山 行 記 録

【平成13年8月28日(火)/越後山脈 大白川から守門岳】



小烏帽子付近の草原



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】越後山脈
【山名と標高】守門岳(すもんだけ)1537.2m
【天候】晴れ時々曇り
【温泉】新潟県入広瀬村 浅草岳温泉「音松荘」500円
【行程と参考コースタイム】
大白川登山口900〜小烏帽子1030〜守門岳山頂1110-1150〜大白川登山口1310

【概要】
守門岳は今月の上旬に登っている浅草岳と並んで、会越国境の名山といわれている山である。日本有数の豪雪地帯だけあって、大岳から袴岳の間一帯の北側斜面に広がる大雪庇は、数百メートルにも及ぶともいわれている。そういう意味でこの山も特に残雪期に登りたい山なのだが、いつまでたっても登る機会を逃してしまいそうで、そうばかりもいってはいられない。この守門岳への登山道はこの大白川からのコースも含めて8本もあるという。いかにもこの山域の広さを物語っているということだろうか。なおこの守門岳は日本200名山にも選ばれている。

福島県側から新潟に抜けて、国道252号の六十里越のつづら折りの道をひた走った。大白川の集落から五味沢とスキー場への分岐を左折して守門川沿いの道路を進む。関越国際大原スキー場からは山沿いの道路をさらに登るとやがて行き止まりとなった。そこが守門岳の登山口で、登山道はそこから木道が山へ向かって伸びていた。それほど広くはない駐車場には車が2台留めてあり、準備をしているともう1台登ってきた。いずれも新潟ナンバーであった。私と同じくらいの年格好の人が一人、手早く準備を終えるとさっさと登っていった。

山に入ると息をも付かせぬ程の急登が始まり、標高差300メートルあまりを30分ほどで登る。それほどの急勾配ということである。途中エデシと呼ばれる布引ノ滝への分岐点があり、滝へは右に20分ほど下るようである。ここからは見晴らしの良いヤセ尾根の道が続き、正面右手には守門岳がガスの中に見え隠れしていた。時々雲の間から陽射しが降り注ぐ。さすがに暑くてまるで頭から水をかぶったような汗が流れ続けた。ここの急登は思わず朝日連峰の祝瓶山を髣髴させるようなきつい登りだが、道はよく歩かれているらしく気持ちよく登って行くことができた。それでも登り一辺倒の尾根道かと思ったら、途中で沢に下る箇所がある。地図を見るとそこは上祝沢源流の滝ノ沢で、ちょうど水場にもなっているので私はザックをおろして汗びっしょりの顔や体を洗った。

そこからガレ場を沢伝いに登ると視界が開けて草原に飛びだした。そこは涼しい風が吹き渡っていて、汗をかいた体が生き返るようだった。草原は春先に見事なお花畑になるのだろうが、今はほとんど花は見られない。取り残しのようなニッコウキスゲが2、3輪咲いているだけで少し寂しい雰囲気だ。草原の途中には古い標識が立っていた。左へ道が続いている感じで、最近少し草を刈った後がある。小烏帽子と呼ばれる藤平コースへの分岐点のようだが、人が歩いている様子はほとんど感じられなかった。

やがて草原が切れてヤセ尾根になり、正面にはいよいよ守門岳が迫ってくる。高みから望むといったん大きく下るので、最後の守門岳への登りがかなりきつそうに見えたが、実際はそれほどではなかった。森林限界を越えているので気持ちの良い涼風が吹く中を一歩一歩快適に登った。ナナカマドの赤い実が実に鮮やかで、まだ8月なのに涼しい風といい、すっかり秋の気配を感じさせる。まもなくすると山頂が目の前だった。

山頂に着くと2人組が入れ違いに山頂から大岳方面に下っていった。そして私より少し早めに登り始めた単独の人が一人で休んでいた。その人もちょうど山頂に到着したところらしい。平日の静かな山に来るほどだから、山をよほど好きなのだろうと思ったら、意外にもその人は山屋ではなく、冬の狩猟のためのトレーニングとして今日はめずらしく守門岳に登ってきただけなのだという。いろいろな山登りもあるのだなあと思うばかりである。広い山頂には石の祠が二つと二等三角点、そして守門岳と書かれたりっぱな標識が立っている。その標識には大きな呼び鈴がぶら下がっていた。昼には少し時間があるが、汗を搾り取られたせいかかなり腹は空いている。早速昼食にすることにした。日帰りの山では山頂での昼食が一番の楽しみであり、そして山頂で食べるものは本当に美味しい。私はザックから冷えた漬け物を取り出し、一口サイズのビールを味噌汁代わりにすることにして弁当をひろげた。

晴れていれば山頂からは飯豊山や磐梯山など東北の山々はもちろんのこと、日本海の海岸線や佐渡島、粟島まで一望に見えるという。しかし今日はあいにく霞が掛かっていてほとんど展望は得られなかった。破間川をはさんで対峙する浅草岳でさえ、シルエットのようにうっすらとしか見えなかった。そしてもう少し晴れてくれればという期待を裏切るかのように、食事を終える頃には北東方向から真っ白なガスが流れてきて、山頂からはほとんど視界がなくなってしまった。


大白川の登山口



秀麗な容姿の守門岳山頂


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