山 行 記 録

【平成13年9月22日(土)/須川温泉から栗駒山】



展望岩頭から龍泉ガ原を俯瞰する(左は秣岳)



【メンバー】2名(妻)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】奥羽山脈中部
【山名と標高】栗駒山 1,627m
【天候】晴れ後曇り
【温泉】須川温泉栗駒山荘 600円
【行程と参考コースタイム】
須川温泉845〜須川分岐1025〜展望岩頭往復〜須川分岐1100〜栗駒山山頂(昼食)1125-1230〜産沼1310〜苔花台1400〜須川温泉1440

【概要】
この連休は全国的に移動性高気圧に覆われるとあって、朝から快晴の空が広がっていた。しかし同時に、北からの強い寒気が入り込んでいるために、この時期としてはかなり冷え込みの厳しい朝を迎えた。栗駒有料道路を走っているときの車の外気温は3度である。札幌ではこの時期としては103年ぶりの初霜の観測があったという。朝日連峰や鳥海山には早々と初冠雪の便りが届いた。

私達が登山口に着いたときはまだ早い時間のためか、須川温泉の広い駐車場はガラガラである。準備を終え、早速、須川温泉の源泉が流れるわきを通って登り始めた。この温泉の湯量は相当豊富らしく、至る所で温泉の湯気が立ちのぼっている。源泉に手を入れてみるとちょうどよい湯加減である。付近一帯には溶岩が冷えて固まった岩が点在しており、その間を縫うように登って行くのだった。しばらくすると前方には湿原と木道が現れた。そこは名残ガ原と呼ばれる湿原で、すでに草紅葉が始まっており、誰もいない広々とした湿原は一見、晩秋の雰囲気が漂っている。途中、青白い水を湛えた昭和湖の畔にでた。朝早く出発したらしい登山者が湖を背景にしてお互いに写真を撮りあっている。昭和湖を後にすると、そこからは急な登りになった。その勾配は一気に稜線まで続いているようであった。途中で何度か小休止しながら登る。登山道にはところどころで氷が張っていて、冷え込みの厳しさが伺えた。

やがて県境の稜線上にある須川分岐に出た。ここはいろんなコースの分かれ道となっているところで、左手の栗駒山山頂からは登山者が何人か下ってくる。右手に続く登山道は湯浜温泉へのコースのようだ。私達は時間があるので展望岩頭まで足を延ばしてみることにした。展望岩頭は秣岳(まぐさだけ)へ向かって約10分程度の距離である。私は展望岩頭から見下ろす龍泉ガ原も今日のひとつの楽しみにしていた。秣岳へは割合に平坦な道が続いている。しかし展望岩頭付近では非常に冷たい風が吹いており、頬の筋肉は寒さで突っ張っている。今にも雪が降り出してきそうなほどの寒さのために、妻は防寒着を着込んで、私はウインドブレーカーを羽織った。ほどなく着いた展望岩頭からは龍泉ガ原が眼下に見えてきた。少し先には大きな須川湖も見える。秣岳の裾野に広がる龍泉ガ原には道がないだけに、手つかずの桃源郷を眺めているようだった。

寒さで震えながらも須川分岐まで戻ってくると少し風も弱まってきた。気温も少しだが上がってきているようである。分岐からは展望の良い尾根道をたどる。切り立ったヤセ尾根の所もあるので注意しながら登ると、大きな標識と神社が建つ栗駒山山頂に到着した。私はこの栗駒山には7年前に登っているので久しぶりの再訪となった。その7年前の登山口であるイワカガミ平がはるか右下に見える。その中央コースと呼ばれる登山道をたくさんの人達が登ってきていた。山頂では多くの登山者があちらこちらに腰をおろし弁当を広げている。みんな、久しぶりに晴れ渡った秋空の下で、昼食を楽しんでいるように見えた。私達もイワカガミ平を見下ろしながら昼食をすることにした。食後はザックを枕に横になる。幸いに風が通らない場所なので、暖かい陽射しが心地よく、たちまち眠くなってしまうほどだった。

下山路は産沼コースを下ることにした。これは自然観察路をめぐる周回コースで、苔花台からは往路と合流し、須川温泉まで戻ることができる。山頂の標識には産沼の表示があるものの、地図には特に記載されてはいない。また自然観察路とはいえ、花の時期はとうに過ぎており、登山道は普通の山道と変わりがなかった。あまり人が通らないらしく、静かな山道をひたすら下ると40分ほどで産沼の分岐に着いた。右には笊森コースが続いている。途中には避難小屋もあるようである。私達はここで果物などを食べながらしばらく小休止した。見上げれば栗駒山の斜面が大きい。そして紅葉が既に始まった山肌が日の光を浴びて輝いている。この分だと紅葉は来週あたりが盛りになるのだろうか。あのどうしようもなく暑い夏の日射しが今では懐かしく感じるほどで、いつのまにか山は秋の装いに包まれようとしていた。そして昨日からの冷え込みのせいで、この栗駒山の紅葉は一気に進むのかも知れなかった。私達は下山してからの須川温泉ももちろん楽しみだったが、この爽やかな陽光の中での山歩きが無性にうれしくて、途中の湿原で立ち止まったり、腰を下ろしたりしながら、のんびりと下っていった。


草紅葉が広がる名残ガ原の湿原と木道



多くの登山者で賑わう栗駒山山頂


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