山 行 記 録

【平成13年9月8日(土)/菅沼から奥白根山】



奥白根山の山頂目前
残念ながら、ガスにおおわれて視界は今一つ



【メンバー】8名(新野、伊藤(孝)夫妻、伊藤(賢)、東海林、渡辺、高井、蒲生)
【山行形態】夏山装備、民宿「若葉荘」泊(山行は日帰り)
【山域】日光山系
【山名と標高】奥白根山(日光白根山) 2,578m
【天候】晴れのち雨
【温泉】日光湯元温泉 民宿「若葉荘」(宿泊料金6,500円)
【行程と参考コースタイム】
長井300==菅沼登山口800
菅沼登山口835〜弥陀ヶ池1020〜奥白根山山頂1145〜避難小屋(昼食)1300-1335〜五色沼1345〜弥陀ヶ池1430〜菅沼登山口1600

【概要】
約2カ月ぶりの私達の山の会の山行である。奥白根山は別名日光白根山とも呼ばれ、関東以北の最高峰の山として、またシラネアオイはこの山の名前から付けられたことでも広く知られている山でもある。奥白根山へは1998年末に開通した丸沼スキー場のゴンドラを利用するのがもっとも最短コースで、多くの人が利用しているコースなのだが、やはりそれでは何となく物足りなく、菅沼から湯元温泉へ下る縦走を計画した。ところが台風15号の影響により、快晴だった空模様も山頂付近では一転して霧雨混じりの濃いガスに包まれてしまい、ますます天候の悪化が予想されることから縦走はあきらめて、山頂から五色沼を周回するコースに変更した。

天気予報では曇りのち雨。それでも菅沼登山口の駐車場を歩き始める頃は、雲一つないような快晴の空が広がっていて、この時点では台風はどこかへ去ってしまったのかもしれない、といった感じの空模様だった。緩やかな登山道を登って行くとやがて木道が現れて弥陀ヶ池のほとりにたどり着いた。正面にはもう奥白根山がすぐ目の前だ。その右手には座禅山が聳えている。その西斜面にはシラネアオイの群落があったらしいのだが、鹿の食害のために花は激減して、今は柵で囲いながら植生の復元が続けられていた。柵の中には電気を流した電線も張られていて、触れると危険なので注意を喚起する看板が立てられている。

弥陀ヶ池では秋空を思わせる澄み切った空が広がっていた。奥白根山の山頂まではあとひと登りのように見えるが、地図上のコースタイムではまだ1時間もかかるところをみると山頂はもっと奥のようである。池の畔でのんびりと休憩を楽しんだ後で、さあ、天候のいいうちに山頂へ向かおうか、と昼食を楽しみにザックを再び背負う。すると、どこからともなくガスが湧いてきて周囲に広がり始めてしまった。快晴だった空は見ている間に視界がなくなり、あたりは夕暮れのように薄暗くなってしまったのである。全く山の天候はわからないものだ。霧雨もいつのまにかはっきりとした雨模様となったために、途中で雨具を着た。登るに連れて登山道は溶岩が固まったゴツゴツした岩ばかりになっていた。

山頂付近は岩峰がいつくもあって、異様な雰囲気だった。その名前からは想像できない姿に驚く。そして、さすがに2500mの山で風がすごく強い。雨は小降りとなっていたがガスは相変わらずで、日光連山や中禅寺湖、また明日登る予定の男体山などが目前のはずなのに展望はなかった。しばらく晴れるのを待ってみるものの、強風とガスは少しも治まる気配がない。やはり台風が近づいているのだ。しかたがないので湯元温泉へ下る縦走はあきらめて、五色沼を経由して菅沼まで戻ることにした。山頂を下るとまもなく奥白峰神社に着いた。参拝していると丸沼高原から多数の登山者が登ってくる。そこからは丸沼コースを右に見送り、標識をたよりに左に進み砂礫の斜面を下っていった。時間は既に昼を過ぎている。岩陰で風を避けながら昼食をするつもりで場所を探したが、風は一向に止まないので結局避難小屋まで下ってから昼食をすることにした。

避難小屋はちょうど前白根山と五色沼への分岐に建っていた。全員で山頂でのビールを楽しみにしていたが体が冷え切ってしまい、乾杯はしたもののお互いになかなか盛り上がらないでいる。お湯を沸かして熱い味噌汁を飲むとようやく体も温まってきて会話も弾んだ。

食事を終えて、さらにダケカンバ林を下って行くと五色沼だった。ようやくガスから抜け出したが陽射しがないので沼の色は冴えない。しかし周りを山に囲まれたこの五色沼はロケーションはすごくいいところで、紅葉の時期などにはたくさんの人達で賑わう場所なのだろうと思った。沼のほとりをたどりながら、また山道に入り弥陀ヶ池に向かう。ここは白根山を登った後の疲れた体には結構きつい登りだった。登り着いた鞍部は栃木と群馬の県境で、また五色山への分岐点にもなっていた。雨の心配はひとまず去ったようで前方には少し薄日が射している。最後の登りを終えてみんなもホッとしたような表情だ。雨具をザックにしまい、行動食を食べたりしながら少し休憩をした。

弥陀ヶ池まで戻ると山頂からまっすぐ下ってきた人達も多くいて、たくさんの登山者が休憩している。悪天候だったせいか、他の登山者の顔色も心なしか沈んでいるように見えた。しかし、ここまで来ればあとは登山口に下るだけである。往路はここまで2時間足らずで登ってきたので、1時間程度で下れるだろうと思っていたら、意外に時間を要した。急坂があまりなく緩やかな登山道のせいだろうか。駐車場に到着したときは午後4時近くになっており、暮れ方がもう迫っていた。天候は今一つだったが、それでも目的の山を何とか登り終えてみんなの表情には満足感が漂っている。私の頭にはもう今夜の民宿と温泉がちらついていた。



登山口にある案内標識


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