山 行 記 録

【平成13年6月9日(土)/飯豊連峰 鏡山(弥生コース)】



大勢の登山者で賑わう鏡山の山頂
あいにく、上空には厚い雲が居座っていて稜線は見えなかった



【メンバー】2名(妻)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】飯豊連峰
【山名と標高】鏡山 1338.9m
【天候】曇り時々晴れ
【温泉】福島県山都町 「いいで荘」ハーブ湯300円
【行程と参考コースタイム】
林道終点1000〜四ツ沢コース合流点1025〜七森峰1120〜鏡山1150-1250(昼食)〜林道終点1410

【概要】
鏡山は飯豊連峰の三国岳から南西の方角に伸びる、新潟県と福島県との県境の尾根上の一角の山で、大日岳とはちょうど実川を挟んで対峙している。数年前、弥平四郎の登山口から三国岳へ登った時にこの鏡山まで足を伸ばせばよかったのだが、私が持っているエアリアのマップ(1994年版)には鏡山への登山ルートが記されてはおらず、その当時はそれほど興味をひく山ではなかったのである。しかし一部の岳人達には、以前から飯豊連峰の好展望台の山として知られており、その展望の良さでは数ある山々のなかでも随一とも言われるほどで、私もその評判を幾度となく耳にする機会が増えていた。今日は天気予報はそう芳しくはないものの、雨は降らないだろうとカミさんと一緒に登ることにして、久しぶりに弥平四郎口に向かった。

鏡山には弥平四郎のゲート付近から登る四ツ沢コースと、弥生の集落から先の林道終点から登り始める弥生コースがある。当初は四ツ沢コースを考えていたのだが、カミさんの体力を考え標高差のあまりない弥生コースを登ることにした。弥生コースへの分岐には最近設置されたばかりのような登山口を示す新しい標識が立っていた。
分岐からしばらく車を走らせると3〜4軒ほどの弥生の集落があり、その先のゲートは施錠されているので一般車は進めなくなっている。近くの民家の人にゲートを開けてもらい、作兵衛沢沿いの林道をさらに遡る。林道はこの先も4km以上続いていた。車がやっと1台通れるほどの幅しかない砂利道である。やがてその狭い路肩に留めているマイカーが現れて先には進めなくなった。林道終点は100mほど先らしかったが、土砂崩れのために先に行けないので、みんな狭い林道の路肩ギリギリに留めている。Uターンもできないので車を留めるスペースを探すのにしばらく時間を要した。我々が到着した時間も遅かったので他の人達はみんな出発した後である。

林道終点の標高は約770m。鏡山までの標高差は約600mなので山頂までは2時間ほどである。四ツ沢コースは900mほどの登りだというから弥生からは随分と楽なコースのようだ。登山道は最初から結構急な登りで始まった。周りには太いブナや楢の木が多い。道は良く歩かれているのか、整備がされているので非常に歩きやすい山道である。30分ほどで四ツ沢コースとの合流点に着いた。そこからも緩やかな登りの歩きやすい山道が続いている。まもなく沢音が聞こえてくると「清水があります」という水場の標識があった。20mほど左に下った所に沢水が流れていて飲んでみると冷たくて美味しい水だった。

水場から七森峰までは思いのほか急登が続いた。今日は蒸れるせいか背中は汗びっしょりである。やがて七森峰のピークに達すると左手から飯豊の眺めが飛び込んできた。思わず、おおっ!というほどの景観だ。ただ1500〜1600m付近から上は雲に隠れて全景は見えない。しかし至る所に雪渓をまだ残している飯豊の迫力にカミさんも驚いている。

七森峰からは緩やかに下ってしばらく小さな上り下りを繰り返す。付近にはタムシバ、ムシカリ、ムラサキヤシオがちらほらと目につく。また足元のサンカヨウ、マイヅルソウなどの可憐な白い花達が励ましてくれる。途中、早めに登った人達が10人前後下ってきた。

最後の急な登りに汗を流すとようやく鏡山の山頂だった。先に登った人達はほとんど下ったものと思っていたら、山頂にはまだ10人ほどもいる。二つのグループは缶ビールを何本か空にしていて盛り上がっていた。天候はあいかわらずで、飯豊連峰は下半分だけは見えているものの、肝心の稜線が全くみえない。しかし山頂はきれいに刈払われているので遮るものがなく、意外と広い山頂からの展望は抜群である。たとえ半分しか見えなくともこの飯豊の展望台の良さはよくわかる気がした。

眺望は今一つだったものの、風もなく山頂は穏やかで休憩するのには申し分はない。少しでも晴れるのを期待しながら昼食を始めた。我々が一番最後に登ってきたと思っていたら、休憩中もまだ3名ほど後から登ってきたので、山頂は益々にぎやかになった。食事をしながら地図を広げてしばらく眺めていた。昨年の7月に登ったオンベ松尾根が左手から正面への大日岳へと突き上げているはずなのだが、稜線がみえないとどうもはっきりしない。また大日岳から御西岳、飯豊本山、草履塚への主稜線。そして種蒔山から三国岳、疣岩山へと続く山並みを想像してみようとしても明確な山の形にはならなかった。それは今度またいつか登るときまでおあずけのようだ。先に休憩していた登山者達もあきらめたのか一人去り二人去りして、山頂は徐々に静かになっていった。

下山はもとの道を下る。途中でカミさんはそこかしこで立ち止まりながら笹巻用の笹を摘み取っている。四ツ沢コースの分岐付近までくると、上空の雲が一部切れてきて、青空が顔をのぞかせ始めた。やがて陽が差し始めると暑いくらいの陽射しが照りつけてきた。梅雨は暑い夏空と紙一重であることをあらためて感じさせるような天候である。しかし晴れてきたとはいえ飯豊連峰の上空には依然として厚い雲が居座り続けているようだった。

せっかく遠路はるばる山都町まできたので、下山後は西会津町の「宮古そば」に立ち寄り、山形とはひと味違うソバを賞味してみることにした。そして山都町「いいで荘」のハーブ湯に浸って汗を流した。今日のハーブは「レモンバーム」。浴室はがら空きで、一人で浴槽に浸っていると、心地よい疲れとそのハーブの香りにしばらく陶然となった。


弥生集落への分岐にある標識


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