山 行 記 録

【平成13年3月3日(土)/蔵王連峰 坊平高原から刈田岳】




一瞬だけ、姿を見せたお釜

【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】刈田岳 1758m
【天候】曇り
【行程と参考コースタイム】
坊平高原スキー場リフト終点900〜お田ノ神避難小屋945〜馬ノ背〜刈田岳1030-1130〜リフト終点1200〜(ツアーコースで途中休憩)〜坊平高原スキー場駐車場1330
【概要】
予報によると、東北地方は移動性高気圧にすっぽりと覆われるとあって、今日こそは天候は大丈夫だろうと、またまた蔵王に向かった。記録には書かなかったものの、実は今年になってから好天の日をわざわざ選んではこの坊平に2回ほど来ていたが、毎回、山の気まぐれな天候に阻まれて、馬ノ背までも行けずに、お田ノ神避難小屋で引き返していた。下界は晴れているのに、スキー場から上には厚い雲が居座り、視界がほとんどなかったためである。今日はお田ノ神避難小屋付近までは割合に晴れており、風も弱いので何とか刈田岳までは登ることができそうである。しかし馬ノ背を見上げても稜線は全く見えなかった。

早めに出発したのでリフト終点から先にはトレースはまだなかった。初めはラッセルだが雪がだいぶ締まっているのでスキーは10〜20cmほどしか沈まない。それも樹氷原に出てしまうと雪面は堅くクラストしているので快適なシール登行である。まだ誰もいない樹氷原を歩くのは気持ちが良かった。夏山リフトの乗り場付近からは急斜面が馬ノ背まで続くところだ。ここからは予想通りガスのため視界はなかった。風は強く冷たかったものの今日は耐えられないほどではない。何も見えない中をシールの助けを借りて黙々と馬ノ背を目指した。傾斜がほとんどなくなると馬ノ背だ。なにも見えなかったが目印の標注をたよりに歩けば刈田岳山頂まではもうわずかだった。

山頂では神社の陰で風を避けながら一人食事中だった。宮城側から登ってきた人だった。私もカップラーメンの昼食を食べながら天候の回復を待つ。1時間ほど待ったものの一向に天候の回復する兆しはなかった。あきらめてシールを外しスキーで下る。馬ノ背を引き返す途中、一瞬だったがガスが切れて氷結したお釜がわずかに姿を見せた。それは本当に一瞬だけでそれ以上には晴れなかったが、今日は全く期待はしていなかったので、それだけで満足しなければならなかった。

夏山リフトの乗り場付近まで下ると視界がはっきりしてきた。他の登山者は天候が晴れるのを待っていたのだろう。私が下山してくる頃になって次々と馬ノ背をめざして登っていった。お田ノ神避難小屋の方を見下ろすとまだまだ登山者が登ってくるようだった。ここまで下ってくると青空も少し目立ってきていたが、それでも熊の岳や馬ノ背、刈田岳はガスに隠れて見えなかった。

リフト終点からは久しぶりにツアーコースに向かった。そしてすぐにブナの樹林帯に入る。いわゆるショートカットで下るのだが、山頂での楽しみがなかっただけに、この樹林帯をテレマークスキーで下るのはなかなか快適で、滅入っていた気分が晴れるようだった。最後に雪に埋まったエコーラインに飛び出したところで、ザックを下ろしてしばらくコーヒータイムだ。風は冷たくお湯を沸かしているうちに粉雪が舞ってきた。そしてコーヒーカップには雪が降り注いだ。天候は下り坂のようだった。ここはゲレンデのうるさい音楽も届かず、訪れる人も少ないので静かな山を味わえる場所だ。私の目の前をクロカンスキーが一人、通り過ぎていっただけだった。

3月に入ったとはいえ、木々の芽吹きにはまだまだ早い。しかし朝方にはカラマツ林に霧氷がびっしりだったものがもうすっかり融けだしている。そして雪の下を流れる沢音を聞いていると間違いなく春が近いことを感じさせた。


蔵王刈田岳山頂
強烈な風が吹いている
鳥居の大きなエビのシッポがすごい!


まるで氷詰めにされたような山頂直下のレストハウス



お田ノ神避難小屋(下山途中で)
ワカンをつけた登山者達が天候の様子を伺っていた。


inserted by FC2 system