【平成13年9月14日(金)〜15日(土)/吾妻連峰 浄土平から滑川温泉】
「吾妻の瞳」と讃えられる五色沼
ガスに隠れていたが不思議に一瞬、晴れ渡る
このところの週末の天候の悪さにはがっかりするばかりだ。今日も出かける時から小雨が降り続いていた。浄土平でマイクロバスから降りると雨だけは上がっていたものの、あたり一帯は深い霧に包まれていて、一切経山は裾野あたりしか見えない。雨が降らないだけよしとするべきか。みんなも浮かない表情だ。それでも一切経山の登りの途中で振り返ると、一時ガスが切れて鎌沼が見えたりしたので、ひとしきり歓声が上がったりした。一切経山の山頂ではさらに深いガスに覆われた。しかし不思議なことに五色沼に下る頃になると、まるで緞帳が開くようにガスが消えてゆく。天候が悪いのにもかかわらず、こうして要所要所でガスが晴れたりしたところを見ると、私達は好運に恵まれていたといえるかも知れない。晴れていれば鮮やかなコバルトブルーに輝く五色沼も、今日の湖面は薄雲を写してか暗いエメラルドグリーンだった。
家形山の山頂での昼食を終えると、また小雨が降り出してきた。しかし心配するほどの大降りにはならないようだ。急斜面をしばらく下り、樹林帯がとぎれると一気に視界が開けて、粘土質で裸地状態の白浜に出た。ここで平成6年の冬、東京からの山スキーのグループが7名遭難したのは記憶に新しいところだ。
「危険なために我々でさえこのルートは冬には使わないのに、どうして遭難者達は迷い込んでしまったのか、不思議でしょうがない」と講師の菊池氏が説明をしている。
休憩の後、さらに下ると神楽岩だ。ここまでくると正面の高倉山が大きい。沢を挟んで左手に屏風のようにみえる稜線は栂森である。すぐ近くの姥湯温泉は手前の大日岳の陰に隠れて見えなかった。あたりを覆っていたガスは雲海となって下界を覆い隠し、雲間からはいつのまにか日射しも差しはじめていた。この吾妻連峰もまだ紅葉には早かったが、あたりは見晴らしも良いので付近の広葉樹が色づけば錦秋に彩られた見事な景色を眺めながらの尾根歩きを楽しめることだろう。
さらに尾根道を北上すると霧ノ平で、分岐には標識が建っている。直進すると五色温泉である。滑川温泉には標識から左の登山道を下る。雨水でえぐられた沢状の登山道では結構注意しながら下った。途中、一ツ清水で喉を潤し、なおも樹林帯を下るとようやく林道に飛び出した。あとは林道を20分ほど下れば滑川温泉で、逆方向は秘湯、姥湯温泉に通じている。林道を歩いていると、今にも雨が降り出しそうな天候にもかかわらず、県外ナンバーの車がひっきりなしに姥湯温泉に向かっていた。
長い下りを終えてようやく今夜の宿、滑川温泉に到着した