山 行 記 録

【平成13年3月31日(土)/南蔵王連峰 白石スキー場から不忘山】



不忘山山頂



【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】南蔵王連峰
【山名と標高】不忘山1705m
【天候】曇り
【温泉】七ケ宿町 天使ランド「天使の温泉」500円
【行程と参考コースタイム】
白石スキー場駐車場845〜リフト終点1015〜不忘山山頂1315-1345〜白石スキー場駐車場1445

【概要】
3月12日頃から2週間ほど続いた快晴のおかげで平地の雪がほとんど融けてしまい、もうそのまま春になだれ込むのかと思っていたら、この1週間は春の足踏み状態となった。それも本格的に雪が降り続き、また冬に季節が逆戻りしたような天候が続いていた。

不忘山はちょうど2カ月前に同じ白石スキー場から登っている。その時は風雪のために途中で敗退しているので今日は再チャレンジということになるわけだが、再び訪れた白石スキー場は既に3月25日で営業を終えており、がっかりさせられてしまった。こんなに雪があるのに?と不思議だったのだが、1週間前には好天のためにほとんど雪が消えていたのだろう。白石スキー場は人影も見あたらずひっそりとしていた。駐車場も30cmぐらいの積雪があるが当然ながら除雪はされていなかった。

ザックのパッキングをしながらも天候もあまりパッとしないので気分は今一つ。どうも気が乗らなかったが、スノーハイキングのつもりで行けるところまで行ってみようかと、シールを貼りゲレンデを登り始めた。標高は駐車場付近で約780mぐらいだからリフトを使わないと不忘山までは1000m近くもある。それも深雪のラッセルを一人ではどこまで自分の体力が持つか自信がなかった。


すでに営業を終了した白石スキー場
もの悲しい雰囲気が漂う

営業を終えたスキー場は寂しいばかりで、2カ月前に来たときの喧噪がウソのような静けさだ。積雪はだいぶあるのだが、気温が低いので表面が少し堅い程度で歩きやすい。リフト終点手前は急斜面のためにジグザグに登ってゆき、そのままブナの樹林帯に入っていった。ゲレンデから離れると今度はラッセルがきつい。深さはせいぜい20cm〜30cm程度でも今日は予想外にかなりこたえた。前に何人か登った人も多かったのだろうか。ところどころに赤い布が結ばれてあったが、それも途中で見失ってしまった。しかし曇り空でも幸いに視界がはっきりとしているので目印はなくとも特に不安はない。目の前の不忘山の稜線を目指すだけである。

緩斜面をしばらく登り徐々に斜度が増してくるあたりで、あえぎあえぎ登っていたら不思議に途中からはっきりとしたワカンのトレースが現れた。3人ぐらいの踏跡でまだ真新しい。しかし今日の朝、駐車場からは別に踏跡はなかったし、急に途中から出現してきたような具合だった。昨日は途中の樹林帯で幕営でもしたのだろうか。しかし、この踏跡のおかげで先に進む気力が湧いてきたのも事実である。一人だけのラッセルにそろそろ投げ出したくなっていた矢先でもあった。

やがて不忘山への尾根へ取り付く。登りながらときどき振り返ると、不忘山の尾根から伸びる広大な裾野が見渡せた。先行するワカンの踏跡はだんだんと深くなってきていた。潅木が所々にブッシュとなっているものの、ここの斜面は復路の滑降が楽しみなところである。斜度は相変わらずきついので、ときどき立ったまま休みながら呼吸を整えた。ピークは時々みえるのだが、それがニセピークだとわかるとがっかりした。尾根の中間付近(1450mぐらい)まで登ったところでどうにも力がはいらなくなり、昼食をとることにした。朝、あまり食べていなかったのでシャリバテかもしれなかった。腰を下ろして暖かいカップラーメンを腹に入れると少し元気がでてきた。


尾根の途中から見る水引入道



不忘山山頂が間近
左の稜線は不忘の碑へと続く

山頂がいよいよ近くなったところで、斜面が急にアイスバーンとなってきたため、スキーをデポし、そこからは坪足で山頂まで登ることにした。山頂はまもなくのはずだったが、それでもそこからはまだ距離にして200m以上登らなければならなかった。山頂付近は凍った岩稜帯のため滑らないように慎重に登った。

やっと視界の中に山頂の標識が入ると、もうこれ以上は登らなくともよいのだ、という開放感に包まれた。今日はそれほどきつい登りが続いていたのだ。また体力が衰えていることをあらためて実感させられてもいた。

山頂には誰もいない。先行者は刈田峠のほうに縦走したらしかった。時間はもう午後1時を過ぎている。登りに4時間半もかかったことになる。足は痙攣を起こしそうなほどに疲れていた。これではスキーの制動ができなくなるかも知れないなあ、となんとなく不安になった。視界はときどきガスが流れて時々遮られたが、展望はまずまず良好だった。遠方の山々は見えなかったが、南屏風岳、屏風岳の切り立った岩壁や水引入道の峰峰が目前である。まだまだ豊富な雪を抱いていて、しばしその白い光景に目を奪われた。振り返れば広大な不忘山の裾野が下までのびていて、その先には長老湖が俯瞰できた。しかし陽射しもなく風が強いので、登りに汗をかいているだけに、しばらくすると体がたちまち冷え込んできた。

スキーをデポした地点まで戻ってシールをはずす。そこからは快適な滑降が楽しみなところだ。はじめは斜度が少し急だったが、斜面が広大なので大きくターンしながら下っていった。パウダーというほどではないが雪は深くそして柔らかい。転んでもたいしたことはないので思いっきり突っ込んで行ける。最近降り続いた雪のおかげで予想外に快適なテレマークスキーだった。しかし何時間もかけて登ったところもスキーで下ればあっという間である。たちまちスキー場のリフト終点まで下ってきてしまった。そこからは誰もいないゲレンデをのんびりとターンしながら下る。やがて白石スキー場の黄色い建物が眼下に見えてきた。駐車場はもうまもなくだった。





山頂から登ってきた尾根道を振り返る




山頂で記念写真を撮る


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