【平成12年12月17日(日)/蔵王連峰 刈田岳(馬の背まで)】
◇8:00 自宅出発 ◇9:30 坊平スキー場駐車場着
蔵王坊平高原に向かう蔵王エコーラインは路面は凍結しているので注意深く車を走らせた。
車の温度計の外気温をみると氷点下3度〜4度とかなりの冷え込みである。
エコーラインの両側にカラマツ林が続く一帯は、葉を落としたカラマツを霧氷が包み込み美しい風景が広がる場所なのだが12月ではまだ少し早いようだ。またこの辺は1月や2月の厳冬期に入ると朝日に輝くダイヤモンドダスト現象も見られるところでもある。
◇9:45 リフト終点
2基のリフトを乗り継ぎリフト終点まで上がると早速テレマークスキーにシールを貼った。
手はかじかんで指の先まで痛いほどだったが、この久しぶりの作業が妙に楽しくて心なしか気分がうきうきしてくる。
先週までの無雪期の山歩きから何の違和感もなくこうしてテレマークスキーに移行できるのが不思議だった。
先行者のトレースがありその後を登り始める。山スキーとスノーシューの足跡だった。スノーシューは20cmぐらいは雪に潜っているがスキーはほとんど沈まない。快適な雪原の歩きに今更ながらテレマークスキーのありがたさを思う。まさに山登り、山歩きに最適のスキーだと思う。積雪は1m〜1.5mぐらいだろうか。通常は4m〜5mも積もるこの辺ではまだまだ少ないようだ。潅木もまだ雪の上に出ていたりしてかえって歩きづらかった。しかし風雪はやはり厳しいのだろう。樹氷はすっかり形ができあがっていて雪原に広がる樹氷群はみていて壮観だった。
お田の神避難小屋付近まで来ると視界がだんだん悪くなってきていた。雲の中に突っ込んでしまったのか馬の背は全く見えなかった。所々にたっている木のポールをたよりに登山リフトをめざした。登山リフト沿いに登れば馬の背と呼ばれる稜線はすぐである。しかし強風とガスは激しさを増すばかりで、先に登っていた先行者達が耐えきれずに馬の背への途中で引き返してきた。
◇ 12:00 馬の背
私は登山リフトの最後の鉄塔の下で風の弱まるのを待っていた。しかし風はますます強まるばかりである。稜線はまもなくだったがこの辺でこの強風ではとてもまともに歩けないだろうと思い引き返すことにした。この辺の雪原はガリガリに堅く凍っている。自分のトレースさえわからなくなっていた。引き返すと今までの追い風が今度は正面からまともに突風として体にぶつかってきた。強烈な寒さのために頬や鼻、口元が痛くて途中で目出帽を被った。顔を上に上げられなかった。シールはつけたまま注意深く下っていった。登山リフトの乗り場まで下ると風が幾分和らいでくる。しかし視界が悪いのは変わりがなくコンパスで角度を合わせて小屋に向かう。
◇12:30-13:15 お田の神避難小屋 ◇14:00 坊平スキー場駐車場着
小屋の入り口のドアはすでに半分くらい雪で埋まっているので窓から中に入った。
小屋の中には石油ストーブが用意されている。今までこのストーブを使用したことはなかったのだが、今日は先ほどまでの行動で体が冷え切っているため初めて使用させてもらうことにした。火を付けるとまもなく室内が暖まってきた。昨日もこの小屋を利用した人がいた様子で、黒板にはこのストーブを使用した旨の記載がされてある。小屋のおかげで風雪をしのげるだけでもありがたいのにストーブまであるとはなんとありがたいことだろうか。冷え切った体もたちまち生き返るようだった。
スープとおにぎりで軽く昼食を済ませてからコーヒーを入れるとやっと人心地がついた気がした。
そして小屋の外がやけに明るくなった気がして窓を開けてみると、予想外にも空には一部青空も垣間見えて馬の背までかなりはっきり見渡せるほどになっている。しかし、それもしばらくすると太陽はまた厚い雲に遮られてしまい、夕暮れのような薄暗さになってしまった。小屋を出ると雪は降ってはいなかったが風の強さは相変わらずだった。
小屋からは真西に下るとまもなくリフト終点である。そこでシールをはずし、ゲレンデをひと滑りすれば駐車場だった。
まだ12月なのにすでにりっぱな樹氷ができている
お田の神避難小屋
入口は雪で塞がっているので窓から中に入る