山 行 記 録

【平成13年10月6日(土)/北上山地 一本杉から姫神山】



岩手県玉山村渋民からの姫神山



【メンバー】2名(妻)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】北上山地
【山名と標高】姫神山(ひめかみさん)1,124m
【天候】曇り時々晴れ
【温泉】岩手県滝沢村「大釜スオミの湯」380円
【行程と参考コースタイム】
自宅530=東北道経由=滝沢IC=国道4号=一本杉登山口945
一本杉登山口1005〜ザンゲ坂1030〜1145姫神山(昼食)1245発〜一本杉登山口1410

【概要】
姫神山は盛岡市の北隣の玉山村に聳える富士山型の秀麗な山である。その姫神山とは北上川をはさんでちょうど向かい合う形で岩手山がそびえ立っている。岩手山が男性なら、姫神山はもちろん女性ということだろう。二つの山を眺めているとそんなことが自然と思い浮かんでくる山であった。

東北道の滝沢ICをおりて国道4号線を北上する。山沿いの道から何カ所かの看板をたよりに坂道を登って行くと右手に駐車場とキャンプ場がある。ここが一本杉登山口であった。広い駐車場には多くのマイカーの他に大型バス2台まで留まっている。やはり人気のある山ということが伺えた。

登り始めるときには小雨がぱらついていたが、だんだんと晴れそうな兆しが見えて、雨具を着るほどではない。キャンプ場の広場のような草地を通り抜け、杉林の中に続く登山道に入っていった。やがて案内板にも書かれていた一本杉清水に着いた。しかしこの清水は飲料には適さないとの注意書きがあって、ちょっとがっかりである。すぐそばには樹齢が何百年という太い杉の古木が一本あるのだが、周囲には他にも多くの杉の木が植林されていて、想像していた一本杉という雰囲気ではもうなくなっている。まもなくザンゲ坂とよばれる急坂にでた。階段状の登山道に心地よい汗をかきながらしばらく登るとやがて5合目。ここで尾根にでたようで、小休止後、ここからはなだらかな道を登った。空一面に広がっていた雲の合間からは時々陽射しが差すようになっていた。陽射しを浴びたブナやダケカンバの黄葉が輝いている。ナナカマドなどの赤く紅葉した木々も目を見張る美しさだ。8合目を過ぎると潅木と大きな石がゴロゴロした道に変わる。この露岩帯ではカミさんは歩きづらいとしきりにぼやいた。石を踏み外せば怪我をしかねない場所で、やはり慣れないと危ないのかもしれなかった。やがて人の話し声が聞こえてくるとまもなく頂上だった。

山頂は想像していたとおり、多くの登山者で賑わいを見せている。駐車場に留まっていた大型バス2台は地元の小学生のようだった。親子が参加しての行事らしく、子供達が父兄と一緒に山頂のあちらこちらで昼食をしている。山頂には三角点の標注や石の祠、ケルンなどがある。登山者は代わる代わる、標注や岩手山をバックにして記念写真を撮りあっている。時間はすでに正午近くになっていた。私達は山頂の岩陰に銀マットを敷いて食事にすることにした。上空にはまだ薄黒い雲が覆っていて、遠方の山々は見えない。しかし岩手山や玉山村、滝沢村の街並みはすぐ目前に広がっていて、展望を楽しみながらの食事は格別である。そして時折、雲間から青空がのぞくと冷えた体が温まった。

団体が山頂を下る時になって、教師の号令のもとに親子が山頂に整列をはじめ、全員で歌を歌い始めた。そして大きな歌声が山頂に響きわたったのである。そのハーモニーは結構美しく私はしばらく耳を傾けていた。近くにいた登山者達も思わず聞き惚れているようだった。

その団体もあっという間に去ってしまうと静かな山頂となった。私達はそれからコーヒーを飲んだり果物を食べたり、のんびりと山頂のひとときを過ごしてからもときた道を下ることにした。午前中より天気はずっと回復している。山頂付近の露岩帯を慎重に通過すると、紅葉した山の斜面が広がっている。それはうっとりするばかりの眺めであった。午後になって広がりだした青空に誘われたのか、まだまだ登ってくる人が多かった。この姫神山はアプローチも楽なので、ちょっと思い立ったときに気軽に登れる山なのだろう。魅力的な名前に劣らず、山麓からは優美な山容を眺め、そして山頂からは抜群の展望が楽しめる山であった。



樹林帯を抜け出すと、紅葉が広がり展望が開ける


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