらに奥には大きな石があり、そこでは予想もしなかったほどの多くの登山者が休憩中であった。全部で14、5人ほどにもなるだろうか。ここは視界を遮る樹木もなく絶好の展望箇所になっていた。

蓬田岳は一等三角点が設置されているだけあって、山頂からの展望は見事なほどだった。蓬田岳は郡山市、須賀川市、平田村の3市町の境界に位置しており、それぞれの街並みが四方に広がっている。薄雲が広がっていたので残念ながら遠方の山々はかすんで見えなかったが、晴れていれば那須連峰や吾妻、安達太良山、そして遠く太平洋まで見渡すことだ出来るという。

私達は団体が去った後、山頂の大石でちょっと早めの昼食をすることにした。山頂では冷たい北風が吹き始めていた。それは体の心まで冷えるような底冷えを感じさせる乾いた風で、安達太良山や吾妻連峰などの山岳部は間違いなく雪が降っているだろうと思わせる寒さだった。時間はまだ早いのでゆっくりと昼寝をしたり、カミさんは本を読んだりするつもりだったのだが、少し汗ばんだ体は急速に冷え始めていた。熱いラーメンや味噌汁を飲んでも冷えた体は一向に温まらず、とても昼寝を楽しむところではない。食事を終えるとそそくさと後かたづけをして下山をすることにした。

冷たい風に追い立てられるかのように稜線を急ぎ足で下る。そして樹林帯にはいるとようやく風が少し治まった。日本晴れのような温かい晩秋の一日を過ごすつもりだったが、天候はどうも予報通りとはゆかず、秋晴れとはほど遠い空模様になってしまった。私は一刻も早く温泉に飛び込みたい心境になっていた。



山頂に祭られてある菅船神社
山頂はこの奥に細長く続いている


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