【平成13年2月12日(月)/雄国沼】
一面の雪原となっている雄国沼
(雄国沼休憩舎から)
通常であれば雄国沼までは積雪期のコースタイムで1時間半ぐらいだ。天候がよければ雄国沼から雄国山へも比較的短時間で登れるので楽しみにしていたのだが、トレースがない状態はずっと続き、つまり初めからラッセルの連続だった。一人でのラッセルはいつものことだったが、しかし今回ほど途中で引き返そう、とあきらめかけたことはなかった。少し湿っぽいせいか雪が思いのほか重くて、2時間ほどすると足が思うように動かなくなってしまった。万能のテレマークスキーも深雪ではかなりたいへんだった。まだ行程の半分も進んでおらず、これではとても小屋までは行けないのではないかと思うと、先に進む気力がなくなってしまったのだった。しかしそれから30分ほどして、もうそろそろとあきらめかけていた時に、前方の斜面から3人のグループが下ってきた。猫魔スキー場から下ってきた彼らもまた深雪に難儀しており、私と出会ってホッとした様子だった。トレースを利用できるのはお互い様だったが、これで私は小屋まではゆけそうだ、と喜んだのだった。
今日は沢沿いのコースではなく夏道のルートをとっていた。途中で雪がのしかかってきそうな急斜面をトラバースする箇所があり、ここは雪崩の危険も感じるほどでさすがに緊張する。雪を崩さないように慎重に通過した。
3人に出会った場所から小屋まではまだ1時間近く登らなければならなかった。ほとんど休まないで行動していたせいか、久しぶりに体中から汗が流れた。疲れのために筋肉が痙攣しそうになる足をどうにかダマシながら最後の斜面を登りきり、樹林帯を少し下ると雄国沼だった。雪は激しくはないものの視界は良くなく、雄国山から吹き下ろす風はかなり強くそして冷たい。木立の間から雄国沼の小屋がうっすらと見えていたが、なんとなくいつもの小屋と違うような感じがしていた。
小屋に到着してみて驚いた。予想もしていなかったが、いつのまにか小屋が新しく建て替えられていたのだ。それも目を疑うようなりっぱなログハウスである。引き返していればこの新しい小屋に出会えなかったのだから、今日は無理して登ってきて本当によかったとつくづく思った。
小屋には猫魔スキー場から下ってきたグループが6人ほどちょうど着いたところだった。みんなも新しい小屋に驚いている。小屋の中に早速入ってみると、内部はまだ未完成で天井付近の外壁が完全に塞がっていないために、部屋の中には雪がかなり入っている。しかし、木の香りが漂う新しい小屋の中での休憩は無性にうれしい。ガスコンロに火を付けて早速昼食の準備を始めた。
6人組はやはり雄子沢口に車を1台置いてきたらしく、下りのコースは一緒である。私は一足早く小屋を出て、スキーのシールを外す。そして下山する前に冬の雄国沼の写真を撮った。晴れていればもう少し沼らしく見えるのだろうが、今日はただの白い雪原だった。
こんな景色を眺めるのも好きなのだが、やはり青空が広がる冬晴れの光景が断然いい。今度快晴の時にでも、雄国山からの展望と雄国沼の氷上散歩を楽しむことにしようと小屋を後にした。
雄国沼の休憩舎
いつのまにか新しい小屋になっている
びっくりするほどのりっばなログハウスだ
休憩舎の内部
まだ未完成のために天井付近からかなりの雪が入り込んでいる